衆院選公示を控えた27日、母親たち20人ほどが埼玉県白岡市の福祉施設に集まり、「憲法ママカフェ」を開きました。
育児の傍ら、地元で戦争の体験談を集めている主婦によると、「戦前と似ている」「また戦争に向かっているのでは」と戦争体験者から聞くことが増えたということです。
女性ファッション誌 「LEE」十二月号(集英社)には、「母親たちの初めての憲法教室」が5ページにわたって掲載されました。
講師を務める竪十萌子(たてともこ)弁護士(33)は、「この国を背負っていくのは子どもたち。ママたちのパワーは希望。母親の間で草の根活動が広がっていってほしい」 と話しました。
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<衆院選 この2年私たちは>
憲法の重み 学ぶ母 子どもの未来 親に責任
東京新聞 2014年12月2日
二日に公示される衆院選を前に、母親たち二十人ほどが十一月二十七日、埼玉県白岡市の福祉施設に集まった。会議室の床に毛布やレジャーシートを敷き、車座に。そばで遊ぶ幼い子どもをあやしながらも、目つきは真剣だった。
「憲法は国民ではなく、国家権力をしばるもの」「このままでは徴兵制もあり得るのでは」。そんな言葉が飛び交っていた。
弁護士を招き、憲法についての話を聞く「憲法ママカフェ」という催し。埼玉県の各地で開かれている。この日は小三と小一の女児二人の母、渡辺亜希子さん(39)=白岡市=が中心になって企画した。
育児の傍ら、地元で戦争の体験談を集めている。この二年間、特定秘密保護法の制定、解釈改憲による集団的自衛権の行使容認と、憲法をめぐる大きな動きがあった。そのせいか「戦前と似ている」「また戦争に向かっているのでは」と戦争体験者から聞くことが増えた。
漠然と感じる不安を友人と語り合いたいと思った。「でも、こんなこと話題にしていいんだろうか…」。迷いつつもママ友に声を掛けた。「戦争になったら血を流すのは子どもたち。知らないうちに世の中が一変することが怖い。ママが関心を持つことが大事」と思ったからだ。
集まった母親からは「私は安倍首相推し。国際社会の中で新しい日本の役割を考えないと」「誇りを持って働いている自衛隊員のことを考えると…」という声もあった。ただ、大半は今の憲法を大切にしてほしいという気持ちを口にした。
一歳の三女を連れて参加した五十嵐恵さん(37)=久喜市=は「この子たちが大人になったとき『戦争の可能性があったのにどうして止めなかったのか』と言われたくない。政治家は日本を強くしたがるけど、平和のため、ママだからこそできることがあるはず」と信じている。
流行に敏感な女性ファッション誌は、こんな母親たちの動きに反応している。
「LEE」十二月号(集英社)。「毎日着る服をもっと素敵に仕上げる! 5つの簡単テク」「3分以内 大人のヘアアレンジで華やか美人!」といった記事の間に、「母親たちの初めての憲法教室」が五ページにわたって掲載された。中国や韓国の脅威を訴える記事が並ぶ男性向けの総合週刊誌とは対照的な動きだ。
LEE編集長の海老原美登里(みどり)さんは「憲法について関心の高まりが感じられ企画した。『友人と話題にしたい』『もっと社会に関わっていきたい』などと好評でした」とコメントした。同様に「VERY」(光文社)でも三月号に特集が掲載された。
憲法ママカフェの講師を務める「明日の自由を守る若手弁護士の会」の弁護士、竪十萌子(たてともこ)さん(33)は、やはり子育て中。母親たちに期待する。
「この国を背負っていくのは子どもたち。普段は育児や家事で忙しいけれど、ママたちのパワーは希望。母親の間で草の根活動が広がっていってほしい」 (土門哲雄)