2017年3月8日水曜日

産経の「財務局が場内処分を促す」記事はワナ

 安倍首相は国会で、森友学園に売った土地には膨大なゴミが埋設されているという瑕疵があるのだから、価格を大幅に下げたのは当然で何の不正もないと強調するようになりました。それはかねてから準備しておいたセリフのようで、ある種自信を持っているように見えます。要するに売却した土地に、復旧するのに8億円2千億円を要する瑕疵があったので、国側がその額をディスカウントしたという論理で一応筋は通っています。
 
 「反戦の家づくり」氏が、産経の「財務局が場内処分を促す」の記事はワナだと警告しました。
 同氏は産経新聞が一見スクープ風に流したこの記事こそは近畿財務局と産経新聞が仕組んだもので、メディアや野党国会議員などの批判者を上記の論理に導こうとしていると喝破しました。慧眼です。
 そして問題は「そもそも8億2千万円分もの瑕疵はなかった」ということを明らかにして、そんな瑕疵がないのに巨額の値引きしたのは「国家犯罪であると展開すべきだと記事をまとめています
 
 「反戦の家づくり」氏は、3月2日のブログ:「【安倍晋三記念小学校】やっぱり大量のゴミはなさそうだ 航空写真で検証」 http://sensouhantai.blog25.fc2.com/blog-entry-1595.html で、1945年~2007年間の現地の航空写真を検証した結果、1945~1950年時代には田んぼの端に一か所3角形の池が確認できるものの、1974年以降は池の部分も含めて田んぼの全部が宅地に代わっていることを確認しています。
 そして生活ごみが埋められたとすれば田んぼの整地前のことになり、池に投棄した可能性はあるもののそれ程大きい池ではないので、国が言うような大量のゴミが全体に埋められている可能性はなさそうだとしています(池といっても沼地のようなものなので水深が9mもあるとは考えられません)。
 
 国は、敷地全面で深さ3mまで、校舎の下の杭打ち個所については深さ9mまで、生活ごみが47.1%の割合で混入していて、その総量は1万9000トンに上るとしています。しかしそんなに深くまで、また47%という驚異的な混入率で生活ごみなどを地中に埋設するテクニックとは一体どんなものなのでしょうか。後学のために聞きたいものです。
 もしもそんな地盤に家を建てれば生活ごみは時間とともに分解するのでたちまち傾くと言われています。
 この土中のごみに関する件についても国の説明は荒唐無稽で誰をも納得させません。
 
 6日、森ゆう子議員(自由党)が国会で追及していましたが、ボーリングデータの柱状図を要求してから10日以上も経っているのに、国はいまだに森議員に提示していないということです(柱状図というのは、この場合は地下9mまでボーリングで円柱状にくり抜いて掬い取った地中の土質や組成を深さごとに記述したもので、ボーリング調査を行えば必ず作成するものです)。特にこの件では杭打ち時に地中に大量のごみが混入していて問題になったわけなので、必ずごみの混入に関する記述がある筈です。
 もしも柱状図が提示されないのであれば、勿論虚偽がばれないようにするための隠蔽です。もしもないというのであれば、これは決定的な証拠になるものなのでこれからでも数カ所のボーリング調査をさせるべきでしょう。
 どんなに巧妙に仕組んだとしても不正というものは完璧には隠せません。
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アッキード事件】 産経の「財務局が場内処分を促す」文書はワナですよ
反戦の家づくり 2017年3月7日
めずらしく産経新聞が森友学園事件のスクープをした、と言って喜んでいるひとがいるが、このニュースは要注意だ。
近畿財務局が産廃の「場内処分」促す 費用増大懸念し埋め戻しか
協議文書を独自入手
産経新聞 2017.3.4
27年9月4日午前、近畿財務局内で同局と国土交通省大阪航空局、法人側の設計業者や工事業者の4者が、建設予定地の地下にあった産廃の処理方法を話し合った際のやりとりが記されている。
 それによると、設計業者が「予算がつかないのなら、(産廃を)場外に出さない方法を考えるしかない」と発言。財務局は「できれば場外処分を極力減らす計画を考えてもらえないか」と依頼した。
 さらに財務局は「建築に支障ある産廃および汚染土は瑕疵にあたるため、(国に)処分費用負担義務が生じるが、それ以外の産廃残土処分(の価格)が通常の10倍では到底予算はつかない」と指摘。「借り主との紛争も避けたいので、場内処分の方向で協力お願いします」と述べていた。
(引用以上)
ここには、安倍晋三と官僚たちを救うための、ふたつのワナが仕掛けられている。
まず注意すべきは、これは2015年9月4日であり、この段階では財務省は森友学園にこの土地を「貸していた」ということ。
事業用定期借地契約の段階であり、少なくとも表向きは購入の話も出ていない。
なので、この記録のなかで財務省が、「瑕疵にあたるため、(国に)処分費用負担義務が生じる」と言っているのは、正しい。
購入後であれば処分費を差し引いているのだから国に処分費用は生じないが、このときはまだ借地なので、処分費用義務は国のほうにある
この記事は、購入後のこととわざと混乱させようという産経の意図が透けて見える。
勘違いして 「スクープだ」と思ってこの記事を信じてしまうように、仕掛けられている。
実は、フツウのことを言っているだけで、スクープでも何でもない。
しかし、この「打合せ記録」を信じてしまうと、後段の財務局の発言も信じてしまう、という仕掛けだ。
後段では財務局は何を言っているか。
「それ以外の産廃残土処分(の価格)が通常の10倍では到底予算はつかない」
つまり、「2015年9月の時点で、通常の10倍の処分費がかかる産廃が埋まっていることを、関係者一同 認識していました」というのである。
もうお気づきのように これが正しいとすると、2016年4月に大阪航空局が見積もった 処分費8億2千万円は 正しかった ということになってしまうのである。
 
さらに、「場内処分した」のであるから、付近住民が大量のダンプを見ていなくても当然、産廃のマニフェストにも残っていなくて当然、ということになり、すでに地中に埋まっているから 今となっては調査は不可能 と言う話だ。
産経は、ここに導くための財務省の悪だくみを、あたかもスクープのように報じたのである。
もう一つのワナはなにか。
それは、疑惑の3日間の中心に位置する9月4日の近畿財務局での打合せが、「こんな内容だったんだ」と信じさせること。
もしかしたら、国会をサボって大阪に駆けつけた安倍晋三が、テレビ局に行く途中に立ち寄ったのではないかという疑惑すらあるこの打合せが、こんなフツウのことを話していただけだった、ということにしたいのである。
 
2015年9月3日 財務省理財局長と安倍首相面談
2015年9月4日 近畿財務局で関係者打合せ
             安倍首相 来阪
2015年9月5日 安倍昭恵が塚本幼稚園で講演 名誉校長に就任
 
この疑惑の3日間を境に、森友事件は安倍マターとなったのではないか。
3日の内容は、当時の迫田理財局長は国税長官におなり遊ばされているので、まず漏れることは無い。
問題は、民間業者も入っている4日の内容だ。おそらくマスコミも、キアラ設計や中道組を当たっているに違いない。
とくに、中道組はゴミ処理業務だけで、建築工事は外されてしまったので、心配だ。
そんな情勢で、近畿財務局と産経新聞が仕組んだ芝居が、このスクープもどき記事なのである。
もちろん、大量のゴミを地中に埋めています ということは、学校の運営には悪影響があるけれども、それはもとより籠池総裁も認めてしまっているし、そもそも、小学校も籠池総裁もすでに切り捨て対象になっているので、その辺はまったく配慮はない。
 
法的な責任ということで言えば、産廃の場内処分は違法である。しかし、そもそも「掘り出さなかった」といえば、脱法的にすり抜ける可能性はある
仮に産廃で違法になったとしても、その程度ならばこの疑獄事件は最小限の犠牲ですんだ と関係者一同は胸をなで下ろすだろう。
また、8億2千万も値引きしているのに、それに見合った処分をしていないのは問題だ、と言っても、これは多分通用しない。
そもそもゴミが存在しないのに値引きしていれば犯罪だが、あるゴミを処分していないからと言って、違法行為には問えない。
たとえば、スイッチが壊れていて、使うには毎回電池を抜いたりさしたりしなければならないカメラが、定価9万5千円のところ修理費用8万2千円を値引きして1万3千円で売っていたとしよう。
そのカメラを買った人は、必ず8万2千円の修理をしなければならないかといえば、そんなことはないだろう。毎回電池を入れたり出したりして使っても、構わない。
 
この土地についても、地中障害の瑕疵の総額を8億2千万あるということを是としてしまえば、あとはその瑕疵を除こうが、瑕疵を持ち続けようが、森友学園の自由と言うことになる。
そんなところに建てた小学校に通わせるのかよ!という話はともかく、すくなくとも、財務省や国交省は責任を免れる。だから、そこをいくら責めても無駄なのだ。
 
焦点はあくまでも、「そもそも8億2千万円分もの瑕疵はなかった」 ということだ。
瑕疵がないのに8億2千万円も値引きしたからこそ、国家犯罪なのである。
それを否定するための 巧妙な仕掛けが、あの産経の偽スクープなのである。
アッキード事件を追いかけている同志のみなさん。よくよくご注意あれ!