2014年12月11日木曜日

秘密保護法施行

 問題山積の世紀の悪法:特定秘密保護法10日に施行になりました。
 
 9日、栃木県弁護士会で憲法問題を担当している川上淳弁護士が、小山市で特定秘密保護法や集団的自衛権について講演しました。
 
 川上弁護士は講演で、日本が将来的に、集団的自衛権の行使を他国から要請された場合、少数の大臣だけが出席する密室の緊急会合で、日本の戦争参加が決まってしまう可能性があるとしました、また「政府の情報が特定秘密に指定された場合、政府の判断が正しかったかを検証できない」とも述べました
 
 宮崎日日新聞の社説「秘密保護法施行 問題点指摘し改正求めよう」を併せて紹介します。
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秘密保護法きょう施行 戦争参加、密室で 小山で弁護士講演(栃木)
 東京新聞 2014年12月10日
 憲法への理解を深める講演会が九日、小山市の市文化センターで催され、県弁護士会で憲法問題を担当している川上淳(じゅん)弁護士が、十日に施行される特定秘密保護法や集団的自衛権について講演した。
 
 主催したのは市民団体「戦争をさせない全国署名県連絡会」。安倍政権が七月に憲法解釈を変更し、集団的自衛権行使を認める閣議決定をして以来、県内各地で講演会を開いている。
 川上弁護士は講演で、日本が将来的に、集団的自衛権の行使を他国から要請されたケースを想定。少数の大臣だけが出席する密室の緊急会合で、日本の戦争参加が決まってしまう可能性に言及した。また「政府の情報が特定秘密に指定された場合、政府の判断が正しかったかを検証できない」とも警鐘を鳴らした。
 
 講演会には約八十人が参加し、講演内容のメモを取るなどして真剣に聞き入っていた。 (大野暢子)
 
 
(社説)秘密保護法施行 
宮崎日日新聞 2014年12月10日
問題点指摘し改正求めよう
 特定秘密保護法が施行された。昨年12月の成立以来、各地で集会やデモが繰り返され、さまざまな人たちが反対や疑問の声を上げてきた。しかし政府はまともに向き合わず、国民の「知る権利」や、それを支える「報道・取材の自由」、さらに特定秘密を扱う公務員らの適性評価などをめぐり数多くの問題点が置き去りにされた。
 
都合悪い情報隠しも
 秘密保護法と運用基準などから成る新たな秘密保全の仕組みの下では、政府と行政機関が重要な情報を一手に握る。公務員らには漏えい罪で、秘密をあばこうとする報道や市民運動にも不正取得罪でにらみを利かせ(いずれも最高10年の懲役)、国会や裁判所のチェックを拒むこともできる。情報の囲い込みが進むだろう。
  そうした中、2020年東京五輪に向けて、特定秘密の対象分野であるテロリズムなどをめぐって当局による監視と情報収集が活発になることも予想される。安倍晋三首相は「秘密保護法はテロリストやスパイを相手にしており、国民は全く基本的に関係ない」と言明しているが、すんなりと受け入れるのは難しい。
  恣意(しい)的な運用に対する歯止めはきちんと確保されておらず、役所は都合の悪い情報を隠すかもしれない。あるいは特定秘密とは関係ない情報であっても出し渋るかもしれない。知る権利を前面に据えて粘り強く問題点の指摘を重ね、運用基準、そして法本体の改正を求めていくしかない。
  法施行とともに動きだす秘密保全の仕組みは二重三重に守りを固めている。秘密を扱う公務員が秘密を漏らせば-相手がスパイか報道機関、市民団体かにかかわらず厳罰で臨む。過失による漏えいであっても厳しく罰する。運用基準は「秘密取扱者の責務」として、漏えいの働き掛けがあったら、上司らに報告するよう定めている。働き掛けは、報道機関の取材や市民団体の調査も含むとみられる。
 
内部告発を保護せよ
 情報のかけらも漏らすまいということだろうが、何が特定秘密かという肝心な点はあいまいなままで、国民が知るべき情報や、隠蔽(いんぺい)目的で秘密指定された情報までも囲い込まれてしまう恐れがある。これでも「国民は全く基本的に関係ない」といえるのだろうか。
  少なくとも隠蔽目的の秘密指定の禁止や公益目的の「内部告発」の保護は法律に盛り込んでもらいたい。不備が指摘されている情報公開制度を早急に手直しすることも求められる。防衛、外交、スパイ防止、テロ防止の4分野で秘密にしないといけない情報があるのは理解できる。ただ近い将来、必ず公開される道筋は確保されていなければならない。
  公務員の適性評価も問題が多い。借金や飲酒も含めプライバシーを調べ上げられる。「不利益な扱い」を受けないとなっているが、個人情報の保護を含め運用を注意深く見守っていく必要がある。