森友学園問題について、政府は籠池氏を証人喚問し「100万円寄付問題」を虚偽として片づけて終わりにしようとしましたが、籠池氏は100万円の受領を明言する一方で政府側は昭恵夫人の証人喚問を頑強に拒否しているので、片付くどころではありません。ただいまは疑惑の真っただ中・・・疑惑の「渦中」にあります。
一方、国有地払い下げに関与した財務省と大阪航空局は、安倍首相乃至は昭恵夫人の関与の疑惑を招かないようにあらゆることを闇の中に閉じ込めようとしていますが、それでは解決するどころか国民の疑惑は深まる一方です。
彼らは打合記録等の廃棄が文書管理規定に違反していることは承知にうえで正当な処置だと公言しています。それは彼らが「擁護すべきところを守った」と見られることを望んでいるわけで、仮に罰則を受けても最終的には十分に救済されるという確信があるためです。
ダイヤモンドオンラインが「森友問題の泥沼化」を取り上げました。
そもそもことの起こりは、官僚たちの気遣いとは裏腹に、籠池氏がメディアの前で100万円の寄付に言及したのは「首相を侮辱したもの」という、驚くような理由で安倍氏が激怒して証人喚問をさせたことにあります。
その結果FAXの問題が明らかにされて大問題となりました。いわば首相自らが墓穴を掘ったのですが、その行き着く先は「世論とメディアの対応」に委ねられています。
その結果FAXの問題が明らかにされて大問題となりました。いわば首相自らが墓穴を掘ったのですが、その行き着く先は「世論とメディアの対応」に委ねられています。
記事には特に新しい事実はないものの「安倍独裁が裏目に出たもので今後の展開は予断を許さない」としています。
日刊ゲンダイが「82年入省組に共通点 『森友』解明阻む悪徳財務官僚の源流」という記事を出しましたので、併せて紹介します。
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森友問題の泥沼化に官邸も怯える、「安倍独裁」が裏目に
ダイヤモンドオンライン 2017年3月28日
3月23日、学校法人森友学園への国有地払い下げ問題に関連して、渦中の人物である森友学園の籠池泰典理事長の証人喚問がおこなわれた。この問題が発覚して以来、安倍政権の支持率は下がり続ける一方で、与党内部からは、先行きを危惧する声も上がり始めている。長期安定政権に見えた安倍政権を揺さぶり続ける森友学園問題の背景と、証人喚問が今後、安倍政権に与える影響について、ジャーナリストの鈴木哲夫氏に聞いた。(取材・文/清談社)
安倍総理の権力濫用
証人喚問を決めたトンデモ背景
問題発覚以降、自民党は一貫して野党が要求する籠池理事長の証人喚問にゴーサインを出さなかった。その風向きが変わったのは、3月16日に行われた参議院の予算委員会の理事たちの現地視察だ。その場で籠池理事長が「安倍総理からの100万円の寄付」の存在を明言したのである。
籠池氏の「100万円寄附」発言に激怒し、強引に証人喚問に踏み切った安倍政権。しかし、結果は完全に裏目に出て、幕引きを図るどころか、新たな疑問が次々に出てきただけ。泥沼化の様相を呈してきた森友学園問題は、安倍政権にとって “蟻の一穴” になるかも知れない。
「自民党はそれまでは『民間人を安易に国会に呼ぶのはいかがなものか』と理屈をつけて、籠池理事長の招致に徹底して反対していました。もちろんそれは建て前で、本音は国会に呼んであることないことを理事長にしゃべられたらどうなるか分からない、口利き議員の名前がさらに出される可能性を恐れて反対していたわけです。ところが、安倍総理からの寄付について言及されると、すぐに参考人よりも重い証人喚問を行うことを決めたわけです」(鈴木氏)
参考人招致に比べ、証人喚問は、嘘の証言をしたことが明らかになった場合、偽証罪に問われる。証言者の責任もより重くなる。なぜ自民党は、証人喚問を求めたのか。
「自民党の予算委員会のメンバーから聞いた話ですが、籠池理事長の発言に安倍総理が激怒して証人喚問の実施を決めたそうです。しかし、これはおかしな話です。これまで散々『民間人だから』という理由で拒否していたのに、安倍総理の名誉を損なう発言をしたというだけで一転、証人喚問をするというのですから。これでは政権に批判的な人間を証人喚問して圧力を掛けようとしているとの批判が出るのも当たり前でしょう。権力の濫用と言われても仕方ありません」(鈴木氏)
財務省の関与を伺わせる
FAXを暴露した籠池理事長
まるでどこかの独裁国家と変わらないようなやり方である。だが23日の証人喚問では、森友学園問題に早期に幕引きをしようという自民党の思惑は果たされなかった。
籠池理事長は、堂々とした態度で証人喚問に臨み、安倍総理からの寄付や他の政治家の名前などを具体的に証言し、それだけでなく安倍昭恵総理夫人付職員からのFAXの存在まで明らかにした(のちに菅義偉官房長官が、FAXは実物であると発表している)。
野党は、安倍昭恵総理夫人や松井一郎大阪府知事の国会招致を求め、問題はさらに拡大の様相を見せている。
「今回の籠池理事長の証言により、昭恵夫人との発言の食い違いが公の場で明らかになりました。嘘を言えば偽証罪に問われる証人喚問の場でなされた発言は重い。また、総理夫人付職員からのFAXも、財務省の関与をうかがわせるものです。結果的に自民党は証人喚問で、籠池理事長の発言の信憑性を貶めるのではなく、新たにいろいろな疑問へと広げる形になってしまいました。籠池理事長ひとりの証人喚問だけでこの問題にケリをつけたいという思惑は、完全に裏目に出たかたちです」
証人喚問の翌日の24日、国会は払い下げの交渉当時の理財局長である迫田英典国税局長官と元近畿財務局長の武内良樹財務省国際局長の参考人招致を行うなど、自民党は早くもさまざまな動きを見せている。今後、この問題はどのような様相を見せるのだろうか。
「自民党は問題の鎮静化を急ぎたいでしょうが、世論がそれを許すかどうかです。財務省や大阪府の担当者は『記録がない』の一点張りで、具体的なやり取りをいまだに明らかにしていません。何一つ真相は解明されず、疑惑は深まるばかりです。寄付自体は違法ではないとはいえ、安倍総理自身が国会で『私や妻は一切関わっていない。もし関わっていたら間違いなく、首相も国会議員も辞任するということを、はっきり申し上げる』とまで断言しているわけですから、野党も追及の手を緩めることはないでしょう」(鈴木氏)
証人喚問で開いたパンドラの箱
安倍政権の行方は世論とメディア次第
安倍政権は、森友学園問題のほかにも、危うい答弁を繰り返す稲田朋美防衛大臣の資質問題や、南スーダンの自衛隊の日報問題、「共謀罪」を創設する組織的犯罪処罰法改正案など難題を抱えている。また、6月には小池百合子東京都知事と対決する東京都議会議員選挙も控えている。今後の政界の動向は、政局含みで展開するのは間違いないだろう。
「森友学園問題が泥沼化することによって、安倍内閣の国会戦略が行き詰まりを見せていく可能性はあります。安倍内閣の支持率にもさらに影響を与えるでしょう。結局、今回の証人喚問はパンドラの箱を開けてしまったようなもので、官邸や自民党はとにかくこれで終わりにしたいのでしょうが、一方でどこまで問題が波及するのか見当がつかないと本音を漏らす人もいます」
「これまでのリスクマネジメントが奏功しているとはまだ言えないでしょう。予算の成立に合わせて、予算委員会という議論の場を閉じることはできますが、あまり強引に推し進めれば、それこそ『森友学園問題隠しだ』と世論に受け止められ、さらに支持率が下がる可能性もあります。今後はメディアがどこまで真相に迫れるのか、そして世論がこの問題に対して、どこまで高い関心を持ち続けるのかがカギを握るでしょう。森友学園問題が長期安定政権のように見えた安倍政権を揺さぶる “蟻の一穴” になる可能性はあります」(鈴木氏)
果たして、森本学園問題は安倍政権の「終わりの始まり」になるのだろうか。まだまだ森友学園問題の展開は予断を許さない。
82年入省組に共通点 「森友」解明阻む悪徳財務官僚の源流
日刊ゲンダイ 2017年3月30日
真相解明を求める世論批判が高まるばかりの「森友疑獄」。疑惑が晴れない原因のひとつは、財務省が森友との国有地売買に関する書類を一切破棄して“証拠隠滅”を図ったことだ。さらに国会審議をめぐっても、佐川宣寿理財局長が答弁で「控えさせていただきたい」と回答拒否を続けている。国民をなめきった態度は怒り心頭に発するが、「森友疑獄」に登場する財務官僚にはある“共通点”がみられる。
〈82年度大蔵省新入りエリートの骨相――これが現代の秀才の標本箱〉
2001年に休刊した新潮社の写真週刊誌「フォーカス」で、こんな見出しの記事が躍ったのは、81年12月11日号だ。〈この秋、大蔵省が採用を決定した役人のタマゴは27人〉とあり、1人ずつ写真付きで簡単な略歴とエピソードが紹介されている。並んでいるのは今回の「森友疑獄」に絡む人物ばかりだ。
例えば、〈高校時代は、芥川龍之介、柴田翔などを読み、大学では高橋和巳を読んだ〉と紹介されていたのは、佐川理財局長だ。高圧的な態度で答弁している今とは異なり、表情は温和。
〈大学時代、古典音楽鑑賞会に入り、「いいコンサートをいい席で聴くことに努めた」〉とあったのは、国会の参考人招致で「政治的な配慮をするべくもなかった」と関与を全否定した前理財局長の迫田英典国税庁長官。髪形は「九一分け」で、今よりはフサフサだった。
■森友学園が学校建設に動いていた時期に……
そして、〈「ぼくは(学校の)成績悪いですよ。ボクシングの話しかしませんでした」〉とコメントしていたのが、冨永哲夫現国交省政策統括官だ。冨永氏は2014年7月に理財局次長から近畿財務局長に就任し、昨年6月に国交省に出向。近財局長だった時は、ちょうど森友学園が学校建設に動いていた時期と重なる。国交省のHPによると、政策統括官の仕事は〈多数に渡る関係者間のハイレベルな調整が必要となる業務を行っている〉。なるほど、財務、国交両省に加え、大阪府も関わった今回の国有地売買の調整役にピッタリだ。
ちなみに、BSフジのニュースで、森友の籠池泰典理事長の「100万円寄付」証言に対し、〈びっくり、呆れた。大変失礼な話〉と批判していた片山さつき参院議員も記事に載っていたが、まあ、どうでもいいだろう。それよりも、おそらく安倍政権は「俺たちには強固な財務官僚がバックに控えているから大丈夫」と思っているに違いない。どうりで、土俵際に追い詰められているにもかかわらず、ヘラヘラ笑っていられるワケだ。元財務官僚で民進党の玉木雄一郎衆院議員はこう言う。
「今回の問題が長引いている原因は財務省が情報公開を拒んでいることです。私が入省した時、どの役所よりもメモを取ること、保存しておくことが重要かを叩き込まれました。廃棄はあり得ませんよ。公開しないのは、よほど都合の悪い情報が含まれているからと類推せざるを得ません」
記事は〈国家のガマグチの番人〉と紹介していたが、「番人」の役割はすっかり捨て去り、今や安倍政権の「番犬」に成り下がっている。