2014年12月25日木曜日

小選挙区の「死票」は総得票の48%に

 しんぶん赤旗の報道によると、小選挙区での“候補者の得票のうち議席に結びつかなかった”いわゆる「死票」は全国で2540万6240票にのぼり、小選挙区得票の48%を占めました。
 「死票」の割合が50%以上となった小選挙区全体の4割強にあたる133に及び、死票が40%以上の小選挙区はあわせて実に8割を占めました。
 
 小選挙区制は「4割の得票で7割の議席が占められる」極めてデタラメな制度であることは、実は導入前から周知されていたことで、何度か小選挙区制の議論が生じたときにも常のその論理で否定されてきました。
 
 ところが1996年にこの話が三度、よたび登場したときだけはなぜかメディアが沈黙してしまい、逆に「政治改革」というマヤカシの宣伝のなかで、あれよあれよという間に成立しました。
 小選挙区制になれば選挙に金が掛からなくなるという謳い文句は勿論虚構で、メリットは何一つありませんでした。 
 
 政府から各メディアの上層部に、組織的でかつ強力な働きかけがあったのだろうと思われます。その結果がこのありさまです。メディアが健全であることが如何に必要であるかの証です。 
 
 さすがに成立に当たっては「小選挙区の弊害を少しでも緩和する」という趣旨で「比例区」が併用されました。当然、「比例区」の比重が大きくなるほど小選挙区制の弊害は小さくなります。
 したがって「比例区」の存在は「小選挙区」制度を成立させる上での必須の事項であるのですが、議員定数削減がテーマになると自民党などはそのことを無視して、すぐに「比例区の議員数を削減」しようとします。
 しかしそれは法律制定時の趣旨に反するものであって許されません。
 
 小選挙区制を廃止し、民意を正しく反映する比例代表中心の選挙制度抜本改革されることが望まれます。
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小選挙区「死票」総得票の48%に 民意切り捨てはっきり
295選挙区中133区で50%超す
しんぶん赤旗 2014年12月24日
共産党 比例代表制を提案
 
 今回行われた総選挙の295小選挙区で、候補者の得票のうち議席に結びつかなかった「死票」の割合(「死票」率)が50%以上となった小選挙区が全体の4割強にあたる133に及ぶことが本紙の調べでわかりました。「死票」は全国で2540万6240票にのぼり、小選挙区得票の48%を占めました。民意を切り捨てる小選挙区制の害悪がいっそう浮き彫りになりました。
 
 小選挙区制は、各選挙区で最大得票の候補者1人しか当選しないため、それ以外の候補者の得票は「死票」になります。
 
根本的な欠陥
 「死票」率が60%以上は22選挙区、50%から60%未満が111選挙区、40%から50%未満が104選挙区でした。あわせて8割を占めました。
 
 小選挙区で、自民党の得票率(有効投票総数に占める自民党候補全員の総得票)は48%ですが、獲得議席数は223議席で、議席占有率は76%となりました。小選挙区制によって大政党が4割台の得票で7~8割もの議席を独占したことになり、まさに民意をゆがめた「虚構の多数」です。
 
 小選挙区制は1996年に導入されました。近年の総選挙の小選挙区では2005年に自民党が219議席、09年は民主党が221議席、12年は自民党が237議席を得ました。いずれも4割台の得票で7~8割の議席を占め、小選挙区制の根本的な欠陥が示されています。
 一方、少数政党は得票率に見合った議席を得られていません。
 
抜本改革こそ
 衆院の選挙制度改革に向けた全党参加の実務者協議は昨年6月、現行制度について「民意とゆがみが出る」ことや「小選挙区による過度な民意の集約」に問題があると認め、「現行並立制の功罪を広く評価・検証し」「抜本的な見直し」を協議することを合意しました。
 しかし、民主党など一部の党が全党協議を打ち切り、「衆議院選挙制度に関する調査会」(「第三者機関」)の設置を多数決で決定しました。日本共産党は全党の唯一の合意をほごにし、「第三者機関」への丸投げは政党・国会の責任放棄だと反対しました。9月には衆院議長の下に「調査会」が設置され始動しています。
 
 日本共産党は、「民意が届く国会」を実現するため、小選挙区制を廃止し、民意を正しく反映する比例代表中心の選挙制度への抜本改革を主張。現行の総定数(475議席)を維持し、全国11ブロックを基礎とした比例代表制にすることを提案しています。この抜本改革によって、民意をゆがめる小選挙区制の最大の弊害を取り除き、「1票の格差」の問題も解消できます。
 
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