2017年3月2日木曜日

02- 大阪府「森友」の要望で規制緩和 借金あっても開校を容認

 森友学園が実質的に「ただ」同然で国有地を取得したことが問題となっていますが、ここにきて「瑞穂の國記念小學院」が開設されたとしても、果たして安定した経営が出来るのかが俄かに疑問視され始めました。
 大阪府はこれまで安定した学校運営を担保するため、借入金で私立小学校を開設できるのは小学校や中学校などを運営した実績がある学校法人に限るとしてきましたが、森友学園の要請を受けて松井一郎知事就任後の124月に基準を緩和し、そうした実績がなくても小学校を開設できるようにしました
 
 同小学校の新規建設工事は20億円規模のもの(平成27年度木造建築等技術先導事業での補助対象事業費21憶8千万円)ですが、森友学園にはその資力はないので、ほぼ全額を寄付金と銀行融資に頼りました。申請当時同学園が借金頼みの財務状況だったことに私学審議会の委員も当然懸念を持ちました。寄せられた寄付金は3~4億円を上回ったということですが、それでも10数億円は融資に拠っていると見られます。
 
 「反戦な家づくり」氏は、同小学校の経営で毎年1億円の返済をすることはとても無理と思われるのに10数億円も融資したのは余程強力な保証があったからだろうとしています。
 
 それとは別に、日刊ゲンダイは、いまや政権を揺るがしかねない大問題に発展したために、火の粉を振り払いたい安倍政権と大阪の日本維新の会は、自分たちを熱心に支援してきた学園を見捨て幕引きを図るのではないかと観測しています。
 しんぶん赤旗、ブログ:「反戦な家づくり」、日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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大阪府、「森友」の要望で緩和 借金あっても開校容認
私学審委員“強い後ろ盾感じる”
しんぶん赤旗 2017年3月1日
 大阪府の学校法人「森友学園」(籠池泰典理事長)が、安倍晋三首相夫人が名誉校長を務めていた小学校建設用地のために国有地を格安で譲り受けた問題で28日、府が同学園から要望をうけた翌年に借入金による学校開設を認める規制緩和をしたことが分かりました。申請を審査した府私立学校審議会(私学審)の委員は本紙の取材に、同学園は借入金が多いだけでなく寄付金頼みの計画であり、「誰が見てもおかしい話を、府は通しにかかったよほど強い後ろ盾があると思わざるをえなかった」と証言しています。(笹川神由、三浦誠)
 
 府の基準では私立小中学校を開設した実績のある学校法人でなければ借入金で学校開設をできませんでした。府私学課によると、橋下徹氏が大阪府知事だった2011年7月ごろに森友学園の籠池理事長が基準の見直しを要望。松井一郎知事就任後の12年4月1日に基準を緩和しました。森友学園は14年10月31日に認可申請をしています。緩和後、申請したのは森友学園だけです。
 
 申請当時、森友学園の財務状況は借金頼みでした。私学審(14年12月18日)の議事録によると、委員から森友学園の「借り入れが、いま持っているものよりオーバーしている」との懸念が出ています。
 森友学園が小学校新設で頼みにしているのが寄付金です。同学園の籠池氏は本紙の取材に「寄付の計画は3億か、4億円だった」と回答。私学課は寄付金が計画以上に集まったとしています。
 
 しかし採算ラインが定員の70%程度なのに対し、入学希望者は28%にとどまっています。私学審の梶田叡一会長は経営が成り立つかどうか「みんな危惧している」(22日の会見)と表明。開校直前になっても財務状況の不安は解消できていません。ある委員は本紙の取材に、「借金もあるし、あの入学者数では経営は成り立たない」と指摘しています。
 松井知事は28日、記者団に対し規制緩和について「当時はどんどん私学に入ってきてもらうのが方向性だった」と説明しました。
 
 
【安倍晋三小学校事件】 やはり情念の元は神社本庁だろうか
反戦な家づくり  2017年3月1日
どう考えても、だれも得をしないというのが、この事件の摩訶不思議なところだ。


だれかが濡れ手に粟の大もうけをできるのなら、公的組織犯罪の原動力も理解できるのだが、関わっている者たちが、みなリスクばかり背負って実利がない。
本当にイデオロギーだけでここまでのリスクを、数多くの役人を含む人々が負うものだろうか??
 
安倍晋三だって、見かけどおりの愚か者ではない(どころかかなりのやり手だと思う)から、安倍晋三記念小学校なんてものが作られるのが特か損かくらいはわかるはずだ。本当に断りたかったのはウソじゃないだろうが、それでも一国の権力者が断り切れない力を、なぜ籠池総裁は発揮できたのだろうか。
 
籠池総裁だって、今回のような騒動が起きずに開校できていたとしても、お先真っ暗だ。
土地代は200万円ですんだとしても、建築費は20億と言われている。仮に、半分を全国の日本会議の会員からの寄付で賄ったとしても、10億を10年で返そうと思ったら無利子でも1年1億だ。
超人気ですぐに480人の定員いっぱいになっても、入学金と授業料等は年に2億5千万。大阪府からの補助が約1億円(同規模の学校がそのくらい)。 計35億しかない中で、借金の返済だけで1億とられて、あとどうやって運営していくのだろうか。
しかも、初年度は1、2年生だけで、順次増やしていくらしいから、はじめのころは借金返すと運営費は残らないだろう。
 
前から書いている通り、そんな状態の学校法人に、建設費を貸しているのがどこの銀行なのか、これが森友事件の核心につながるはずなのだが、マスコミも議員も、だれもここに突っ込まないのはなぜ?
「どこかの保証」がないかぎり、こんなカネを貸し付けたら、担当者は背任罪で捕まるはずだ。
おおざっぱに言って、バックが日本会議なのは間違いないだろうが、日本会議もそこまで自らリスクを負うような一枚岩の組織ではないように見える。
宗教もいろんなのが混ざっていて、神道だけではない。神道の中でも色々だし。例えば三五教とかいうのがやっているオイスカ高校も代表委員になっているし。
 
一枚岩の組織力という意味では、統一教会がいちばん臭い。しかし、統一教会だったらなんでわざわざ神道なのだろうか。もちろん、統一教会はどんな組織でも入り込んでいく戦略的無節操が強みなので、神道の組織でも平気で入ってくるけれども、自分たちがハンドリングするのであれば、わざわざ神道にしなくてもよかったはずだ。
ではやはり、神社本庁か。しかし、神社が運営している幼稚園は、全国に数多くあるはずだ。なぜ傘下の幼稚園でなく、いかにもコントロールしにくそうな籠池総裁に白羽の矢を立てたのだろう。
(中 略)
もちろん、神道政治連盟が支えている安倍晋三を筆頭にした政治家や、日本会議がフル活用されただろうし、その先にある倫理研究所などのネットワークもある。
資金的にも、神社本庁がバックに付けば、銀行も安心して貸し出すだろう。
これはあくまで想像に過ぎないが、融資の問題を中心に、カネの流れを追えば、実態は見えてくるはず。
マスコミさん、議員さん、たのんます!  (後 略
 
 
窮地の安倍政権 森友学園疑惑は理事長“口封じ”で幕引きか
日刊ゲンダイ 2017年3月1日
 連日、国会で追及されている学校法人・森友学園への国有地払い下げ疑惑。ついにテレビのワイドショーまで報じだし、政権を揺るがす大問題に発展してきた。火の粉を振り払いたい安倍政権と大阪の日本維新の会は、自分たちを熱心に支援してきた学園を見捨て、幕引きを図るつもりだという。
 
 大阪・豊中市の国有地が不可解な経緯で森友学園に払い下げられていた問題は、ファーストレディーの昭恵夫人が問題の土地に新設される小学校の名誉校長を務めていたこともあり、ロッキードに匹敵する“アッキード事件”とも言われ始めている。安倍政権とともに、国民から疑惑の目が向けられているのが、大阪の地域政党から始まった日本維新の会だ。
 12年4月に大阪府の松井知事が突然、設置基準を緩和して「借り入れのある幼稚園」にも小学校参入の門戸を開いた。これが、森友が小学校新設に乗り出すきっかけになった。大阪の私学審議会で数々の問題点が指摘されながら、異例のスピードで森友に「認可適当」の答申が出された15年1月の時点での認可権者も松井知事だ。翌年から、認可権者は教育長に委任されている。
 
 鑑定評価額9億5600万円の国有地が、“タダ同然”で森友学園に払い下げられたというのに、政府のガバナンスや税金ムダ遣いにウルサイはずの維新関係者は当初、不気味なほどダンマリを決め込んでいた。動きがあったのは23日。橋下前大阪市長が、急にツイッターで国の責任を追及し始めてからだ。
〈価格算定の手続きが不透明過ぎる〉〈これは政府の手続きミス〉〈そもそも随意契約がおかしい〉〈政府はミスを認めるべき〉等々、舌鋒鋭く政府を批判。同時に、暴言王の足立康史議員や丸山穂高議員が国会の予算委でこの問題を取り上げ始めた。
 
 22日の定例記者会見では、3月末までに森友の認可条件は「クリアする方向でまとまってきた」と言っていた松井知事も、25日になって急に「不認可」の可能性に言及。豊中市に対して、用地の再調査を求めた。明らかにスタンスを変えてきている。
「認可を与えて小学校が開校してしまうと、問題がずっと尾を引いて、足をすくわれかねない。世論の批判も高まってるし、『これは不認可にしてしもた方がええんちゃうか』いう話になってきたんです。一連の疑惑はあくまで国の責任で、維新は関係ないと示すこともできる。『こんな問題だらけの学校法人は認可でけへん』と知事が英断を下せば、府民も国民も拍手喝采ちゃう?」(維新の会関係者)
 
 森友学園の籠池理事長と「共鳴している」と言っていた安倍首相も、問題が拡大するや、国会答弁で「私も妻もいっさい関わっていない!」とブチ切れ、籠池理事長のことは「教育者としていかがなものか」と批判。きのう(27日)も「首相頑張れと園児に言ってもらいたいとはさらさら考えていない。適切ではない」と発言し、森友を切り捨てにかかっている。
「政権を守るには、もう籠池理事長に泣いてもらうしかないということでしょう。意図的に、『理事長はちょっとおかしい』という印象操作がなされている。理事長の口封じができればいいと思っているのではないか。ただ、事案に関わった役人は、詰め腹を切らされるかもしれません」(官邸担当記者)
 
 役所と籠池理事長は、このまま一方的に悪者にされるくらいなら、いっそ国会で洗いざらい話してしまった方がいいのではないか。