2017年3月11日土曜日

首相の南スーダン撤退会見は 籠池理事長の会見報道潰しと支持率低下対策

 10日の夕刻 二つのビッグ・ニュースが流れました。
 一つは森友学園の籠池理事長記者会見を開き、「今の過熱状態に終止符を打たないと、子どもの安全や親のプライバシーが守れないと判断した。苦渋の決断だ」と述べて、小学校の認可の申請を取り下げたことと学校法人の理事長を辞任する意向を表明ました。前日の発言からは考えられない急展開でしたが、一体どんな事情があったのでしょうか。強烈な圧力があったという見方があります。
 
 それを追いかけるようにして、南スーダンでの国連のPKO活動に派遣している陸上自衛隊について、5月末をめどに撤収させる方針を安倍首相が記者会見で説明しました。当然そうあるべきなのですが、まだ二ヶ月も先の話なのに、なぜ突然このタイミングで決めて発表したのでしょうか。
 
 野党からは10日、「遅きに失した」の批判が相次ぐと共に、「森友学園」の国有地取得問題で防戦を強いられる中での「森友隠し」との声が上がりました。
 
 共産党の小池記局長は「南スーダンは事実上の内戦状態だった。政府の説明に国民は納得できない。正直に派遣の破綻を認めるべきだ」と批判するとともに、「森友学園」問題で政府への批判が高まっている中での撤収決定に「あまりにもタイミングが合い過ぎている」と指摘しました。
 民進党の蓮舫代表は、南スーダンの現地活動に「区切りが付いた」との撤収理由について「誠実な説明とは思えない」として、国会で厳しく追及する考えを示しました。民進党の山井国対委員長も「森友隠しではないかとの疑念も感じざるを得ない」と語りました。
 
 LITERAは、撤退を発表した理由の一つは、籠池氏の記者会見にぶつけて申請取り下げのニュースバリューを減じさせることであり、もう一つは、11日・12日に各社が行う世論調査で支持率低下を食い止めるためだと述べました。的を得ていると思われます。それにしても安倍首相は相変わらずセコイ考え方をするもので、政権の喉に刺さったトゲであるこの二つの問題がこのままで収束することはあり得ません。 
 LITERAとNHKのニュースを紹介します。
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安倍首相の「南スーダンPKO部隊撤収」緊急会見は
森友学園・籠池理事長の会見報道潰しと支持率低下対策だった
LITERA 2017年3月10日
 本日、17時30分から学校法人森友学園の籠池泰典理事長による記者会見が行われ、小学校の設置認可を取り下げた件や理事長退任の意向を発表。当然、夕方のニュース番組では各局ともこの模様を伝えていたが、そんななかで突然、大きなニュースが入ってきた。なんと、安倍首相が「南スーダンからPKO部隊を撤収させる」と緊急会見を開いたのだ。
 
 南スーダンはいつ大規模な戦闘が起きてもおかしくない状態で、PKO部隊撤退は当然だが、しかし、これはどうやら、安倍首相による“森友学園報道潰し”の姑息な作戦だったらしい。
「籠池理事長が17時30分から会見を開くことは、今日午後15時ごろの早い時間でわかっていて、各社とも大々的に報道する体制を組んでいた。ところが、18時の直前になって、突如、安倍首相が緊急会見を開くという連絡が入ってきた。そして、18時5分から南スーダンから撤退するという会見が始まったんです。タイミングからして、籠池理事長の会見を大きく扱わないよう18時台のトップニュースにぶつけてきたとしか思えない」(全国紙政治部記者)
 そもそも、南スーダンからPKO部隊を撤収するという決定自体も、「森友学園問題」対策でぶち上げられたものだったという。明日・明後日にかけて、マスコミ各社が行う世論調査で、支持率低下を食い止めるためだったというのだ。
 
「先週、JNNが行った世論調査でも、森友学園の影響で内閣支持率は前月から4.4ポイント下がりました。今週の各社の世論調査ではさらなる支持率低下は必至。そこで、調査前日のタイミングでPKO部隊の撤収を公表することにしたようです。実際、撤収は5月なので、緊急に発表しなければならないものじゃない。どう考えてもその対策でしょう」(前出・全国紙政治部記者)
 
 ただし、このPKO部隊撤退の会見は当初、夜のニュースの時間帯にぶつけるつもりだったようだ。ところが、籠池理事長が17時30分から会見を開くとわかったので、慌てて18時発表に前倒ししたのではないかといわれているのだ。
「実際、この撤収を話し合うNSC(国家安全保障会議)を開催したのは午後5時51分。わずか6分で終了させるという慌ただしさでした」(前出・全国紙政治部記者)
 なんとも姑息としか言いようがないが、安倍首相と官邸はこれまでも、森友学園報道潰しに躍起になってきた
 
 たとえば、安倍首相は2月27日の夜、記者クラブのキャップたちを集めて東京・赤坂の中華料理店でオフレコ懇談会を開催したが、記者たちとの懇談会はその当日に開催が呼びかけられるという異例中の異例のものだった。ちょうどマスコミがワイドショーでも森友学園を大きく取り上げはじめ、社会の関心がこの問題に集まりつつあったタイミングに、各社のキャップを集める。──オフ懇の急遽開催が、安倍首相自らマスコミへ「報道の自主規制」を促す目的だったことは明白だ。
 
 しかし、まさか南スーダンPKO部隊まで利用しようとするとは──。しかも、このPKO部隊の南スーダン撤収会見で、安倍首相はずっと指摘され続けている治安悪化について一切触れずじまい。菅義偉官房長官も撤退理由を「施設整備については一定の区切りをつけることが出来た」からだと説明し、治安悪化が理由ではないと明言した。安倍政権はこの間、日報を隠し続け、さらにはそこで現地部隊が「戦闘」と記述していたことが発覚し、あらためてPKO参加5原則の条件を満たしていないことが明らかになったが、今回の撤退決定は、その問題をなかったことにしようとするものでもある。
 
 悪政や不祥事をとにかく情報操作だけで覆い隠そうとする安倍首相の醜悪なやり口を、マスコミはいつまで放置しているつもりなのだろうか。(編集部)
 
 
森友学園理事長 認可申請取り下げの理由を説明
NHK NEWS WEB 2017年3月10日
森友学園の籠池泰典理事長は10日午後、記者会見を開き、「今の過熱状態に終止符を打たないと、子どもの安全や親のプライバシーが守れないと判断した。苦渋の決断だ」などと述べて、小学校の認可の申請を取り下げた理由を説明しました。
 
籠池理事長は大阪・淀川区にある森友学園の幼稚園で、午後5時半ごろから記者会見を開きました。
この中で、「大阪府の私学審議会で、設置適当という答申を出してもらったので、土地を購入し、建築業者を決め、建物は九分九厘できあがっていた。しかし、今の過熱状態に終止符を打たないと、子どもの安全や親のプライバシーが守れないと判断し、きょう午後2時に私学審議会に宛てて、小学校設立の認可の申請を取り下げた。苦渋の決断だ」と述べ、小学校の認可の申請を取り下げた理由を説明しました。
そのうえで、「入学を予定していた子どもやその保護者には、本当に申し訳ない。子どもたちは、別の学校に行っても頑張ってくれると思う」と述べました。
 
さらに、「何も悪いことはしていないが、学校を建設すると言っておいて、建設できなかったことの責めは取りたい」と述べて、学校法人の理事長を辞任する意向を示し、小学校の建設工事をめぐって、金額の異なる3種類の契約書が作成されていた問題については、「契約書は偽造ではない」と述べました。
また、籠池理事長は、小学校の施工会社が「大阪府に提出された7億円の契約書は、森友側から『私学助成金の申請に必要だ』と言われて作った。結果的にうそをつかれた」と話していることについて、「そんなことはない。認識の違いだ。私から私学助成金と言ったことはない。向こうが書いたかも、わからないが、そこまで確認していない」と述べました。
 
行政側を相手に損害賠償請求を起こす可能性があるか問われたのに対し「今の段階では、そこまでの考察はできていない。ただ一連のことについては、一般的には、そういうことは考えられるのではないか」と述べました。
一方、国会で野党側が、籠池理事長の参考人招致を求めていることについては「国会の招致に応じる気持ちはない」と述べたうえで、「国会議員から口利きをしてもらったことはない。安倍総理大臣や夫人から何かしてもらったこともない」と述べ、小学校の設立に向けて、政治家から便宜供与を受けたことはないと強調しました。
 
 
南スーダン派遣の陸自施設部隊 撤収へ
NHK NEWS WEB 2017年3月10日
政府は、南スーダンでの国連のPKO活動に派遣している陸上自衛隊の施設部隊について、今の部隊の派遣期間が終了するのにあわせて活動を終え、5月末をめどに撤収させる方針を固めました。これによって、安全保障関連法に基づいて、初めて「駆け付け警護」の任務が付与された自衛隊員およそ350人は撤収することになります。
 
政府は、国連の要請を受けて平成23年11月に、アフリカの南スーダンでの国連のPKO活動に、陸上自衛隊の施設部隊を派遣することを決定し、以来、350人余りが活動している現在の11次隊に至るまで、首都ジュバとその周辺で、道路や橋などの整備にあたってきました。
また、政府は、去年11月、11次隊に対し、安全保障関連法に基づいて、国連の関係者などが襲われた場合、救援に向かう「駆け付け警護」などの任務を付与することを決めました。
ただ、南スーダンでは、去年7月に、首都ジュバで大規模な武力衝突が発生したことなどから、政府が現地の情勢の把握に努める一方、国会では、野党側から「PKO参加5原則」が満たされていないのではないかという指摘も出ていました。
 
こうした中、政府は、ことし1月で施設部隊の派遣開始から5年が経過し、施設部隊の派遣期間も過去最長となったこともふまえ、今後の対応を検討した結果、現在の11次隊で首都ジュバでの施設整備は一定の区切りをつけることができると判断しました。
そして、今の部隊の派遣期間が今月終了するのにあわせて活動を終え、5月末をめどに、施設部隊350人余りを撤収させる方針を固めました。
一方、政府は、現地の司令部への要員派遣は継続することにしています
後 略