2013年11月24日日曜日

米議会でもTPP交渉に不満高まる

 
 アメリカのオバマ大統領は、多国籍企業のメンバーをTPP交渉委員に任命するなどして、これまで議会には全く諮ることなく独断で交渉を進めてきました。それはTPP協定を来年の中間選挙に掲げるべき実績にしたいという、いわばオバマ氏個人の願望に基づくものといわれています。
 今年の6月に入ってようやくアメリカの議会にTPP交渉の内容が開示されましたが、それまで全くのつんぼ桟敷に置かれていた議会からは、当然ながら大いなる不満の声が上がっています。
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米議会、高まる不満 TPP「秘密交渉」与党も批判
東京新聞 2013年11月23日 
 【ソルトレークシティー(米ユタ州)=斉場保伸】大詰めの協議を迎えている環太平洋連携協定(TPP)交渉について米議会から、「秘密交渉」として不満が噴出している。TPPに関しては情報開示の少なさに日本でも自民党や市民団体から批判が強い。米議会の動向は米国が年内妥結を強く主張するTPP交渉の行方に影響を与えそうだ。
 
■反対姿勢
 批判はオバマ大統領のおひざ元のはずの与党の民主党から上がっている。「我々を外して協議を進めるなら、支持できない」。米下院の民主党議員らは今月中旬、オバマ大統領に書簡を出した。書簡には与党民主党の百六十三人が署名。民主党はTPPに懐疑的な労働組合や消費者団体などをバックにしており、「われわれに相談しないから交渉がずれ込んだ」といら立ちを隠さない。
 野党の共和党からも二十人以上が「議会への説明を強く求める」との声を上げており、下院過半数(二百十八人)に迫る二百人近い下院議員がオバマ政権を揺さぶっている。
■権限移譲
 通商交渉の結果を条約として認めるかの最終権限は議会が握る。
 オバマ大統領にとって最初の関門は、政府の通商権限を強める「大統領貿易促進権限(TPA)法」を議会が承認するかだ。同法が通れば、政府が他国と結んだ通商協定については議会には部分的な修正を許さず批准に賛成するか否かだけを問えるようになる。米政府はこうした権限がないと、「交渉が進めにくく、すべての項目で議会に諮るのは時間がかかりすぎる」として〇七年に失効した同法の復活を目指す。だが認められるかは不明だ。
■民間団体も
 「五億人以上の生命に影響を及ぼす恐れがある」。国際医療支援団体「国境なき医師団」は声明で米国の交渉姿勢を批判した。
 今月十三日、内部告発サイト「ウィキリークス」が八月段階の「TPP極秘文書」を暴露。背景に、医薬品業界の要望を背景に米国が医薬品の特許保護期間を延長するよう要求していることが記されており、市民団体などは「大企業へのクリスマスプレゼントと引き換えに薬が途上国の病人に届く機会を奪う」と批判する。
 これらの団体も議会への圧力を強めており、ピーターソン国際経済研究所のジェフリー・ショット氏は「今後政府は議会の意見を取り入れなければならなくなるだろう」と指摘している。
 
<条約交渉と批准手続き> 
 政府が他国と交渉して合意した協定や条約は議会の批准(同意)を経て効力を発する。日本では交渉は政府が担当する慣行。米国では法律上、交渉に関する議会の権限が強く、交渉が進まない原因になることもあったことから、交渉加速のために政府の権限を強化するTPA法が折に触れ導入されている。