2013年11月21日木曜日

NHKの秘密保護法案の報道はおかしい

 公共放送が政府の広報機関に堕しているのは大変問題です。NHKはいつも政権寄りと批判されてきましたが、最近ますますその度合いを強めています。
 目下の最大の問題である秘密保護法案の報道においても、しんぶん赤旗にはNHKの視聴者から、その報道姿勢が「あまりにもひどい」という抗議や意見が寄せられているということです。
 
 大手紙などもトップスは政府に牛耳られている面がありますが、さすがに社説では正論を書く新聞が増えてきました。それなのに法律で公平を保証され、誰に遠慮をすることもない筈のNHKが公正な報道を目指すのではなく、一貫して政府寄りの姿勢を貫いているのはなんとも異常なことです。NHKは国民への『露出量』が圧倒的に大きいだけに、こうした誤った報道の及ぼす害悪は絶大です。
 
 終戦直後にマスメディアが自己批判したあの声明は一体何だったのでしょうか。今にして思うと、あれは単に当時の占領軍に対する迎合であったのかも知れません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
おかしいぞNHK 中身伝えず「修正」協議ばかり
しんぶん赤旗 2013年11月20日
 NHKの秘密保護法案報道が「あまりにもひどい」と、本紙読者から抗議や意見が寄せられています。
 「与党と維新、みんなの修正協議ばかり何回も放送している。共産党などは報じない」(78歳・男性)、「こんなニュースを見ていると、修正して通過させる道か、自民党の原案しか選択肢はないように思うのではないか」(神奈川・女性)、「各党の見解の紹介に公平さを欠く。抗議の電話をしたが、いまだに繰り返されている」(埼玉・男性)。
 
 実際にどう報じているのでしょうか。4日から18日まで2週間分の「ニュース7」「ニュースウオッチ9」を見ると―。
 「ニュース7」では、3分前後のニュースを8回放送しました。中身は、担当大臣の答弁をそのまま流すのが中心です。14日以後は、与党と維新の会、みんなの党との修正協議の模様を伝える政局報道に終始。18日はトップで約8分間扱ったものの、修正協議の動向がほとんど。一方、法案反対の立場は、日本共産党の市田忠義書記局長の「廃案に追い込む」というコメントを数秒伝えただけでした。
 
 「ニュースウオッチ9」は2週間でわずか4回。国会で審議に入った8日は各党の質問を並べはしましたが、安倍首相の「適正に対応する」という答弁で締めました。あとは、「修正協議」を扱ったのみ。キャスターは「法案をめぐる駆け引きはさらに活発になります」などと、衆院通過を期待するかのようにコメントしました。
 
 識者が語る「視点・論点」でも法案を扱うことはありません。
 世論調査では、法案に「反対」「慎重」が多数を占めています。テレビジャーナリズムの存在そのものに関わる法案について、一度も特集を組まず政府の宣伝役を務めるNHKの姿勢は、異常です。
 
 9日に山口市で開かれた「視聴者のみなさまと語る会」(経営委員会主催)でも、参加者が「秘密保護法案報道の公平性」を問いました。放送総局長は「野党や弁護士会などの声明も放送しています。政府に比べると、ちょっと数が少ないという印象があるかもしれませんが」と答えざるをえませんでした。
 折しも、「安倍首相と近い」と指摘される5人のNHK経営委員人事が国会で承認されたばかり。その影響で「ニュース報道がねじ曲がっているのではないか」との指摘もあります。公共放送の在り方が、大きく問われています。 (佐藤研二)