尖閣諸島に対して中国が台湾とともに領有権を主張し始めた1971年(沖縄返還は1972年5月)に、英外務省は日本、中国のいずれにも領有権を証明する歴史的証拠はないと判断し、どちらも支持しない立場を決めていたことが27日、英公文書で分かりました。
英国の「不関与政策」は現在も引き継がれています。
今度のオバマ氏の訪日でアメリカの大統領として初めて、沖縄県の尖閣諸島に日米安全保障条約が適用されるという考えを示しましたが、アメリカも尖閣諸島が日本の領土であるという明確な表現はしていません。また中国の名前が出る度に大いに評価をして、常に好意的にフォローすることを怠りませんでした。
主要友好国でさえ、「尖閣は固有の領土」、「領土問題は存在しない」という日本の主張とは一線を画しているわけです。この事実を、まずは安倍首相が冷静に認識する必要があります。
そして注目すべきは、1978年4月に、機銃で武装した100隻以上の中国漁船が領海侵犯を繰り返しましたが、福田赳夫内閣の抗議に対して中国は偶発的な事件だと答え、同年8月に日中平和友好条約を結んでいることです。
東京新聞【私説・論説室から】のコラム※が指摘したように、安倍首相は、7年前の第1次安倍政権時にも「わが国を取り巻く安全保障環境はむしろ格段に厳しさを増している」と訴え、それから7年が経った現在も瓜二つの言い方で、「わが国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増している」と繰り返しています。
安倍首相には、そんな風にして自らが先頭に立って情勢の切迫を煽り、集団的自衛権の行使容認に踏み切ろうとするのではなく、そうした先人の知恵を学んで欲しいものです。
※ 2014年4月25日「集団自衛権行使容認には憲法改正が必要 憲法審査会」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
英、日本の尖閣領有権に疑問 「固有の領土」支持せず
東京新聞 2014年4月27日
【ロンドン共同】尖閣諸島に対する中国の領有権主張が注目を集めた1970年末、在日英国大使館が本国に「日本の領有権主張には疑問が残る」と報告、英外務省は翌71年に日本、中国のいずれにも領有権を証明する歴史的証拠はないと判断、どちらも支持しない立場を決めていたことが27日、英公文書で分かった。
英の「不関与政策」は現在も引き継がれており、主要友好国でさえ、「尖閣は固有の領土」という日本の主張への立場表明を回避してきた実態が明らかになった。