2017年3月29日水曜日

核兵器禁止条約交渉 日本は不参加

 ニューヨークの国連本部で始まった、核兵器を法的に禁止する初めての条約の制定を目指す交渉には、100か国以上が参加しました。初日にはまず各国の代表や被爆者の代表として日本被団協藤森俊希事務局次長など演説ました
 
 日本の高見澤軍縮大使は会場で演説を行、核軍縮は核兵器の保有国と非保有国が協力して行うことが不可欠だとしたうえで、「建設的で誠実な形で交渉に参加することは困難だと言わざるをえない」と述べ、このあとの交渉には参加しないことを明らかにしました。
 昨年10月28日、日本が核兵器禁止条約に反対したときには、今回開始された交渉には参加すると表明していましたが、結局はアメリカの強い意向に従って交渉自体にも参加しないことになりました。 
 唯一の戦争被爆国として核廃絶を訴えてきた日本は、今回もアメリカなどの核保有国と行動を共になったわけです日本はこれまでもアメリカの核の傘の下にいるからとして、常にアメリカと共同の歩調を取ってきましたので、別に驚くことではありませんが情けない話です。
    (関係記事)
          2012年10月25日 核兵器非合法化への努力声明を日本は拒否
          2013年4月27日 核兵器共同声明不参加は殆ど毎回のこと
          2013年10月11日 政府、核不使用声明に初めて署名へ
 
 交渉の参加国や被爆者からは、唯一の戦争被爆国である日本が禁止条約に反対し交渉にも参加しないことに、当然批判が出ています
 長崎市の田上市長は「被爆地としては到底、理解できないし、深い失望を感じている」と述べ、日本被団協の箕牧智之代表理事は「怒り心頭でがっかりした交渉に参加し、唯一の戦争被爆国の政府としてふさわしい役割を果たしてほしいと日本政府の対応を批判しました。
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外相 核兵器禁止条約交渉「対立深め逆効果に」
NHK NEWS WEB 2017年3月28日
岸田外務大臣は、閣議のあと記者団に対し、核兵器を法的に禁止する条約の制定を目指す国連での交渉に、日本が参加しないことについて、交渉には核兵器保有国が参加しておらず、非保有国との対立を深め逆効果になりかねないとしたうえで、双方が、ともに参加する枠組みで議論することが現実的で、核廃絶に向けた最短の道だと強調しました。
 
核兵器を法的に禁止する初めての条約の制定を目指す交渉が、ニューヨークの国連本部で始まりましたが、アメリカをはじめとする核兵器の保有国は参加せず、唯一の戦争被爆国として核廃絶を訴えてきた日本も参加しないことを表明しました
 
これについて、岸田外務大臣は閣議のあと記者団に対し、「核兵器のない世界に対して現実に資さないのみならず、核兵器国と非核兵器国の対立を一層深めるという意味で、逆効果にもなりかねない」と述べました。
そのうえで、岸田大臣は「NPT=核拡散防止条約など、核兵器国と非核兵器国がともに参加する枠組みの中で、これからも辛抱強く努力することこそ現実的で、核兵器のない世界に向けての最短の道であると信じている」と述べました。
 
官房長官 双方巻き込み効果的な措置追求を
菅官房長官は閣議のあとの記者会見で、「本件の交渉には、5つの核兵器国がいずれも出席していない。このような環境では、核兵器国と非核兵器国の対立をさらに深め、かえって核兵器のない世界を遠ざけるものになると判断した」と述べました。
そのうえで、菅官房長官は「核兵器のない世界の実現に向けて、核兵器国と非核兵器国の双方を巻き込んで、現実的で効果的な措置の追求が必要だ。政府としては、唯一の戦争被爆国として、引き続き国際社会の取り組みをリードしていきたい」と述べました。
 
長崎市長 交渉不参加到底理解できない
長崎市の田上市長は、報道各社の取材に対し、「被爆地としては到底、理解できないし、深い失望を感じている。唯一の戦争被爆国として、どういう条約なら結べるのか、どうすれば核兵器廃絶へ前進できるのか、議論をリードしてほしかった。今回の交渉会議の方向性を踏まえたうえで、6月の2回目の会議に向けて日本政府には、再度出席を求めたい」と述べました。
 
日本被団協「怒り心頭でがっかりした」
日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会の箕牧智之代表理事は、記者会見で、「怒り心頭でがっかりした。国連に乗り込んで、日本政府と私たち被爆者の考えは違うと言いたいくらいだ」と強く批判したうえで、「交渉に参加し、唯一の戦争被爆国の政府としてふさわしい役割を果たしてほしい」と述べました。