2014年4月20日日曜日

厚労省が不当な生活保護省令案を修正

 生活保護の申請手続き等を厳格にした改正法案は、特定秘密保護法案が大問題となっている陰で昨年末成立しました。
 同法は審議過程で① 申請書の提出保護の決定までに行えばよい ② 血縁者が援助を断る場合、理由の説明は極めて例外的な場合に限って求める などに緩和・修正されましたが、2月末に公表された厚労省令案(=国会審議を要しないで実施)にはそれらが反映されていなかったため問題となりました。
 
 それに対して研究者や弁護士、NPO法人代表などが修正を求める意見を寄せるよう呼び掛けた結果、パブリックコメント(意見公募)として、口頭申請が阻まれる、申請が厳格化される、扶養義務が強化されることなどへの懸念が表明され、国会答弁を守るべきだという多数の意見が表明されました(コメント数は1166)。

 厚労省はそうした国民の声に動かされる形で、省令案を国会答弁や与野党修正に沿う内容に修正しました。 
 省令案の抜本的な修正を求めていた生活保護問題対策全国会議は「国会答弁に沿った内容に大きく修正されている」と評価するコメントを出しました。
 
 当然の対応とはいえ、国民の声により官僚や為政者による不正が正されたのは喜ばしいことです。
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省令案 生活保護厳格化を修正 反対の声、行政動かす
東京新聞 2014年4月19日
 厚生労働省は十八日、改正生活保護法の実務の指針となる省令案を修正した上で公布した。厚労省が二月末に公表した省令案は、与野党による改正法の修正や政府側の国会答弁が反映されておらず、研究者や弁護士、NPO法人代表などがパブリックコメント(意見公募)に修正を求める意見を寄せるよう呼び掛けていた。集まった意見は千百六十六件に上り、厚労省は国民の声に動かされる形で、省令案を国会答弁や与野党修正に沿う内容に修正した。(上坂修子)
 
 改正生活保護法の政府原案は申請時に申請書の提出を義務付けたが、与野党で保護の決定までに提出すればよいと解釈できる表現に修正した。だが、厚労省が決めた省令案では政府原案の表現に戻されてしまい、そのまま公布されれば、与野党の修正が無視され、申請時の申請書提出が必要となるところだった。公布された省令は、法案の修正に沿ったものになった。
 自治体が保護を始める時に扶養義務者に書面で通知したり、援助を断る扶養義務者に説明を求める「扶養義務の強化」に関しても、「極めて例外的な場合に限る」との政府答弁に即した内容に直された。省令案は原則として扶養義務を強化する内容になっていた。
 
 省令案の抜本的な修正を求めていた生活保護問題対策全国会議は「国会答弁に沿った内容に大きく修正されている」と評価するコメントを同日出した。
 厚労省は二月末から三月末までパブコメを実施。寄せられた意見のほとんどが申請手続きの厳格化や扶養義務の強化を懸念し、見直しを求める内容だった。
 パブコメは行政機関が政省令などを決める際、事前に案を示し、国民から意見を求める手続き。二〇〇六年度に正式に始まった。
 〇九年度実施のパブコメ七百六十五項目のうち三百四十七項目(45・4%)は意見ゼロ。一~二十件が三百四十四項目(45%)で、五百件以上は十項目(1・3%)にとどまった。百三十六(17・8%)項目で意見が反映されたとしているが、「大幅に修正されたケースはない」(総務省行政手続室)という。
 パブコメに詳しい常岡孝好(つねおかたかよし)学習院大教授(行政法)は「かなり大幅な修正があったので評価できる」とした上で「パブコメに期待されるのは、行政の裁量や政策判断をより望ましい方向に変えること。あまり想定されていなかったが、今回は法律の趣旨に反する案が出された時にも是正することができるという良い例だと思う」と語った。
 
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