しんぶん赤旗が、自民党が所属議員に対外説明用として配布した「特定秘密保護法案 Q&A」について、その「ウソと危険」をシリーズで解説しています。
自民党はかつて自党の憲法改正草案についても「Q&A」を公表しましたが、それは実に巧妙な言い回しで改憲案の危険性を隠蔽しようとするものでした。うっかり信用すると大変なことになります。
シリーズの4回目です。
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秘密保護法案 自民「Q&A」ウソと危険 (4)
しんぶん赤旗 2013年11月16日
内部告発者は罰しない?
国が居直れば逮捕可能
自民党Q&Aは、「違法行為を隠蔽(いんぺい)するために、これが特定秘密に指定されたとしても、指定は有効なものではない」として、「特定秘密の漏えいには該当せず、通報した者が処罰されることはありません」としています。
アメリカ国家安全保障局の元職員スノーデン氏が、米国による盗聴などの違法な情報収集活動を明らかにし、全世界で米国への批判が高まっています。
しかし米国政府は、盗聴が「必要だった」と居直り、内部告発したスノーデン氏の逮捕に血道をあげています。
こうしたスノーデン氏のようなことが日本でもおきかねません。
2007年に陸上自衛隊の情報保全隊による違法な国民監視活動を日本共産党が明らかにしました。
保全隊の違法な活動を追及する裁判では12年3月、仙台地裁がプライバシー権の侵害を認め、国側に損害賠償を命じました。
しかし、国は今も、国民監視を「必要」と居直っています。秘密保護法案では、この保全隊の記録も「(特定秘密に)指定することはありうる」(小野寺五典防衛相)としています。
重大な不正であっても、国が不正を認めなければ内部告発者を処罰できるのが、この法案です。
国会議員を制約しない?
国会が行政府の監視下に
自民党Q&Aは、「本法案では、国会の秘密会等に特定秘密を提供することができる仕組みを盛り込む」から“国会議員の活動を制約することはない”と主張しています。これは、黒を白といいくるめる議論です。
もともと国会は主権者国民の代表で構成される「国権の最高機関」(憲法第41条)として、行政を監視する立場にあります。そのために憲法は国政調査権を保障しています。
ですから、政府は、国会の求めがあれば情報を提供するのが憲法上の義務です。それをさかさまにして、「秘密会」にしなければ情報を提供しない、提供するかしないかも行政府が判断する―というのが「秘密保護法案」の仕組みです。これは、国会と行政府の関係を逆転させ、国会が行政府の監視下におかれることになります。
しかも、「秘密会で知った秘密」を漏えいした場合は、国会議員でも懲役5年の処罰を受けるのです。
国会議員が、所属する政党で議論したり、秘書や専門家の意見を聞いたり、有権者に報告するという当たり前の活動さえできなくなります。国会を完全に形骸化することになります。