カフェに集う感覚で憲法に親しもうという取り組みが少しずつ広がっています。
若手の弁護士たちが、そもそも憲法って何? まず憲法を知ることから始めようと、主にママ世代に呼びかけたもので、女性誌にも取り上げられ話題を呼んでいます。
きっかけは家族関係や雇用問題を多く扱ってきた太田啓子弁護士が、カフェで 集会や言論の自由など憲法について語ったことがママ友に受け、「出前講座」をするようになったもので、美容外科クリニックや教会にも呼ばれ、開催は30回を数えるほどになりました。
お好み焼きとかケーキを食べながら、例えば
「では始めまーす。まずはクイズです。国民は憲法を守らないといけない。○か×か」、あるいは「日本が外国から攻撃されたり領土に攻め入られたりしても、憲法9条の制約があるので武力行使することは禁じられている。○か×か」
と始めるということです。
そうすると参加する側も、憲法と口にした途端に、「周りに何かの団体の人?みたいに思われちゃうから」としりごみする人も、「お好み焼きとかケーキを食べながらだよ」と言うと、「面白そうね」とノってくれるということです。
参加する側の立場になって知恵を絞ったことが成功につながった好例です。
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憲法を知ろう 若手弁護士ら、カフェで冊子で
朝日新聞 2014年4月15日
「おいしく、ゆるーく憲法を知ろう」。カフェに集う感覚で憲法に親しもうという取り組みが少しずつ広がっている。呼びかけたのは若手の弁護士たち。集団的自衛権の行使容認のための憲法解釈の変更――。メディアはそう伝えるけれど、そもそも憲法って何? 知ることから始めようと、主にママ世代に語りかける。女性誌にも取り上げられ話題を呼んでいる。
4月の日曜日。東京都内のお好み焼き屋で30~40代の子連れの女性ら15人ほどが鉄板を囲んでいた。デザートが運ばれると「憲法カフェ」タイムが始まった。
「では始めまーす。まずはクイズです。国民は憲法を守らないといけない。○か×か」「日本が外国から攻撃されたり領土に攻め入られたりしても、憲法9条の制約があるので武力行使することは禁じられている。○か×か」
太田啓子弁護士(37)がテンポ良く聞く。憲法とは「国家権力の乱用を抑制し国民“を”守るもので、国民“が”守らないといけない法律とは違うんですよ」、日本への急な侵害や外交努力がうまくいかない場合など「三つの条件がそろえば、日本を守るための武力行使は現憲法でも出来るというのが政府の見解です」と説明すると、ケーキをつついていた参加者は「へぇー」とうなずいた。
友人と参加した神奈川県藤沢市のパート笠倉駒子さん(47)は「憲法と法律の違いもわからなかった」。2児の母。東日本大震災後、放射能問題や食材の安全など、身近な問題は政治とつながっていると痛感した。安倍政権が目指す「国のかたち」がどういうものか知ろうと思ったという。「でも憲法と口にした途端、周りに何かの団体の人?みたいに思われちゃう。お好み焼きとかケーキを食べながらだよと言うと、面白そうねとノってくれる」
太田さんは家族関係や雇用問題を多く扱ってきた弁護士。原発事故後、2歳の息子の尿からセシウムが検出され衝撃を受けた。放射能について母親同士で情報交換するようになった。ある時、ママ友が反原発デモは「してはいけないこと」と思っていたことを知り、集会や言論の自由など憲法についてカフェで語った。これがママ友に受け、「出前講座」をするようになった。美容外科クリニックや教会にも呼ばれ、開催は30回を数える。
「政治や憲法を難しく考えたり、話すのを恥ずかしがったりする人が多い。意外な場所で気軽に話すことでハードルを下げて『まず知憲』という動きを広めたい」。今後は週1回のペースの開催を目指すという。
メディアにも働きかける。「改憲に反対とか賛成と言う前に憲法を知った上で考えて」と、子育て世代の女性誌「VERY」に売り込むと、3月号で座談会の形で特集になった。
「憲法学習会とかって言うともともと関心ある人しか来ないし誘いづらい。おいしいものを食べながら、ついでに憲法知ってみよう、くらいが良い」
太田さんの「憲法カフェ」は次回、17日に神奈川県座間市のイタリアンレストランで開かれる。問い合わせは(046・251・3730)へ。