2014年12月7日日曜日

円安倒産が急増 アベノミクスの破綻

 円はついに1ドル120円の大台に乗りました。120円を突破するとあとは糸の切れたタコのように制御のしようがなくなると言われています。
 中小企業が耐えうる限界はもうとっくに超えています。この先一体どうなるのでしょうか。
 
 京都新聞が社説で円安倒産の急増を取り上げました。
 11月の円安倒産は42件で昨年同月の2・3倍、月間の円安倒産件数はこれで3カ月連続で記録を更新しているということです。
 
 たしか安倍政権は衆院選に当たって、アベノミクスで倒産件数が減ったことをウリにしていた筈です。
 政府の政策で結局過度の円安を生じさせた以上、応急手当てとして中小企業に対して支援を行う責任があります。
 それだけでなく国民はますます円安・物価高騰に苦しめられることになります。大企業と富裕層の大儲けを演出している政府は、この国民への責任は一体どう考えているのでしょうか。

 それに安倍首相が何とかの一つ覚えのように使っているトリクルダウン理論については、 あいば達也氏が、東大の大沢真理教授がアベノミクスのトリクルダウン現象等と云うものは、1990年代から成長神話の一部として語りつくされたことであり、実は日本の社会では絶対に起きない現象だと云うことは、既に定説に近いものなのである」と語っているということを紹介しています
 
 間違いだらけのアベノミクスということです。
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(社説) 円安倒産の急増  実体経済の痛み直視を 
京都新聞 2014年12月06日
 円安による今年の企業倒産が300件を超えた。もはや、円安がもたらす痛みの大きさから目をそむけられない深刻な事態である。
 帝国データバンクの調査によると、11月に円安の影響で倒産した企業数が42件に上った。前年同月比の2・3倍だ。昨年1月の調査開始以来、円安倒産の月間最多件数を3カ月連続で更新した。
 今年1月からの累計は301件に及ぶ。前年の3倍に近い。京都、滋賀でも計9件が倒産した。運輸、繊維、食品、建設など輸入コストの高騰を価格に転嫁しにくい業種が特に犠牲になっている。
 
 円安の最大要因はアベノミクスである。2年前、安倍政権発足時の円相場は1ドル=85円。「円高はデフレの元凶」とする政権の意向を踏まえ、日銀が「異次元の金融緩和」により通貨の供給量を増やしたことで、円の価値が相対的に下がり、円が売られた。
 輸出型の大企業を中心に、為替差益などが出て業績が伸びた。関連する株価も上がった。金融緩和が円安・株高を生んだ面は認められよう。だが、原材料を輸入に頼る内需型の企業、中小企業は経営が苦しくなった
 それでも今夏までは102~105円程度で推移していたが、秋から相場が荒れ始めた。10月に日銀が突然、追加の金融緩和を決めたことが大きい。逆に景気が回復した米国は同月、バブルへの懸念から量的金融緩和を終えた。
 金利上昇を当て込み、為替相場はドル買い円売りが一気に進んだ。輸出企業の海外生産が進んだことで輸出量は伸び悩み、貿易赤字が過去最悪水準になっているのも円売りに拍車をかける。
 この1カ月余りで円は10円強も急落した。7年ぶりの水準だ。米国は来年にも利上げするとみられ、下落が止まる気配はない。「円安は景気にプラス」としていた経団連からも、「急激な為替変動は好ましくない」との声が聞かれる。
 円安は物価を押し上げ、家計も直撃している。消費は冷え込んだままで、安倍政権が目指す「経済の好循環」は見通せない。
 
 衆院選の結果いかんにかかわらず、過度の円安に対する応急手当てとして中小企業への支援強化は不可欠だろう。
 同時に、円安が輸出増につながらず、倒産を招きさえしている日本経済の構造変化を直視することも避けられない。中央銀行が市場に事実上介入することで、かえって実体経済の足腰を弱めてはいないか。関連政策の総点検が要る。