パキスタンで農作業中の祖母が無人機による爆撃で殺され、少年も重症を負った遺族たちが米議会で会見を行いました。
少年の父親は「なぜ畑で作業していた母親が殺されなければならないのか。どう説明するのか」と、怒りをあらわにしました。
「無人機が飛んでいるのが見えた」が、「自分たちは戦闘員ではないので攻撃されないと思った」少年は、その爆撃で重傷を負いました。
無線電話等の情報だけで米本土から遠隔操作でミサイル爆撃を行うのですから、絶えず誤った爆殺が行われ、その都度周囲の無関係の人たちが巻き添えになります。
そんな無人機に勝手放題に上空を飛び回られる市民の恐怖はいかばかりでしょうか。
そうした無人機攻撃に正当性などある筈もありません。米国の議員たちは自分たちの国が行っている「非道さ」を良く認識すべきです。
しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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米無人機 傷つく子ら 13歳少年 大爆発で重傷…もう外で恐ろしくて遊べない 9歳少女 怖くて走って逃げた 手から血が流れ続けた
パキスタン遺族会見 米に衝撃
しんぶん赤旗 2013年11月01日
「無人機が空を飛んでいる限り教育も受けられないし外でも遊べない。僕たちがどんな状況で暮らしているのか米国の人は知ってほしい」―パキスタンに住む13歳の少年の訴えです。米議会で29日、無人機攻撃の犠牲者遺族が会見しました。米国がテロ対策を理由に行っている攻撃が民間人を犠牲にし、攻撃対象とされた地域全体を恐怖に陥れ、生活を破壊している実態を浮き彫りにしました。(ワシントン=島田峰隆)
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「“(テロ対策のためには)民間人の犠牲は避けられない”という議論が米国にはある。しかし今日の彼らの証言は、無人機攻撃を正当化する議論の土台を揺さぶるものだ」
会見に同席した米下院議員の1人は、遺族の証言を聞いた印象をこう述べました。次々と語られる攻撃の実態に驚きを隠せない様子でした。
学校も行けない
会見したラフィク・ウル・レマンさんは、パキスタン北西部北ワジリスタン地区の小学校教員。2012年10月、無人機攻撃で母親を失いました。
「なぜ畑で作業していた母親が殺されなければならないのか。自分でも納得がいかないし、学校の子どもたちに、こんなひどいことをどう説明しろというのか」と怒りをあらわにしました。
レマンさんの息子ズバイル君(13)は攻撃の際、祖母のそばにいました。「無人機が飛んでいるのが見えたが自分たちは戦闘員ではないので攻撃されないと思った」のに、突然「地面全体が大きく揺れるような大爆発」に見舞われ重傷を負いました。
「以前はよく外で友達とクリケットやサッカーを楽しんでいた。でも今は恐ろしくて遊べない。恐怖で外出できず、みんな学校にも行かなくなった」と語りました。
レマンさんの娘ナビラさん(9)も「悲鳴が聞こえた。真っ暗で何も見えなかった。怖くて走って逃げた。手から血が流れ続けた」と攻撃時の恐怖を語りました。
会見では、米国の映画監督、ロバート・グリーンウォルド氏がパキスタンで取材した無人機攻撃被害者のドキュメンタリー映像が上映されました。
「少年は脅威か」
同氏は「公共の場にいる少年が米国の差し迫った脅威なのか」と批判。「調査も研究も裁判もなく、ただ臆測に基づいて人を殺す決定をしているのが無人機攻撃だ。責任者を追及する必要がある」と力を込めました。
オバマ政権は無人機攻撃を秘密作戦として詳細を公表せず、犠牲者は補償を求めることもできません。この日の会見には補償を求める遺族の弁護士も参加する予定でしたが、米政府はビザ発給を拒否しました。
会見の最後、レマンさんは「もしオバマ大統領に会えるなら言いたい」と語り、次のように強調しました。
「米国では誰もが安心して通りを歩き、暮らしている。パキスタンでも同じような暮らしができるようにしてほしい。私の家族に起きたことが間違いだったと認め、平和に暮らせる国を返してほしい」