しんぶん赤旗が、自民党が所属議員に対外説明用として配布した「特定秘密保護法案 Q&A」について、その「ウソと危険」をシリーズで解説しています。
自民党はかつて自党の憲法改正草案についても「Q&A」を公表しましたが、それは実に巧妙な言い回しで改憲案の危険性を隠蔽しようとするものでした。うっかり信用すると大変なことになります。
シリーズの5回目で、今回が最終回となります。
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秘密保護法案 自民「Q&A」ウソと危険 (5)
しんぶん赤旗 2013年11月19日
「共謀罪」隠しているが?
話し合っただけで処罰
自民党Q&Aは、「秘密保護法案」に、戦前の治安維持法の再来といえる「共謀罪」の規定が盛り込まれていることを意図的に隠しています。
同法案の「共謀罪」は、秘密漏えいの行為や被害がなくても、複数の人たちが国家秘密について話し合っただけで処罰できるとするもの。戦前の治安維持法の「協議罪」に匹敵し、不当逮捕を禁ずる戦後の現行憲法や刑法の原則に反します。
「秘密保護法」が施行されると、会議や取材や調査研究活動を企画する日常的な活動でも「特定秘密の故意による漏えい」や「取得行為」を「共謀」したとして検挙や処罰の危険にさらされると自由法曹団は指摘しています。
「秘密保護法」成立後には、国会で過去2度も国民の猛反対で廃案になった「共謀罪」法案、盗聴の拡大や室内盗聴の創設を狙う盗聴法改定案の提出が予想されています。ある学者は、「共謀罪」が本格的に制定されると、密告が奨励され、電話やメールの盗聴が合法化され、街頭や集会での会話まで監視されると指摘しています。
軍事立法、人権抑圧立法としての「秘密保護法」の性格からも、反戦運動や平和運動、反原発運動を抑圧する道具として「共謀罪」が使われる可能性は濃厚です。
秘密と知らなかったら?
未遂で逮捕もありうる
自民Q&Aでは、「一般市民が知らない間に特定秘密を知ったとしても違反にならない」などとしています。
「何が秘密かも秘密」である以上、明確に秘密であると知って情報に接近する人は少ないでしょう。しかし政府は、「特定秘密」であることを知って取得した場合に限らず、「客観的な状況から特定秘密であると認識していると認定できる場合」にも処罰されるとしています。しかも、「秘密を知る」にいたらなくとも、探知罪=「管理を害する行為により特定秘密を取得」する罪には、「未遂罪」が規定されています。
そうすると、秘密と知らずとも、客観的に特定秘密とわかるといえるような情報に接近するだけで、捜査機関の監視対象となり、逮捕・処罰もありうることになります。
原発や基地の近隣の住民や市民運動家が、とりたてて「特定秘密」を探知するつもりがないまま、基地や原発に関する調査をするだけで犯罪とされるのです。 (おわり)