2014年4月11日金曜日

集団的自衛権行使容認の閣議決定を公言

 菅官房長官は9日の記者会見で、政府は、集団的自衛権の行使容認を巡る安倍首相の私的諮問会議安保法制懇の報告書の提出を受けて、憲法解釈見直しの「政府方針」をまとめ与党の理解が得られた段階で集団的自衛権の行使容認閣議決定を行う方針、であることを明らかにしました。
 
 また憲法改正を担当する礒崎総理大臣補佐官は9日夜、安保法制懇の報告書の提出時期来月の大型連休明けになるという見通しを示しました。
 磯崎氏は10日のテレビに出演して、砂川判決を理由にはしないが、「世界情勢の変化により集団的自衛権の限定的行使を容認する閣議決定」を行うと述べました(時事)。
 
 集団的自衛権の行使容認を閣議決定するということは、憲法9条の改変を閣議決定で行うということに他なりません。
 直近の世論調査でも、
朝日新聞では「集団的自衛権は行使できない」が63%(できるは29%)で、「解釈改憲で行使できる」は12%、
・毎日新聞では、「行使反対」が57%(賛成は37%)、「解釈改憲で行使」に反対が64%(賛成は30%)
であり、圧倒的多数の国民は集団的自衛権の行使(とりわけ解釈改憲による行使)に反対です。
2014年4月7日集団自衛 行使容認反対が63%に増加 朝日世論調査
      2014年4月1日集団的自衛権行使に反対が多数 毎日世論調査]
 こうした「2対1」乃至は「6対1」という圧倒的な反対の世論を無視して、閣議決定を行うなどという発想がどうして浮かぶのでしょうか。まさにナチス政権の手法であり、反動の極みです。
 
 ところで米国には、いまイラク・アフガン戦争からの帰還兵が「200万人」以上いて、そのうち60万人が戦地で経験した戦闘や破壊の恐怖から心的外傷後ストレス障害(PTSD)などを患っているということです
 もしも海外派兵の歯止めがなくなって、日本の自衛隊がアメリカの「無償の傭兵」として海外での戦争に狩り出されることになれば、いずれは同様のことが日本でも起きることでしょう。民生の圧迫、国民生活への圧迫はいうまでもないことです。
 
 幸いにして与党公明党は集団的自衛権の行使に反対の姿勢を崩していません。
 そもそも憲法9条を放棄してしまえば民生の安定などはあり得ません。平和を目指す党であれば頑張って欲しいものです。
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集団的自衛権の解釈改憲 閣議決定前に「政府方針」
 東京新聞 2014年4月10日 朝刊
 菅義偉(すがよしひで)官房長官は九日の記者会見で、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更に関し、安倍晋三首相の私的諮問会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の報告書を首相が受け取った後、憲法解釈見直しの原案となる「政府方針」をまとめて公表する考えを明らかにした。
 菅氏は「報告書を参考にしながら政府方針を出し、それに基づいて、与党で議論する。与党の理解が得られた段階で(集団的自衛権の行使を容認する解釈改憲を)閣議決定したい」と述べた。
 安保法制懇の報告書は法的な裏付けがない私的諮問機関の意見にとどまる。政府が与党との協議を円滑に進めるためには、政府自らの判断で報告書を精査して公式の「たたき台」をまとめる必要があると判断した。
 政府方針は日本版「国家安全保障会議(NSC)」の事務局である国家安全保障局が作成する。
 政府関係者によると、四月に提出されるとみられていた安保法制懇の報告書は五月の大型連休明けにずれ込む見通し。政府方針についても、首相周辺は「報告書を受け取っても、すぐに公表することはない」と、ある程度の時間をかけて検討する考えを示した。政府は与党との協議がまとまれば、夏以降に解釈改憲を閣議決定したい考えだ。
 
 
集団的自衛権 報告書は大型連休明けに
NHK NEWS WEB 2014年4月10日
国家安全保障を担当する礒崎総理大臣補佐官は9日夜、東京都内で記者団に対し、集団的自衛権の行使容認を巡る政府の有識者懇談会の報告書の提出時期について、来月の大型連休明けになるという見通しを示しました。
 
政府は集団的自衛権の行使を容認するための憲法解釈の変更について、政府の有識者懇談会から報告書が提出されたあと政府方針を示し、それに基づいて与党側と調整を行って理解が得られた段階で閣議決定したいとしています。
これに関連して、国家安全保障を担当する礒崎総理大臣補佐官は9日夜、東京都内で記者団に対し、有識者懇談会の報告書の提出時期について「まだ正式には決定していないが、大型連休明けになる見通しが強くなっている」と述べ、来月の大型連休明けになるという見通しを示しました。
そして、礒崎氏は「報告書が提出されたあとは基本的には与党内にプロジェクトチームを立ち上げてもらい、まずは政府として報告書の説明をする。そのうえで、与党内で意見をまとめてもらいたい」と述べました。
 
 
「砂川判決 根拠にならず」 集団的自衛権 公明副代表が指摘
 東京新聞 2014年4月10日 朝刊
 公明党の北側一雄副代表は九日、最高裁が一九五九年に出した砂川事件判決について「集団的自衛権は問題になっていない」と指摘した。砂川判決が集団的自衛権の限定的な行使を容認する根拠になるとの考えを示した安倍晋三首相の発言を否定するものだ。 
 
 北側氏を中心とする党内勉強会「安全保障に関する研究会」が国会内で開いた第四回会合で砂川判決について議論した後、記者団の質問に答えた。北側氏は集団的自衛権に関する政府と自民、公明両党の協議に、公明党を代表して臨むとみられている。六日には首相とゴルフを楽しんだ。
 砂川判決は「(国の)存立を全うするために必要な自衛のための措置」を認めた。首相は八日に「集団的自衛権を否定していないことは、はっきりしている」と指摘した。
 北側氏は記者団に「砂川判決は、わが国には固有の自衛権があり、安保条約を結んで他国に安全保障を求めることができると述べている。ここから、集団的自衛権が認められているという根拠にするのはどうなのか」と強調した。勉強会に説明のため出席した衆院法制局の担当者は「砂川判決は個別的自衛権を認めたものと解釈するのが一般的な学説」との見解を示した。