歴史学の6団体が31日、特定秘密保護法案に反対する緊急声明を出しました。
28日の法学者たちの反対声明に続くもので、特定秘密文書が将来公開されるかも不明確では歴史学の研究が妨げられるとしています。
またアメリカの「インターナショナル・ニューヨーク・タイムズ」は29日付の社説で、安倍政権が今国会で成立を目指している特定秘密保護法案について、「国民の知る権利をむしばむ秘密保護法」などと批判しました。
特に「特定秘密」の指定について、「定義づけがあいまいで政府が都合の悪い情報をいくらでも隠蔽できる」と、懸念を示しているということです。
以下に毎日新聞の記事を紹介します。
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秘密保護法案:歴史学6団体代表も反対声明
毎日新聞 2013年10月31日
歴史学の6団体の代表が31日、特定秘密保護法案に反対する緊急声明を出した。特定秘密文書が将来公開されるか不明確で「歴史学研究が妨げられる恐れがある」と主張。10月28日には、憲法と刑事法学者も反対声明を発表している。
このうち同時代史学会代表の吉田裕(ゆたか)一橋大大学院教授は「防衛、外交文書の歴史的検証ができなくなる」と懸念。近年、学者が政治家や官僚のOBから回顧談を聞き取る「オーラル・ヒストリー」が盛んだが、「防衛官僚出身者らが応じてくれなくなるかもしれない」と話した。
声明を出したのは、同会のほか、歴史学研究会などの代表者。前国立歴史民俗博物館館長の宮地正人氏らも加わった。【青島顕】
特定秘密保護法案:「反自由主義的」 米紙が社説で批判
毎日新聞 2013年10月31日
【ワシントン西田進一郎】米紙ニューヨーク・タイムズ傘下の国際英字紙「インターナショナル・ニューヨーク・タイムズ」は29日付(電子版)の社説で、安倍政権が今国会での成立を目指す特定秘密保護法案について「国民の知る権利をむしばむ秘密保護法」などと批判した。
社説の題名は「反自由主義的な秘密保護法」。同法案が定める「特定秘密」の指定について運用指針がないことを問題視し、「定義づけがあいまいなことで、政府が都合の悪い情報をいくらでも特定秘密に指定できる」と恣意(しい)的な運用への懸念を示した。
さらに、秘密を漏えいした政府職員に最長で懲役10年が科されることや、特定秘密の指定期間が無期限に延長できることなど法案の問題点を指摘し、「ジャーナリストを最高5年の懲役刑で脅すことにより、政府の不透明さが一層増すだろう」などと批判した。