まことに驚くべき数字ですが、これだけの膨大な事項が「特定秘密」とされ、しかも所要の年数を経れば公開されるという保証もありません。公開されなければ当然歴史の検証も出来ません。
「特定秘密」はすべて役人の匙加減一つで指定され、その妥当性は別に検証されず、何が秘密に指定されたのかも国民には知らされません。まさに「拠らしむべし。知らしむべからず」です。一体何を考えているのでしょうか。
こうなった原因は、政府が、(1)防衛 (2)外交に加えて、(3)特定有害活動(スパイ行為などを指す)の防止 (4)テロの防止-という定義の曖昧な2分野を加えて、何でも「特定秘密」に加えることを可能にしたためです。
見かねた「インターナショナル・ニューヨーク・タイムズ」までが29日の社説で指摘したとおりです。
DIAMOND online 2013年10月31日号に、軍事ジャーナリストの田岡俊次氏が「日本に『スパイ防止法』がないは誤り 焦点ボケの『特定秘密保護法』は古色蒼然」と題する記事( http://diamond.jp/articles/-/43782 )を書かれていて、その中で「既に多々存在する秘密漏洩防止の法律」として5つの法律を上げています。そして日本には「スパイ防止法」と銘打った法律はないが、スパイ行為はこれらの法律違反で摘発、処罰することができると述べています。
新たに「秘密保護法」を制定す必要などないことは、広く言われているところです。
新たに「秘密保護法」を制定す必要などないことは、広く言われているところです。
同記事の抜粋も併せて紹介します。
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秘密保護法案 40万件超直ちに秘密指定 さらに増大の危険
しんぶん赤旗 2013年11月3日
政府は、現時点で秘匿している「特別管理秘密」41万2931件を、「秘密保護法案」で機密保護の対象となる「特定秘密」に移行させる方針であることが2日までに明らかになりました。担当の礒崎(いそざき)陽輔首相補佐官が、共同通信とのインタビューで「特別管理秘密」の件数をあげながら、当初指定の「特定秘密」を約40万件と示唆したことを各紙が報じたものです。しかし、「特定秘密」はあらゆる行政機関にわたるため、さらに増大する危険があります。
政府は、2007年につくった秘密基準に該当する情報を「特別管理秘密」としています。日本共産党の赤嶺政賢衆院議員に対する政府の答弁書(今年3月12日)では、その件数は16府省庁で計41万2931件にのぼるとしています。(表)
「特別管理秘密」を扱っていい職員かどうかを選別するために、国の行政機関が本人に通知せずに身辺調査した国家公務員は、少なくとも6万4380人にのぼります。
今回の秘密保護法案では、「特定秘密」の対象は「防衛」「外交」「特定有害活動の防止」「テロリズム防止」の4分野としていますが、「特定秘密」を指定する決定権は行政機関の長に委ねられ、政府行政当局の恣意(しい)的判断で秘密は際限なく広げることができます。
秘密保護法案では、国家公務員だけでなく、「特定秘密」を取り扱う民間人まで身辺調査を行い、調査対象は家族や友人にも及びます。
仮に秘密保護法案が成立した場合、さらに国民の「知る権利」が侵され、多くの国民がプライバシー侵害など重大な人権侵害の危険にさらされる危険があります。
日本に「スパイ防止法」がないは誤り
焦点ボケの「特定秘密保護法」は古色蒼然
田岡俊次 (軍事ジャーナリスト) DIAMOND online 2013年10月31日
国家の安全保障にかかわる機密情報を保護するための「特別秘密保護法案」が、国会に提出された。日本には「スパイ防止法」がないためとされるが、実質的にその機能を果たす法律は多々ある。何よりも問題はその捜査能力にある。いまや情報漏洩は古典的なスパイ活動よりもサイバー技術の発達で起きる。その点でも今回の法案は1950年代を想わせる古色蒼然たる代物である。
既に多々存在する秘密漏洩防止の法律
政府は10月25日、主として公務員による安全保障関係の秘密漏洩を最高懲役10年の刑に処する「特定秘密保護法案」を閣議決定し、国会に提出した。だが日本にはすでに公務員の秘密漏洩を罰する法律がいくつもあるのに、それで処罰された例は少ない。スパイがあまりいないのか、それとも摘発する捜査能力が不足なのか?いずれにせよ重罰化しても秘密漏洩の防止の効果は乏しそうだ。
今回提出された「特定秘密保護法案」に関するテレビの討論会や新聞のインタビュー等で政府・自民党の当局者は「日本には他国にあるスパイ防止法がない。スパイ天国だ」とその必要性を説く。だが実際には日本には公務員の秘密漏洩を禁止、処罰できる法律として
①「国家公務員法」(守秘義務違反は1年以下の懲役、教唆、共謀した民間人も処罰可能)
②「地方公務員法」(罰則は同じ、大部分の警察官にはこれが適用される)
③「自衛隊法」(「我が国の防衛上特に秘匿することが必要」で「防衛秘密」に指定されたものの漏洩は5年以下の懲役、それ以外は1年以下)
④「刑事特別法」(米軍の方針、計画、部隊の編制、配備、行動人員、装備の種類などの機密を探知、収集、漏洩する者は10年以下の懲役。この法律の正式名称は「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法」という長い名前だ)
⑤「日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法」(自衛隊が米国から導入する装備の構造、性能、技術、使用法、品目、数量などの秘密を探知、収集、漏洩する者は10年以下の懲役)
などが存在している。これらの法律では公務員だけでなく、秘密の収集や漏洩を共謀したり教唆、煽動した民間人も(もちろん外国人も)処罰できる。
日本には「スパイ防止法」と銘打った法律はないが、スパイ行為はこれらの法律違反で摘発、処罰することができる。「汚職防止法」がなくても、刑法に「収賄罪」「贈賄罪」があるのだから、「汚職野放しの役人天国」ではないのと同様だ。
(後 略)
註.以下に項目のみを示します。
漏洩で起訴された公務員が少ないのはなぜ
安倍総理が挙げる漏洩事件とは
国際テロ捜査情報流出事件
詳細は下記のURLでお読み下さい。