2014年4月4日金曜日

私的安保法制懇、報告書提出日も首相の指示待ち

 安倍首相国会答弁でしばしば言及する「安保法制懇」こから出される報告書を待って首相が集団的自衛権の行使容認の解釈改憲をしようとしている組織 について、しんぶん赤旗が取り上げました。
 
 「安保法制懇」については、信濃毎日新聞が3月6日の社説で次のようにこき下ろしています。
 『そもそも私的懇談会のメンバーは、首相が意のままに集めたものであって、公正かつ均衡のとれた構成とは程遠い。
 懇談会はもともと、話し合いによって何らかの結論を出したり、方向付けをしたりする場ではない。報告書に盛られるのは、懇談会のメンバーの意見であり、一つの考え方にすぎない
 政権にとって都合のいい顔触れを集め、その提言を「錦の御旗」に憲法解釈を変えるとすれば、自作自演のようなものだ。』※1
  ※1 2014年3月7日 「信濃毎日が安保懇を批判 阪田元法制局長官も政府を
                批判 
 
 赤旗はそのことにも触れて、当然の批判であるとしています。
 
 そして首相が選んだメンバー集団的自衛権の行使容認に積極的な人ばかり極端な偏向ぶりで、昨年2月から6回開かれた会合で、行使容認に反対する意見は一度も表明されていないと述べています。
 
 そこで出される結論が当初から「容認」と決まっていたことは、発足早々に北岡座長代理がNHKのインタビューなどで明らかにしていました。その後 世論や国会の情勢などを踏まえて多少の軌道修正はあったようですが、行使容認と自衛権発動3要件との矛盾は乗り越えられないことも明らかにされていました。※2
※2  2014年2月24日自衛権発動の3要件は変更できな 集団的自衛権
                                   行使の矛盾 
 
 こうした経過から、理路整然とした報告書にはとてもなり得ないことはもう明らかなのですが、それにしても報告書の提出がだらだらと先延ばしになっているのは、なぜなのか分かりにくい話でした。
 
 赤旗の記事によれば、提出の日取りは安倍首相の改憲日程に従属していて、首相が最も都合のいいときに出してもらうということで、「法制懇」の方は「出してくれと言われればいつでも出す」ということです。
 まことに首相に従属し切った私的機関です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「安保法制懇」集団的自衛権行使 容認派ばかり 私的機関で“自作自演”
しんぶん赤旗 2014年4月3日
 安倍晋三首相は、国会答弁で「安保法制懇」での議論にしばしば言及します。その報告内容を利用し、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈を示す構えです。「安保法制懇」とはどんな組織でしょうか。
 
 正式名称は「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」。昨年2月、首相の“決裁”で設置された「私的諮問機関」です。
 
 そもそも「私的諮問機関」は、法令で設置される諮問機関(審議会)とちがい、政府通達などで「出席者の意見表明、意見交換の場にすぎない」とされています。その報告には法的拘束力もありません。
 
 「安保法制懇」のメンバーも首相が選びました。顔ぶれは集団的自衛権の行使容認に積極的な人ばかりで、極端な偏向ぶりが際立っています。実際、昨年2月から6回開かれた会合で、行使容認に反対する意見は一度も表明されていません。
 
 「政権に都合のよい顔ぶれを集め、その提言を“錦の旗”に憲法解釈を変えるとすれば自作自演のようなもの」(信濃毎日新聞3月6日社説)との批判も当然です。
 
首相の改憲日程に従属
自由法曹団改憲阻止対策本部 山崎徹弁護士の話 
 安保法制懇で議論しているのは、集団的自衛権の行使をどうしたら国民に受け入れやすくなるのか、その理由付けぐらいです。このような安保法制懇の報告書を「有識者」の見解であるとして権威づけし、内閣の閣議決定を正当化することは姑息(こそく)というほかありません。
 
 その報告書の提出時期も安倍首相の指示待ちの状態です。安保法制懇の北岡伸一座長代理は「政府から出してくれと言われれば出す」と述べています。安保法制懇は安倍首相の改憲日程に従属した機関です。

図