10日夜開かれた、日弁連主催のシンポジウム「集団的自衛権と憲法-『積極的平和主義』を問う」で、阪田雅裕元内閣法制局長官や半田滋東京新聞論説委員たちと一緒に北澤俊美元防衛大臣が講演しました。
講演で北澤氏は、安倍政権が集団的自衛権の行使容認の解釈改憲に意欲を示していることについて、「憲法解釈の変更で集団的自衛権の行使を容認することは立憲主義に反し、自衛隊にとっても死活問題だ。たとえ総理大臣であっても過去の解釈と整合性のとれない変更をすることは許されない」と批判しました。
同氏は、自衛隊員と憲法9条の関係について、これまでも次のように発言してきました。
「2年間防衛相をやって、一番心強かったのは憲法9条。中国の動きが激しくなる、米国にもどう対応すればいいのかという狭間で、憲法9条があるから『そこのところまで』となる。憲法9条が最大のシビリアンコントロールだったとしみじみ感じるのです」(民主党の「近現代史研究会」での発言)
「あちこちの部隊に行ったから分かるが、自衛官はみんないい若者だ。東日本大震災で献身的な活動をしただろう。あれが本当の自衛官だ。しかし、国防軍になるとみんな逃げ出して、違う性質の者と入れ替わるのではないかと心配だ」(半田滋氏によるインタビューに答えて) (註.以上「弁護士・金原徹雄のブログ」より引用)
一人の首相、一つの内閣で勝手にしかも突然憲法9条が放擲された場合に、自衛隊員たちにどのように影響するのかについての思いがけない指摘で、まさに自衛隊員の人権に関する話です。
追記) NHKがこのように政権を痛烈に批判するニュースを取り上げるのは珍しいことで、そうしたニュースは、ゴールデンタイムを避けて朝の4時・5時台だけで報じられることがあります。このニュースも、時刻4:22のアップになっています。
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憲法解釈変更で容認は立憲主義に反する
NHK NEWS WEB 2014年4月11日
集団的自衛権と憲法について考えるシンポジウムが10日夜、都内で開かれ、防衛大臣や内閣法制局長官の経験者が、「憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認するのは立憲主義に反する」などと批判しました。
シンポジウムは、日弁連=日本弁護士連合会が開いたもので、最初に、北澤俊美元防衛大臣が講演しました。
この中で、北澤元防衛大臣は、安倍総理大臣が集団的自衛権の行使を容認するための憲法解釈の変更に意欲を示していることについて、「憲法解釈の変更で集団的自衛権の行使を容認することは立憲主義に反し、自衛隊にとっても死活問題だ。たとえ総理大臣であっても過去の解釈と整合性のとれない変更をすることは許されない」と批判しました。
続いて行われたパネルディスカッションでは、集団的自衛権の行使を容認する根拠として昭和34年に出された「砂川事件」の最高裁判決が引用されていることが議論になりました。
パネリストの1人で、元内閣法制局長官の阪田雅裕さんは、「当時は、国際法上、集団的自衛権の概念も明確ではなかった。これまで議論になったこともない判決を根拠に憲法解釈の変更を正当化するのは不可解だ」と指摘しました。会場を訪れた女性は、「安倍政権に危機感を感じ、憲法の勉強を始めました。子どもや孫を戦争には行かせたくないので反対の声を上げていきたい」と話していました。