2014年12月1日月曜日

アベノミクスは富裕層と大企業を大儲けさせるだけ

 安倍首相は衆院選を目前にして、「アベノミクス」が功を奏し「経済の好循環」が生まれ始めたと宣伝することに余念がありませんが、果たしてそうでしょうか。
 円安・株高でごく一部の富裕層やその恩恵を受けた大企業は大儲けをしていますが、実質的な経済の活性化ではない以上、この先も庶民の収入が上がったり地方が活性化するようなことはありません。
 トリクルダウン(富者の富が社会に滴っていく)で経済が活性化するなどは絵空事です。
 
 資本金10億円以上大企業の2013年度の経常利益は史上最高の34・8兆円前年度より8・8兆円も増えました
 預貯金や株式などの純金融資産を1億円以上もつ富裕層は、13年に100万7000世帯となり、11年と比べて24・3%増え、その総額は241兆円となりました。
 しかし働く人の実質賃金は15カ月連続で減少し、昨年10月からの1年間で平均年収が8万4400円も目減りしました。
 年収200万円以下のワーキングプアは13年に史上最多の約1120万人にのぼり、12年と比べて30万人も増えました。
 
 大企業・大株主優先で庶民を痛めつけ、家計消費を落ち込ませるアベノミクスでは日本経済を立て直せません。
 
 消費税率の再アップを見送ったので社会保障費が足りなくなると主張しますが、所得が高額になると所得税負担率が下がったり、企業の資本金が大きくなると法人税実質負担率が下がるという、富裕層・大企業優遇の税制こそが問題です。
 企業の内部留保は13年度で285兆円に達しています。
 
 しんぶん赤旗の記事「データで見るアベノミクス 格差拡大はっきり」を紹介します。
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データでみるアベノミクス 格差拡大はっきり
資産100億円増100人 働く貧困層1120万人
しんぶん赤旗 2014年11月30日
 安倍晋三首相は、「アベノミクス」(安倍政権の経済政策)の2年間で「経済の好循環」が生まれ始めたと主張し、この流れを止めずに「国民生活を豊かにしていきます」と強調しています(自民党重点政策集)。しかし、「アベノミクス」が国民生活にもたらしたのは格差の拡大です。大企業・大株主がますます「豊か」になる一方、庶民の生活は悪化しています。
 
大企業経常利益史上最高34.8兆円
 大企業(資本金10億円以上)の2013年度の経常利益は史上最高の34・8兆円。前年度比で8・8兆円も増えました(グラフ1)。13年度に史上最高の営業利益2・3兆円を記録したトヨタ自動車の場合、1年間で増えた営業利益9700億円余のうち9000億円を「為替変動の影響」が占めました。アベノミクスの金融緩和で急速に進んだ円安の恩恵を受けた形です。
 株価も大きく上昇しました。アベノミクスの2年間で資産が100億円以上増えた大株主は分かっているだけでも100人以上にのぼり、資産増加額は合計7・6兆円に達しました。
 預貯金や株式などの純金融資産を1億円以上もつ富裕層は、13年に100万7000世帯となり、11年と比べて24・3%増えました。これらの富裕層が保有する純金融資産の総額は、28・2%増えて241兆円となりました(野村総合研究所推計)。
 他方、庶民には円安による物価上昇が襲いかかっています。
 
勤労者実質賃金15カ月連続減少
 働く人の実質賃金は15カ月連続で減少し、昨年10月からの1年間で平均年収が8万4400円も目減りしました。(グラフ2)
 高齢者が受け取る年金額も実質的に6%以上目減りしました。政府が1・7%削減したうえ、物価が上昇したためです。基礎年金満額の人で年間5万円近くも減りました。
 年収200万円以下のワーキングプア(働く貧困層)は13年に史上最多の約1120万人にのぼり、12年と比べて30万人も増えました。貯蓄なし世帯は12年以降の2年間で26%から30・4%に増えました。
 大企業・大株主優先で庶民を痛めつけ、家計消費を落ち込ませるアベノミクスでは日本経済を立て直せません。暮らし第一の政治への転換が必要です。
 
高額所得負担減大企業 法人税も
 現在の税制は、高額所得者の所得税負担率が下がり、大企業の法人税実質負担率が下がるという不平等を生んでいます(グラフ3、4)。自民党本部の政治資金団体「国民政治協会」に6440万円の献金(13年)をしているトヨタは、08~12年度の5年間にわたって法人税(国税)を1円も納めていませんでした。大企業の内部留保は増え続けています。(グラフ5)
 
共産党が掲げる税制・経済改革
 日本共産党は、「能力に応じた負担」を求める税制改革と、大企業の内部留保の一部を活用して国民の所得を増やす経済改革を提案しています。税制改革で20兆円、経済改革で経済を成長の軌道に乗せれば自然増収で20兆円、合計40兆円の新たな財源が生まれます。社会保障や教育、国民生活を向上させながら、財政を健全化させることができます。
  
グラフ1
グラフ2
グラフ3
グラフ4
グラフ5