自民党は10日の総務会で、「テロ等準備罪」を新設する法案を審査しましたが、「内容をわかりやすく説明できなければ、必要性は理解されない」、「処罰の対象となる犯罪や『組織的犯罪集団』の定義があいまいで、国民の理解を得るのは難しい」といった意見が相次ぎ、了承は先送りされました。
しかし最後まで了承しないことを期待するのは無理で、いずれは了承されて国会に提出されることになる筈です。
NHKはそのニュースの中で、村上誠一郎元行政改革担当相が、「厳密に議論しないと、時の権力に恣意的に運用された場合に、国民の権利を守れるのかどうか疑問だ」と批判したことを紹介しています。
村上議員は2014年にも、憲法解釈を変更し集団的自衛権の行使容認を目指す安倍首相の政治姿勢について、「ナチス政権が全権委任法によりワイマール憲法を形骸化させたのと同じ愚を犯すもの。閣議の決定で解釈を変えそれに基いて自衛隊法を改正するということは、下位の法律によって上位の憲法の解釈を変えるというもので絶対にやってはけいけない禁じ手」だと批判しました※。
こうした正論が是非自民党内の多数派になって欲しいものです。
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自民 テロ等準備罪の了承先送り 総務会
NHK NEWS WEB 2017年3月10日
自民党は10日の総務会で、「共謀罪」の構成要件を厳しくして「テロ等準備罪」を新設する法案を審査しましたが、「内容をわかりやすく説明できなければ、必要性は理解されない」といった意見が相次ぎ、了承は先送りされました。
「テロ等準備罪」を新設する法案をめぐっては、自民党の法務部会が8日、条文の処罰の対象に「テロリズム集団」という文言を加えたうえで了承し、これを受けて、10日、自民党の総務会で法案審査が行われました。
この中で、出席者からは「法案の内容をわかりやすく説明できなければ、必要性は理解されない」、「処罰の対象となる犯罪や『組織的犯罪集団』の定義があいまいで、国民の理解を得るのは難しい」といった意見が相次ぎました。さらに、「テロの防止に役立つ法案だということを、もっと説明する必要があるのではないか」という指摘も出されました。
こうした意見などを受けて、自民党の総務会は、法案の了承を見送って、来週、改めて議論することになり、細田総務会長は記者会見で、「重要な法案なので1回で議論が終わらなくてもいい。十分議論を尽くして判断したい」と述べました。
村上元行政改革相「国民の権利守れるか」
自民党総務会のメンバーの村上元行政改革担当大臣は、記者団に対し、「思想の自由など、国民の人権を大きく脅かす危険があるのではないかということや、一般の団体が何をもって組織的犯罪集団に一変したと判断するのかについて質問したが、いまひとつすっきりした答弁が無かった。厳密に議論しないと、時の権力に恣意的(しいてき)に運用された場合に、国民の権利を守れるのかどうか疑問だ」と述べました。