23日に行われる籠池理事長の証人喚問は、籠池氏を偽証に追い込んで「安倍疑獄事件」を幕引きしようとした自民党の思惑の元に実現しました。しかし籠池氏も元検事や弁護士から知恵を授けられているので簡単にそんな罠にはまることはない筈で、逆に手負いの彼が開き直ってどこまでを暴露するのか、自民党側にはいまやその惧れの方が強くなっているようです。
いずれにしてもこの問題が23日をもって幕になるという可能性はまずなくて、逆に本格的な追及の幕明けになりそうです。
国民の多くは、国有地を破格の値段で払い下げさせる力は籠池氏には全くないことを十分に理解しているし、払い下げた責任が政権とその手足となった官僚の側にあることを直感的に知っています。
であれば子供だましの幕引きはあり得ないので政府・与党は作戦を誤りました。
もう一つ、政府は官僚を守る(=自分を守る)ために、小学校開設の認可を下した責任は大阪府にあると仕向けましたが、それには松井大阪府知事とその路線を敷いた橋本徹元府知事が大反発して、「国からの圧力があった」ことをバラしました。
身から出た錆であるとはいえ、これは安倍首相にとっては籠池氏の反乱?以上にショックであったようです。
それで周囲に、『大阪の3点セットは白紙に戻す』と語気を荒らげているということです。
この3点セットというのは「大阪万博誘致への国を挙げた協力」 「大阪・夢洲のカジノ計画」 「リニア大阪延伸の前倒し」のことで、万博誘致は兎も角、「カジノ計画」や「リニア大阪延伸の前倒し」はロクでもないこと(そもそもカジノ法を強行成立させた本当の理由は「大阪万博誘致」のための目玉の一つにするためでした)なので、白紙にすべきものなのですが、こんな風にして安倍政権と維新の会の蜜月関係が白紙以下に戻ったのは面白い展開です。
この3点セットというのは「大阪万博誘致への国を挙げた協力」 「大阪・夢洲のカジノ計画」 「リニア大阪延伸の前倒し」のことで、万博誘致は兎も角、「カジノ計画」や「リニア大阪延伸の前倒し」はロクでもないこと(そもそもカジノ法を強行成立させた本当の理由は「大阪万博誘致」のための目玉の一つにするためでした)なので、白紙にすべきものなのですが、こんな風にして安倍政権と維新の会の蜜月関係が白紙以下に戻ったのは面白い展開です。
日刊ゲンダイの二つの記事を紹介します。
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安倍首相の手紙も? 籠池理事長「証人喚問」で放つ隠し玉
日刊ゲンダイ 2017年3月22日
いよいよ “安倍疑獄事件” の本格的な幕開けとなるのか。
23日、衆参両院の予算委で行われる大阪市の学校法人「森友学園」の籠池泰典理事長に対する証人喚問。入り口こそ、安倍首相が森友に寄付したという100万円の「真偽」だが、もちろん本スジはそこじゃない。豊中市の国有地の払い下げに関与した財務・国交官僚は誰か。鴻池祥肇元防災担当相以外で現ナマ政界工作を仕掛けた政治家は誰なのか――という疑惑の解明だ。今の籠池理事長は「手負いの獅子」と同じ。どんな隠し玉が飛び出すか分からない。
森友は既に財務省に問題の国有地返還を求められている上、石井啓一国交相も21日の会見で、支払い済みの補助金約5650万円の返還を求める通知を送付したことを明かした。両省は今まで散々、国有地売買や補助金支出について「適法、適正」と説明してきたクセに、籠池理事長が歯向かう姿勢を示した途端、手のひら返しである。もはや小学校の開校は絶望的となった森友が今後、資金難に追い込まれるのも時間の問題だ。崖っぷちに立たされた籠池理事長の口から爆弾証言が出る可能性は十分ある。
「籠池理事長は、元検事や弁護士の協力を得ながら、証人喚問のための綿密な想定問答を考えているようです。安倍首相からの手紙、昭恵氏とのメールのやりとりに加え、現職閣僚の実名や学校設置認可を“仲介”した役人らの名前を挙げるのではないか、といわれている。とりわけ、籠池理事長は『心と心が一緒』と語るほど心酔し、幼稚園の運動会で児童に『がんばれ』と宣誓までさせた安倍首相が自分を批判し、バッサリ切り捨てたことに相当怒っています」(国会野党担当記者)
まさに可愛さ余って憎さ百倍。「日本国のために、あのヘタレ総理は絶対潰さなあかん」と息巻く籠池理事長の姿が浮かぶようだ。大体、「100万円の寄付」の件だって、当初は安倍政権への影響をおもんぱかって表沙汰にしていなかった。ところが安倍首相や霞が関官僚らが、自分一人にすべての罪をかぶせてトンズラしようとしている姿に憤慨して “ブツ” を出してきたのである。
そんな籠池理事長が自信マンマンで証人喚問に応じる以上、手ぶらで出席するはずがないだろう。対する自民党側の委員は「籠池証言は嘘」と国民に印象付けるだけの答弁を引き出す力量が求められるが、職業検察官でも至難の業だ。何せ衆参合わせて4時間しかないのだ。この問題を最初に追及した豊中市議の木村真氏はこう言う。
「籠池氏の証人喚問で何が飛び出すのか分かりませんが、本来、最初に喚問するべきは、当時の迫田英典理財局長(現国税庁長官)と武内良樹近畿財務局長(現国際局長)でしょう。国家公務員なのだから業務命令で国会に呼べばいいだけです。そして何より、安倍昭恵氏の喚問が必要でしょう。籠池氏一人を喚問して幕引きは許されません」
籠池理事長による「独演暴露答弁」みたいな展開になったらテンヤワンヤになるのは与党だ。
橋下・松井コンビに激高 安倍首相“維新3点セット”白紙撤回か
日刊ゲンダイ 2017年3月22日
長すぎた蜜月がついに終わった。森友騒動で連日、野党の追及を受ける安倍首相は錯乱状態。虚偽答弁が発覚した稲田防衛相を「答弁には気をつけてくれと、何度も言っただろ!」と叱りつけたと報じられたが、最近は辺り構わず腹いせをぶつけているという。
なかでも(安倍首相が)苛立ちを隠さないのが、日本維新の会のツートップの態度だ。大阪府の松井一郎知事と橋下徹前知事は今さら「国の圧力があった」と口をそろえている。
「昭恵夫人が名誉校長だった責任を棚に上げ、首相はあくまで今回の疑惑は大阪府の責任との認識です。確かに大阪府は私立小学校の設置認可の審査基準を緩和し、森友学園が問題だらけと知りながら、スピード審議で『認可適当』と判断。首相にすれば、騒動の発端は大阪府の怪しい手続きで、この問題で矢面に立たされるのは松井知事らの不手際のトバッチリ。おまけに『国の圧力』の “責任逃れ” 発言を聞かされたから、もう怒り心頭です。『大阪の3点セットは白紙に戻す』と語気を荒らげているそうです」(官邸事情通)
安倍首相の言う3点セットとは「大阪万博誘致への国を挙げた協力」「大阪・夢洲のカジノ計画」「リニア大阪延伸の前倒し」を指し、いずれも維新の“看板公約”だ。維新が与野党対立法案に軒並み賛成、安倍政権に全面協力してきたのも、見返りに3点セットの実現を求めているためだ。
それにしても、安倍首相の私怨で国策が左右されるとは「首相を侮辱したから証人喚問」と同様のおぞましさだが、そんな政権と維新のもたれ合いに森友騒動は亀裂を入れ、その裂け目は日ごとに広がっている。
■5年の蜜月にピリオド
「橋下・松井コンビにすれば『国の圧力』発言は先手を打っただけでしょう。鼻の利く2人は安倍政権側の言動をみて、森友問題を“大阪ローカルの問題”と矮小化させ、責任を押し付けてくるニオイを嗅ぎ取った。“やられる前にやれ”ですよ」(維新関係者)
安倍首相と松井知事は2012年2月、大阪で開かれた「日本教育再生機構」のシンポジウムで会談したのを機に意気投合。再生機構はHPで〈教育を通じて国民意識を覚醒させ、国家への愛情を取り戻すこと〉を標榜し、メンバーは「日本会議」と重なる。森友学園とも関係の深い組織だ。
会談から5年。菅官房長官と橋下氏を交えて会食を重ね、親密さを誇示してきたが、互いに思想の共鳴し合う森友学園のせいで関係にヒビが入るとは皮肉である。