2017年3月10日金曜日

10- 行き過ぎた自由貿易は国家の主権を侵害(「日々雑感」)

 「日々雑感」氏が、近く始まる日米自由貿易協定(日米FTA)に関して、米韓FTAの例を挙げて警戒すべきであるとしました。
 米韓FTAという格好の見本があるのに、安倍首相や石原担当相は何も学んだ形跡がないのは不思議なことで無責任の極みです。そもそも安倍首相はTPPの本質について何も知らないまま、ただ貿易量が拡大するというような愚かで単純な動機から成立を目指していました。
 今度は麻生氏に担当が変わるようなので、安倍・石原コンビよりもはるかにマシになることを願うのみです。
 
 「米韓FTAの驚くべき内容」も併せて紹介します。
 
   (関係記事)
2月2日 安倍首相には米国が要求する二国間協議(FTA)を断る気概があるのか
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行き過ぎた自由貿易は国家の主権を侵害する
日々雑感 2017/03/09
「ロイター」より引用
 欧州連合(EU)は9日から開く首脳会合で、自由貿易協定(FTA)を一段と活発に締結する方針を表明する一方、保護主義を排斥する姿勢を示す見通しであることが明らかになった。
 
 首脳会合後に発表される声明ではトランプ米大統領は名指しはしない見通し。ただEU首脳が発するメッセージは、環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱を決定し、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を表明したトランプ氏の方針とは対照的なものとなる。 
 
 声明草案によると、EU首脳はカナダとの包括的経済貿易協定(CETA)を欧州議会が承認したことに歓迎の意を表明。これは「保護主義的な傾向が再び台頭しつつある時に」明確な動きとなるとし、EUの執行委員会である欧州委員会に対し現在進められている新たな自由貿易協定の交渉を「断固として」前進させるよう提案する。
 また、不当廉売や不公正な政府助成に対する課税を呼びかける。
 
 EUが現在進めている交渉のなかでは、日本との協定が最も妥結に近いと見られている。EUはまた、メキシコとの貿易協定の改正に向けた協議も加速させているほか、メルコスール(南米南部共同市場)加盟国との交渉も優先的に進めるとの姿勢を示している
 
 自由貿易協定は国境を越えた「ヒト、モノ、カネ」の自由な往来を保障するが、地域格差や経済格差を拡大するという副作用を持つ。そればかりか国家主家化までも侵害される、ということは米国と自由貿易協定FTAを締結した隣国韓国を見れば明らかだ。
 韓国は米国基準に合わない国内企業保護政策などに関連する法律をISD条項により70本以上も改定させられた。おそらくTPPを米国が承認したなら、さっそく「軽基準」の廃止や「減反政策」などの農業政策などもISD条で提訴され、莫大な損害賠償金を日本政府は支払わされた上に法律改定を余儀なくされただろう
 
 それのみならず、「非関税障壁」ということで日本国内での商談もすべて英語で行うべきとされ、すべての契約書や約款なども英語表記を「標準」とされただろう。
 日本の主権が大きく侵害されるだけでなく、日本文化なども規制されることになっただろう。そうした「単一化」が究極の自由貿易主義者が目論む世界の姿だ。EUも現在は通貨統合から国家主権を統合政府へ移行させて各国の主権を制限する方向に移っている。そうした各民族の「伝統」と「文化」の「単一化」をEU参加諸国は何処まで許容するのだろうか。
 
 金子みすゞの詩ではないが「みんな違って みんないい」というのが本来のあり方ではないだろうか。しかしそれでは瞬時に世界を移動する投機資金を運用する投機家たちには不都合だ。世界の金融や政府や社会がすべて同じで、手続きや仕組みがすべて同じなら電子機器で瞬時により有利な市場へ投機資金を移動させたり、資金の引き上げや投機により一国の金融市場を自在に操れて短期最大利益を手にすることが出来る。
 つまり自由貿易を提唱している連中は、そうした世界を構築しようとしているに過ぎない。すべての国の国民は自分たちが登記する金融市場を構成する働きアリ以下の無視すべき存在に過ぎないのだ。搾り取っても良い、弱肉強食の世界が彼らが求める「自由」なのだ。
 
 そうした策動に私は組しない。それぞれの国にはそれぞれの国民が最大「幸福」を求める権利を有している。外国との貿易は国家にとってすべてではない。
 まずは「国民の生活が第一」の政治が国家主権の下で実施され、その上で相手国の事情も交渉で十分に織り込んだ相手国の主権を侵害しない範囲で貿易を行うべきだ。必要以上の「自由」は多くの国民に取って「不自由」でしかない。「軽基準」は日本国民の多数が必要としているが、米国の自動車企業にとって「非関税障壁」でしかない。しかし本来は国内政治に貿易相手国が嘴を挟むのは「主権侵害」でしかない。そうした常識ある判断を狂わせる魔力が「自由」という言葉にはある。用心すべきだ。
 
 
米韓FTAの驚くべき内容
日本経済ここがおかしい!(発行日不明)
米韓FTAの二国間交渉。
日本国内の報道では米韓のFTAで日本の産業界は遅れを取ることになるので日本はTPPの加盟を急げというようなニュアンスの報道が盛んにされています。
ところが少しずつ分かってきたのは恐るべき中身なのです。
韓国は知っての通り日本よりも国土は狭く人口も少ない。
国家予算にしても日本の10分の1程度です。
産業と言えば大財閥の現代とサムソンの2社です。
この2社でGDPの40%を占めています。
韓国ではGDPの7割を輸出に頼る典型的な外需形国家であり対外貿易の依存度が高いです。
因みに日本は2割程度です。
そんなわけで韓国と日本は地域事情が全く違うので比較にはなりません。
米韓FTAは米国がTPP交渉をこれから進めるうえで先進事例として有効活用することは想像がつくと思います。
 
韓国政府は事前に医療・福祉・教育には影響がないと盛んに情報を流してはいるようだが蓋を開けてみると医療・福祉・教育の規制が次々と緩和されているようです。
医薬品分野においては米国の要求が100%近い丸呑み条件となっています。
医薬品・医療機器委員会を設置するのだが米国の医療機器輸出に対して規制を加えることが非常に難しいとう中味のようです。
・高額医療の負担が国民に帰結すると懸念されている
・政府による医薬品の許可の遅延で発生した損害は米国企業に補償を行う
・米国のメーカーは自社の薬価が低く決定された場合においてこれを不満として政府に決定の見直しを求めることができる
 
これでは韓国が主体的に薬価を決めることが困難になることは明白なのです。
典型的な輸出国の韓国では少しでもアメリカ物を買ってもらいたいので敢えて悪い条件でも飲まざる得ないことが分かります。
農協・漁協・労金の保険販売においては民間企業保険会社と同一ルールにすることも定められています。
それから韓国の郵政は今後は保険に関する新商品の販売を禁止されることになっているのです。
自動車関連においては米国が韓国製トラックに課す25%関税は8年間存続させます。
韓国の米国製トラックに対する関税は直ちに廃止することとなっています。
小中型車においては韓国国内の税率は据え置きなのですが大型車は減税させられることは必須のようです。
 
しかしまだまだこんなことで驚いていてはいけません。
サービス市場においては全面的に開放することになっていし例外的に禁止する品目だけを明記させられる決まりになっています。
・一度規制を緩和するとどんなことがあっても元に戻せない。
・狂牛病が発生しても牛肉の輸入を中断できないという決まりも盛り込まれている
・今後は韓国が他の国とFTAを締結した場合においてその条件が米国に対する条件よりも有利な場合は米にも同じ条件を適用する
・自動車分野で韓国が協定に違反した場合又は米国製自動車の販売・流通に深刻な影響を及ぼすと米企業が判断した場合には米の自動車輸入関税2.5%撤廃を無効にする
韓国に投資した企業が韓国の政策によって損害を被った場合は世界銀行傘下の国際投資紛争仲裁センターに提訴できるが韓国では裁判は行わない
 
全くの不平等条約そのものです。
米国はなりふりかまわずかさにかかって挑んできます。
まだまだ恐ろしい内容がここにあります。
 
韓国にだけ適用させられる条件がありますので紹介します。 
米国企業が期待した程利益を得られなかった場合には韓国がFTAに違反していなくても米国政府が企業の代わりに国際機関に対して韓国を提訴できる
・・・のだそうです。
・米国の企業が営業がうまくいかないときには米国政府は韓国を提訴することが許される
・米企業・米国人に対しては韓国の法律ではなく韓米FTAを優先適用する
 
知的財産権に関するものとしては米国企業が韓国のWEBサイトを閉鎖することができるようにもなっています。
著作権違反という理由をつけることで強制的にできる取り決めになっています。
どこまでも米国有利のFTAなのです。
米国の強引さは今に始まったわけではありません。
彼らは貿易交渉においては貿易慣行がフェアならば自分達が勝つと思い込んでいるふしがあります。
(後 略