2013年11月18日月曜日

秘密保護法案 森氏を「代役」に立てて拙速審議の狙い

 国会の秘密保護法案審議では、森雅子特命担当相法案担当大臣を務めていますが、その発言の迷走が問題となっています。実は森氏は本来の担当ではなくて、法案を立案した内閣情報調査室への指揮監督権は持っていません。そこを統括するのは官房長官なので、本来は菅義偉氏が担当大臣なのですが、一度も答弁に立っていません
 菅官房長官はNSC法案担当していて、現在は参院の特別委に出席中です。ですから本来であればNSC法案が決着した後に特定秘密保護法案の審議を始めるべきであったのですが、それでは今国会の成立に間に合わなくなるので、同時並行で審議するために森氏を「代役」を立てたということです
 んな異例の手法を使っても、国民の批判強い秘密保護法案政権の支持率が高いうちに成立させたいという狙いです。あきれ返る話です。 
 審議の中で満足な答弁も出来ないような粗雑きわまる悪法を、そんな姑息な手段を弄してまで通そうとするなどは許されることではありません。
 
 以下に東京新聞の解説記事と、秘密保護法を「今週中に」衆院を通過させたいとする 自民党の中谷氏の発言を紹介します。
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「代役」森氏立て拙速審議 秘密保護法案 NSCと同時成立狙う
 東京新聞 2013年11月17日 
 国家機密を漏らした公務員らへの罰則を強化する特定秘密保護法案の国会審議で、法案担当の森雅子内閣府特命担当相の発言が迷走を続けている。だが実は、森氏は本来の担当ではなく、国会審議だけの「代役」にすぎない。実際に責任を持つべき菅義偉(すがよしひで)官房長官は、一度も答弁に立っていない。国民の権利を侵害しかねない法案で、政府答弁の信頼性に疑問が投げかけられている。 (金杉貴雄、横山大輔)
 
 「(内閣情報調査室への指揮監督権は)持っていません」。十二日の衆院特別委員会。森氏の答弁に対し、共産党の赤嶺政賢氏は「権限を持った人が答弁していない。官房長官の出席が絶対必要だ」と追及した。
 法案を作成した事務局は、内閣官房の内閣情報調査室(内調)で、首相のもと官房長官が統括する。森氏は少子化対策などの内閣府特命担当相で、内調とは無関係。安倍晋三首相が九月十七日、同法案の担当に指名したが、既に法案概要は完成し、パブリックコメントも募集されていた。
 事実上「国会答弁だけ」が役割。特定秘密を指定し法律を運用する「行政機関の長」ですらないため、成立後は全く無関係になる。
 審議では森氏の発言と、事務方や他の閣僚の発言が食い違う例が続出。森氏の答弁を事務方が修正するケースも続くが、森氏に指揮監督権はない。政府の答弁が変わり、何が正しい見解か分からず、同じ質疑が繰り返されることも目立つ。
 
 なぜ本来の菅氏ではなく、「代役」が答弁するのか。政権が、同法案と日本版「国家安全保障会議(NSC)」設置法案の二法案を、短い会期の今国会で強引に同時成立させようとしているからだ。
 NSC法案の担当も菅氏。現在は衆院を通過し、菅氏は参院の特別委に出席しなければならないが、成立後に特定秘密保護法案の審議を始めたのでは今国会の成立に間に合わない。このため、同時並行で審議するため「代役」を立てた。そこには強引な手法を使っても、国民の批判や懸念が強い同法案は政権の支持率が高いうちに成立させたい、との思惑がみえる。
 森氏が選ばれたのは「弁護士出身で法律に詳しい」(政府関係者)との理由だが、もともとは消費者問題が専門で畑違いは明らかだ。地元の福島県議会からは「原発の情報が『特定秘密』に指定される可能性がある。民主主義を根底から覆す」との意見書を突きつけられている。
 法案の信頼性が得られない現状で、無理に成立させることは許されない。
 
 
秘密保護法衆院通過「今週中に」 自民党の中谷氏
東京新聞 2013年11月17日
 衆院国家安全保障特別委員会で与党筆頭理事を務める自民党の中谷元・元防衛庁長官は17日のフジテレビ番組で、特定秘密保護法案を今国会で成立させるため週内の衆院通過を目指す考えを示した。「参院(審議)のことを考えると今週が時間的限界だ」と述べた。21日を念頭に置いているとみられる。
 秘密指定の妥当性をチェックする第三者機関については、指定状況を国会に報告する修正案を示していると強調。さらに「政府の中に審査するものが必要かどうか、政党間で議論したい」と述べた。(共同)