「核兵器のない世界」の実現を目指す国際会議「第5回核兵器廃絶-地球市民集会ナガサキ」は2日~4日の3日間、長崎市の長崎原爆資料館などで開かれました。
市民や国内外の非政府組織(NGO)関係者たちが、3日間で延べ3280人集まり熱心な討議が行われました。
最終日の4日、「核兵器の非人道性」を世界に伝えるよう日本政府に求める「長崎アピール2013」を採択し、3日間の日程を終えました。
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地球市民集会ナガサキ閉幕
長崎新聞 2013年11月5日
「核兵器のない世界」の実現を目指す市民や国内外の非政府組織(NGO)関係者らが集う国際会議「第5回核兵器廃絶-地球市民集会ナガサキ」は4日、長崎市平野町の長崎原爆資料館で全体会議と閉会集会を開き、「核兵器の非人道性」を世界に伝えるよう日本政府に求める「長崎アピール2013」を採択。3日間の日程を終えた。
被爆者が長年訴えてきた「核兵器の非人道性」への注目が国際的に高まりつつある中、核兵器禁止条約に関する分科会などを開催。朝長万左男実行委員長は閉会後の会見で「今後に向けた展望が開ける議論となった」と総括した。
長崎アピールは朝長委員長ら11人で作成。今回、世界に向けたメッセージと区別して、米国の核兵器に依存し続ける日本政府に対する提案を掲げたのが特徴。唯一の被爆国としての自覚を促し、▽「核の傘」依存からの脱却▽北東アジア非核兵器地帯の創設に向けた韓国政府との協議開始▽福島第1原発事故の対応で独立した国際的な専門家への協力要請-など4項目を盛り込んだ。国際社会に対しては、核兵器全面禁止と廃絶に向かう交渉開始など8項目を要望。
アピールは国連や外務省、約150カ国の在日大使館に送付し、実行委のホームページにも掲載する。
閉会後、約120人が核廃絶を訴える横断幕を掲げ爆心地公園までパレード。3日間の参加者は延べ3280人(主催者発表)で、10年2月の前回より約550人減少した。
地球市民集会ナガサキ:原発事故「風化させないで」 核廃絶「国際世論の支持」
毎日新聞 長崎 2013年11月04日
長崎市の原爆資料館などで開かれている「核兵器廃絶−地球市民集会ナガサキ」は3日、原発事故の被災地・福島や、核兵器禁止の法的枠組みなどに関する四つの分科会があった。最終日の4日に「長崎アピール」を採択する。【小畑英介、樋口岳大】
◇福島原発事故
福島第1原発事故がテーマの分科会では、福島県浪江町から南相馬市に避難している同県立小高工高3年の吉田有沙さん(18)がパネリストとして出席し「忘れないでください。教訓にしてください。いらぬ差別を受け、未来に不安を抱えて暮らす人をもう一人として出さないでほしい」と訴えた。
吉田さんは原発事故直後、放射線量の高い浪江町津島地区に避難させられ、「正しい情報があればする必要のなかったはずの被ばくの事実を知った時、未来への不安が一層強くなった」と語った。
事故後、避難所など8回の転居を余儀なくされ、現在も原発から約10キロの自宅には帰れない。「大人には二度と同じことを繰り返さないための正しい選択をしてもらいたい。福島の現状を正しく理解し、風化させないでほしい」と訴えた。
東大大学院の高橋哲哉教授は、過酷事故がもたらす犠牲の大きさや被ばく労働などの問題点を指摘。「原発は、ある人々の利益が別の人々の犠牲にのみ成り立つような『犠牲のシステム』。できる限り速やかにやめるしかない」と述べた。
◇核兵器禁止
核兵器のない世界実現に向けた国際的な法整備について話し合う分科会「核兵器禁止の法的枠組みをめざして」では、国際法の専門家やNGO代表ら5人が意見を交わした。
NGO「核戦争防止国際医師会議」のティルマン・ラフ共同代表は「核兵器廃絶のリーダーシップを核保有国には期待できない」とし、同盟関係にある非保有国が、廃絶へ向けた機運を高めることの必要性を述べた。
軍縮国際法などが専門の黒沢満・大阪女学院大教授は「国際世論の支持を受け、核兵器を持つ正当性をなくすことが法整備に必要」と指摘。核抑止論の有用性を低下させる議論づくりや、常任理事国を核保有国が占める国連安保理の改革など、多角的なアプローチを提案した。
日本反核法律家協会事務局長の大久保賢一弁護士は、法整備に政府が積極的に取り組むには、国会議員の多くが政策に掲げる必要に触れ、「市民が候補者らに何を働きかけるかが問われる」とした。〔長崎版〕