秘密保護法違反で逮捕されるときは、当人はなぜ逮捕されるのか分かりません。国民は何が秘密事項であるのかを知らないのですから、抗弁のしようもありません。それは逮捕者支援組織にとっても同じことです。
秘密事項については警察自身も知らないので、ひたすら政府・行政側からの告発に基づいて逮捕することになります。役人の言うがままというわけです。
逮捕されればその後は徹底的な家捜しが行われ、パソコンのデータやアクセス履歴なども徹底的に調べられます。知識欲が旺盛な人であればそこには膨大な資料が保存されていて、膨大な件数のアクセス歴も残っています。それを一つひとつ問われても、収集した理由や動機などとても思い出せるものではありません。
その後は世界も驚く人質司法の常法で、自白するまで無期限に拘留されることになります。
秘密事項は弁護士も分からないので弁護活動も大いに制約されます。それは起訴されて舞台が法廷に移っても同じです。そして裁判の主題が何であるかも分からないままに進行していくことになります。・・・・・
法治国家であればそんなことはあり得ないと思うでしょうが、そんなことはなく秘密保護法が成立すればいつでも起こり得ることです。
31日、国会内で行われた超党派・市民の秘密保護法案の勉強会で、捜査や起訴といった刑事手続きや裁判はどうなるのかが議論されました。
しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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許すな!秘密保護法案 理由も秘密のまま逮捕
裁判官や弁護士も処罰の対象に
しんぶん赤旗 2013年11月2日
外交・軍事情報から原発施設関連まで広範な行政情報を「特定秘密」とし、国民を処罰する「秘密保護法案」。「何が秘密かも秘密」にする同法案のもとで、捜査や起訴といった刑事手続きや裁判はどうなるのか―。10月31日、国会内で行われた超党派・市民の勉強会で議論となりました。
法案は、「秘密」を漏らす行為(未遂や過失を含む)や探知する行為(管理侵害行為)を処罰する仕組み。それらの「共謀、教唆、扇動」も処罰の対象です。
しかし、「秘密」の中身は国民には知らされず、何が処罰の対象になるか国民にはわかりません。勉強会で、警察庁警備局警備企画課長の村田隆氏は、(1)告発がなされた場合 (2)別件で捜査し書類などが発見された場合に「捜査を開始する」と説明。しかし、捜索令状や逮捕状に被疑事実が明記されるのかは明言しませんでした。犯罪とされた事実もわからないまま、捜査対象になったり、逮捕される場合もあるのです。
「認識」どう調べる
政府は「特定秘密であるという“認識”がない場合は処罰対象になりません」(村田氏)ともいい訳します。しかし、その“認識”をどう調べるのか。
日本共産党の仁比聡平参院議員が「どうやって誰がただすのか。拘束して自白を迫るしかないじゃないか」と迫ると、村田氏は「慎重に捜査するとしか言いようがありません」と否定しませんでした。自白を迫るか、盗聴などで日ごろの会話を調べる以外にあらかじめ「認識」を知ることはできません。
裁判の主題が不明
裁判ではどうなるのか。勉強会では、内閣情報調査室の早川智之氏が「裁判でも『秘密』を開示することにはならない」「弁護人が特定秘密を入手することは考えられない」と答えました。裁判官だけに「秘密」を提示する場合があるとしましたが、その場合は裁判官も「処罰の対象となる」(早川氏)のです。
被告人はもちろん、裁判官も弁護人も、裁判の主題が何であるかがわからない。それどころか弁護のため「秘密」を探れば弁護士も逮捕され、「秘密」を漏らせば裁判官も処罰される―異様な刑事裁判です。