与党は秘密保護法案は、「27日に参院審議入り」すれば今国会で成立できるとして、衆院採決を26日まで延ばし、みんなの党に加え維新の会の賛成も得たい考えということです。
それに対して朝日新聞は20日の社説で、みんなの党との修正合意や維新の会との修正協議の内容を「まやかしの修正」だと批判しました。確かにそれらは修正に値するものなどではなく、与党から赤子の手を捻るがごとく扱われながら、それを得々と成果と捉えているみんなの党の感覚は寒心に耐えません。
朝日新聞は、「そもそも個別に与党と協議するやり方で、抜本的な修正をのませることは難しい。結局、『議論は尽くした』という口実を与党に与え」るだけだとしています。まことにその通りで情けない話です。
演劇関係23団体は19日、「私たちは『特定秘密保護法案』に断固反対します」との緊急アピールを発表しました。
戦時下に最終的に劇団を強制解散させられた歴史を振り返り、秘密保護法案は、「先人たちの思いを根底から覆し、人間の尊厳を否定するもの。弾圧の歴史を繰り返してはならない」と批判しました。
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秘密法案、衆院採決26日も想定 与党、維新と再協議へ
朝日新聞 2013年11月20日
自民、公明両党は20日、特定秘密保護法案の衆院通過時期を当初想定した22日から来週にずらし、26日をめざす方向で調整に入った。日本維新の会との修正協議の状況を見極めるとともに、民主党の対案も衆院国家安全保障特別委員会で審議するためだ。与党は20日午後、維新との間で、特定秘密の指定期間を「60年」とし、武器や暗号など7項目を例外とする修正案について再協議する。
自民党の石破茂幹事長は20日朝の自民、公明両党の幹部会合後、「今週中(の衆院採決)という方針でやってきたが、要は今国会中に法案が通ることを念頭にやっていかねばならない」と表明。衆院特別委は20日昼の理事会で、採決の前提となる安倍晋三首相出席の質疑を21日は見送ることを決めた。地方公聴会の見送りも決めた。公明党の漆原良夫国会対策委員長も「参院での審議入りは27日。衆院採決は22日でも26日でも同じ」と26日を選択肢に挙げた。
与党が採決先延ばしを検討し始めたのは、安倍首相と公明党の山口那津男代表が19日の会談で幅広い合意形成に努めることで一致するなど、野党の賛同を増やす狙いからだ。与党は修正合意したみんなの党に加え、維新の賛同も得たい考えだ
特定秘密保護法案―この修正はまやかしだ
朝日新聞 2013年11月20日
自民、公明の与党とみんなの党が、特定秘密保護法案の修正に合意した。与党は、日本維新の会とも修正協議を続けている。安倍政権はこれらの党の賛成を得て、週内にも衆院を通過させたい考えだ。
この法案は重大な問題を抱えている。何が秘密に指定されているのか分からないという「秘密についての秘密」が、知らぬ間に広がりかねない点だ。
いち早く合意したみんなの党との修正は、法案のこんな危険な本質を改めるものではない。これをもって「秘密の際限ない広がりに歯止めがかかった」というみんなの党の言い分は、理解できない。
修正の柱は、特定秘密を指定する外相や防衛相らに対する首相の指揮監督権を明記することだという。
首相は、秘密の指定と解除などの統一的な基準をつくる。運用について必要があれば閣僚らに説明を求め、改善を指示する。こうした状況を有識者会議に報告し、意見を聞く。これで「第三者機関的観点からの客観性」を担保するそうだ。
首相と閣僚という身内同士に形式的規定を設けたところで、一体どんな「客観性」が担保されるというのだろう。
また、特定秘密に該当する情報として法案別表に列挙された23項目のうち、幅広い解釈を許す余地がある「その他の重要な情報」との表現を一部削る。
代わりに「国民の生命及び身体の保護に関する重要な情報」といった、やはり広く解釈できる文言を入れるという。
これでは、賛成の理由をつくるための、まやかしの修正だと言われても反論できまい。
日本維新の会は、独立したチェック機関の設置と指定期間の上限を30年とすることを要求している。一方、民主党は秘密の範囲を限定したり、第三者機関を設けたりするための複数の対案を国会に出した。
野党は、「法案に問題あり」との一点で共闘するにはいたらなかった。そもそも個別に与党と協議するやり方で、抜本的な修正をのませることは難しい。結局、「議論は尽くした」という口実を与党に与えているだけではないか。
日弁連や日本新聞協会、外国特派員協会、歴史や憲法の研究者、そして多くの市民団体が反対や懸念を表明するなか、安倍政権はたった2週間の審議で衆院を通過させ、成立を図ろうとしている。あまりに性急だ。
それが「1強時代」の与党の流儀なのか。とても受け入れることはできない。
私たち演劇人は反対します 23団体が緊急アピール
“弾圧の歴史繰り返すな”
しんぶん赤旗 2013年11月20日
「特定秘密保護法案」に反対する劇団有志の会は19日、「私たちは『特定秘密保護法案』に断固反対します」との緊急アピールを発表しました。
アピールには演劇集団円(橋爪功代表)、テアトル・エコー(熊倉一雄代表)、劇団文化座(佐々木愛代表)、劇団民藝(奈良岡朋子代表)、無名塾(仲代達矢代表)ら23団体が連名で参加。アピール発表後も、多数の劇団から、有志の会に法案反対の意思が寄せられています。
アピールは、新劇の歴史をふり返り「戦争遂行のための『治安維持法』により、劇団の俳優、演出家、作家は投獄、監禁され、台本の検閲による表現の制限、ついには劇団の強制解散へと弾圧は拡大した」とのべ、秘密保護法案は「先人たちの思いを根底から覆し、人間の尊厳を否定するもの」だと批判しています。
法案は日本を戦争ができる国にする狙いが明白だとして、「平和であってこそ国民が演劇文化を鑑賞する楽しみの充実があります」と訴えています。
名前を連ねた23劇団
23劇団による秘密保護法反対の緊急アピールに名前を連ねた劇団は次のとおりです。(第1次分)
劇団1980(代表・柴田義之)
ミュージカルカンパニー・イッツフォーリーズ(代表・土屋由美)
劇団うりんこ(代表・原田邦英)
劇団NLT(代表・川端槇二)
演劇集団円(代表・橋爪功)
劇団風の子(協議会議長・金田拓)
関西芸術座(代表・門田裕)
劇団京芸(代表・藤沢薫)
こまつ座(代表・井上麻矢)
劇団昴(杉本了三)
秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場(代表・福島明夫)
前進座
テアトル・エコー(代表・熊倉一雄)
劇団東演(代表・山田珠眞子)
東京演劇アンサンブル(代表・入江洋佑、志賀澤子)
東京芸術座(代表・北原章彦)
劇団銅鑼(代表・佐藤文雄)
俳優座(代表・岩崎加根子)
人形劇団プーク(代表・渡辺真知子)
文学座(代表・加藤武)
劇団文化座(代表・佐々木愛)
劇団民藝(代表・奈良岡朋子)
無名塾(代表・仲代達矢)
秘密保護法案、今国会で成立へ 自公と維新が修正合意
東京新聞 2013年11月21日
自民、公明両党は20日夜、特定秘密保護法案をめぐり日本維新の会と修正合意した。漏えいが禁じられる「特定秘密」の指定期間が主要論点だった。与党は最長60年の原則を超えて期間延長できる例外7項目について「人的情報源に関する情報」などと当初案から絞り込む案を示し、日本維新が受け入れた。与党は26日に衆院を通過させる構え。みんなの党に続く修正合意により、今国会で成立する見通しとなった。 (共同)