内部告発サイト「ウィキリークス」が、TPPの交渉文書の草案だとする文書を掲載しました。8月段階の知的財産分野の草案で、各国の主張などが詳細に記述されています。TPPの交渉文書は秘密にされているので、公開によって交渉の行方に影響を及ぼす可能性もあります。
原案では、米国が、映画のDVDのコピーや音楽のコピーを防止するため、法的罰則を新たに設けること、また医薬品については特許取得手続きを簡素化し、特許保護期間を延長するよう求め、これまで通りジェネリック薬品を使いたい新興国などと対立している様子や、著作権の保護期間についても現状の50年から70年に延長するよう求めているということです。米国がTPP交渉を通じて強欲に自国の利益の拡大を目指していることが読み取れます。
ウィキリークス創始者のジュリアン・アサンジ氏は「個人の権利やインターネットなどの自由な表現が踏みにじられる。TPP文書の公開で、批判が集まってTPPはつぶれる」と話していますが、まさにそれが米国がTPPの中身の公表を厳禁している理由です。
公開文書には下記でアクセス出来ます。(全95頁 英文)
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TPP文書を暴露 ウィキリークス 知的財産権条文案か
東京新聞 2013年11月14日
【ワシントン=斉場保伸】内部告発サイト「ウィキリークス」は十三日、環太平洋連携協定(TPP)の「知的財産権」分野の条文案とみられる文書を公開した。これを受けて市民団体などは「大企業主体の要望リスト。個人の自由を奪う内容で容認できない」と強く反発している。
TPP交渉に参加する十二カ国はお互いに秘密保持を義務付けており、交渉内容を記した条文案は極秘扱いとなっている。文書は、八月三十日にブルネイで開かれたTPP交渉会合で首席交渉官協議を受けてまとめた資料とされている。
英文全九十五ページ。一部が黒塗りで消されているものの、製品や医薬品の特許権、著作権、商標などの定義や保護期間に関する項目に分けられ、参加各国の賛否や、意見が明記してある。
資料によると、原案では米国が映画のDVDのコピーや音楽のコピーを防止するため、法的罰則を新たに設けるよう主張。米国は、医薬品については、特許取得手続きの簡素化を提案。さらに、特許保護期間を延長するよう求め、新興国などと対立している。
米ワシントン・ポスト紙によると、米通商代表部(USTR)は同日「知財分野の交渉は続いており、終わっていない。われわれは力強く著作権保護を進めることで米国内の高付加価値な労働を拡大したい」とコメントした。
一方、消費者非営利団体の「パブリック・シチズン」は「薬の特許がより長く保護されると、アジアの人々は安い医薬品が手に入らず、高額な治療費と病に苦しむことになる」と批判を強めている。
ウィキリークス創始者ジュリアン・アサンジ容疑者は「個人の権利やインターネットなどの自由な表現が踏みにじられる。公開で、批判が集まってTPPはつぶれる」と話した。
各国は十九日からユタ州ソルトレークシティーで開く首席交渉官会合で、対立点をめぐってさらに協議を進める見通し。