2017年3月28日火曜日

28- 安倍昭恵氏と職員の証人喚問が不可欠

 森友学園問題は自民党が突然要求した籠池氏の「証人喚問」も終わり、当面の課題は100万円を寄付したとされている昭恵夫人がそれにどう答えのか、そして財務省などが記録をなくしたとして詳細が不明になっている関係議員や森本学園サイドとの交渉経過の解明などです。
 
 財務省などが打合記録を廃棄した件については、別掲の記事の通り、政府の公文書管理委員長代理が、「最低5年間は文書を保管しなくてはならず、もし交渉記録を故意に廃棄していたなら、刑法の公用文書等毀棄罪に該当し、故意でないとしても公文書管理法違反になる」と述べています。
 国会はその責任を追及することが必要で、その過程で交渉経過が明らかになる可能性もあります。
 官僚たちは、安倍首相や当時の理財局長迫田氏を擁護することを第一とするあまり、国会での対応は極めて不誠実でした。彼らは(安倍首相もそうですが、)如何に誤魔化すか、如何に逃げ切るかのみを目指していて、結果として国会を軽視しています。彼らは安倍首相や省の上層部から評価されればそれでよいと思っているのでしょう。そうした態度は既に国民の大多数から見透かされていますが、彼らの価値尺度はそこにあるようです。
 
 ところで証人喚問における自民党や維新の会の議員たちの態度は、籠池氏をなんとか偽証罪に追い込もう、そして籠池氏がウソつきで信用できない人間に印象操作をしようという意図があからさまで、酷いものでした。そういう中で、籠池氏は100万円を受け取ったことを詳細な状況描写を交えて認めました。100万円を受領したと証言したわけです。
 それに対して昭恵氏はフェイスブックでそれを否定しているということで、下村議員などは「反論はそれで十分だ」と述べていますが、冗談は休み休み言って欲しいものです。とても常識を持った人間の言うこととは思われません。籠池証言を否定したいのであれば証人喚問に応じるしかありません。
 
 そもそも籠池氏を証人喚問に主導したのは激怒した安倍首相だと言われているのに、もう一方の当事者である昭恵夫人の証人喚問には大反対しています。安倍首相はいみじくも証人喚問に呼ばれる人を「犯罪者云々」と口にしましたが、そういう人たちを喚問するのが「証人喚問」だと認識しているのであれば間違いで、昭恵夫人の証人喚問に応じない理由がそれならば滑稽なことです。
 確かにそうした公の場に立たされることに不慣れな人は大勢いますが、昭恵氏は名誉会長など現在60もの肩書を持ち日本中を飛び回り、2時間の講演も平気でこなしている人なのでそんな心配は全くありません。
 それでも証人喚問を拒否するのであればこの問題は解決しません。逆に真実が明らかになるのを避けていると思われても仕方がありません。 
 「弁護士 猪野 亨のブログ」 と 「植草一秀の ”知られざる真実”」 を紹介します。
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森友学園 安倍昭恵首相夫人、職員の証人喚問が不可欠だ 
北朝鮮よりもひどい
 籠池氏の証人喚問が実施されましたが、籠池氏は非常に明確に回答されました。
 これによって、ますます安倍昭恵首相夫人の証人喚問が不可欠となりました。
 100万円の寄付問題も重要ですが、土地売却や小学校の認可に関し、政府関係者、国会議員がどのように関与してきたのか、問われています。
 自民党側は、安倍昭恵首相夫人の証人喚問を拒否していますが、道理がありません。それならば、何故、籠池氏に対する証人喚問を提案し、実施したのでしょう。

民進 昭恵氏らの証人喚問要求 自民は応じない考え(NHK 2017年3月24日)
「自民党と民進党の国会対策委員長が会談し、民進党は大阪の学校法人「森友学園」の籠池理事長の証人喚問を受け一連の真相を明らかにするためとして、安倍総理大臣の夫人の昭恵氏ら8人の証人喚問を求めました。これに対し、自民党は「政府のこれまでの説明で十分だ」などとして応じられないという考えを伝えました。」

 要は、偽証罪の制裁をぶつけることによって籠池氏を黙らせること、黙らなければ偽証罪で告発することにあったが、それが失敗したというにすぎません。
 自民党の質問者たちの姿勢は疑惑を解明しようというものからは全く無縁のもので、証人喚問を実施しようとした動機が明らかになったということです。

 安倍昭恵首相夫人は、籠池氏への反論を自らのフェイスブックに掲載しているということですが、何故、国会に出てきて証言するということにならないのですか。
 フェイスブックのような発信手段は一方的に自分の言いたいことを言うだけでのものでしかなく、事実関係を精査するあたっては、籠池氏が受けたような質問に対し、回答するという過程が一切、ありません。
 安倍昭恵首相夫人の主張は全く説得力がないということです。

 安倍昭恵首相夫人は、今でもあちことで講演をされているそうですが、ご自身のことを「普通の主婦」だと表現したというのですから、ひどい話です。
 「普通の主婦」が講演の講師としてあちことから招かれるとでもいうのですか。
 ひどく人を馬鹿にした話です。涙を浮かべたとも報じられています。
昭恵夫人、涙ぐむ=「自分の甘さ反省」」(時事通信2017年3月24日)
「「多くの方に騒がれることになってしまい、自分の甘さがあったのかなと反省している」と語った。会場からの励ましの拍手に涙ぐむ場面もあった。
 講演は報道陣に非公開で行われた。出席者によると、昭恵氏は自身について、「本当に私は普通の主婦、普通の女性だ」と強調。「主人と私と、一生懸命この国のために働いていることをぜひご理解いただければ」と訴えた。」

 自民党側が安倍昭恵首相夫人の証人喚問を拒否するということは、安倍首相、安倍昭恵首相夫人の関与を認めたということを意味します
 松井一郎大阪府知事が、どこにでも行くと言っていることと対比されるべきものです。
 そういえば山本太郎氏が誰が一番の問題かという質問に対し、籠池氏が松井大阪府知事という証言を繰り返していました。山本太郎氏は国会議員の名前を挙げてもらいたかったのでしょうが、籠池氏にしてみれば、認可目前の瑞穂の國小学院の認可の見込みがなくなり、申請を取り下げたのですから、恨み節は大阪府知事に向けられるのは自然なことです。

 それから「忖度」という言葉が強調されています。
 安倍昭恵首相夫人にお付きの政府職員谷査恵子氏の関与も問題になっていますが、「忖度」程度で政治が動くということの恐ろしさを考えてみた方がよいです。
安倍首相「昭恵夫人隠し」証人喚問要求を拒否」(日刊スポーツ 2017年3月25日)
「「忖度(そんたく)がはたらき、本質にかかわったかといえばそうではない。(問い合わせの結果は)ゼロ回答だ」。安倍首相は参院予算委員会で、昭恵夫人担当の政府職員、谷査恵子氏が、籠池氏の求めに応じ、国有地の売買予約付き定期借地契約について財務省側に問い合わせた内容の文書を、こう切り捨てた。」
 しかも、このFAXを送った谷氏の行為がつるし上げにあっているようなのです。
証拠FAXに官邸激怒 元夫人付の谷査恵子氏“国外追放”情報」(日刊ゲンダイ 2017年3月26日)
「「もちろん総理もファクスの存在を知らなかった。激怒して、谷さんを呼び出し、怒鳴りつけたと聞きます。しかし、彼女の一存で勝手にやった話ではないことくらい政界関係者なら誰でも分かる。昭恵夫人に怒鳴るならともかく、ノンキャリの彼女にすべてを負わせるのはあまりに酷です」(自民党関係者)」

 北朝鮮でも、将軍様の意向に反した、意に沿わなかったということになれば粛正される運命にあります。高官であれば高射砲やら火炎放射器で粛正されます。そうなると高官たちは、将軍様の意向に沿うように日常から行動するようになります。

 さて、日本の官僚も同じことでしょう。
 土地の格安での売却についても「忖度」によって財務局に対する無理が通ったということですが、しかし、安倍氏らがブラックのまま説明できないということは、役所側が勝手に「忖度」したこと以上のものがあったということなのでしょう。「忖度」というキーワードで誤魔化そうとしてもダメです。
 日本の安倍自民党政権は、北朝鮮よりもひどいと言えます。

安倍自民党は、財務官僚迫田元理財局長の参考人招致を拒否、真っ黒を認めただけでなく、説明できないのは思われている以上の疑惑があるということ
 
 
ほぼ明確になったアベ友疑惑全貌と首相辞任問題
植草一秀の「知られざる真実」 2017年3月27日
「アベ友疑惑」第1弾である「森友疑惑」の全体像がほぼ明らかになった
この問題について安倍首相は2月17日の衆議院予算員会質疑で、
「私や妻が関係していたということになれば、まさにこれは、もう私は総理大臣も、そりゃもう、間違いなく総理大臣も国会議員も辞めるということは、はっきりと申し上げておきたい」
と明言しており、この発言を踏まえれば、安倍首相は総理大臣と国会議員を辞任しなければならないということになる。
 
これまでに浮かび上がってきた「森友疑惑」の全体像とは、安倍首相の妻である安倍昭恵氏が、森友学園が新設予定の「瑞穂の國記念小學院」の名誉校長に就任し、この名誉校長である安倍昭恵氏が小学校用地としての土地使用及び取得問題に関して行政当局に口利きをした結果、財務省を中心とする行政当局が、激安価格で森友学園に国有地を払い下げたというものである。
 
これまでの各種情報及び国会質疑を通じて浮かび上がっている図式は上記のものである。
内閣総理大臣の影響力によって国有地が不当に低い価格で払い下げられた疑いが濃厚であるが、不当に低い価格での国有地払い下げは財政法に違反する重大事案である。この図式が極めて強い疑惑として浮上している。
安倍首相はこの疑惑を完全に払拭する責任を負っている。それができないなら、首相と議員を辞任するしかない。
 
単に安倍首相が2月17日の国会質疑で辞任を明言したから辞任すべきというものではなく、事案の内容が十分に辞任に該当するものであるから、安倍首相は辞任する必要がある、というものである。
特定の事業者の意向を総理大臣および総理大臣夫人が行政当局に打診し、行政当局が普通ではありえない便宜あるいは利益を一事業者に供与したとの疑いが生じているのであり、政治の腐敗、政治の私物化そのものである。このようなことが許されるわけもなく、許してよいものでない。
 
大阪府の松井一郎知事は3月25日に開かれた「日本維新の会」の党大会で、「忖度には、悪い忖度といい忖度がある」「忖度とは「慮る、気を使うことだ」として「政治家は国民の思いを忖度して政策をすすめていく」ものだとした。
どのような内容を「良い忖度」だとするのかが明確ではないが、行政に求められる第一の要請は、公正、公平である。
「忖度」が「公正、公平」を歪めるものである限り、「良い忖度」は存在しない。
 
「森友事案」の核心は、鑑定評価額9億5600万円の8770平米の国有地が1億3400万円で払い下げられたことにある。
しかも、9億5600万円の鑑定評価額も隣接する9492平米の売却価格14億2300万円と比較して著しく低い。
大阪音大が埋設物撤去費用を差し引いた5億8000万円での取得希望を、価格が安すぎるとの理由で拒否した事実に照らしても、1億3400万円での払い下げは説明できないものである。
地下埋設物処理費用として国は森友学園に1億3176万円を支払っている。
その上で国は鑑定評価額9億5600万円の国有地を1億3400万円で払い下げたのだ。
 
森友学園側が地下埋設物の存在を国に伝えたのが2016年3月。この直後に森友学園は定期借地を買い入れに変更することを国に伝えた。
激安払い下げが行われたのは2016年6月のことである。
安倍昭恵氏が新設小学校の名誉校長に就任したのは2015年9月。
籠池氏が電話で安倍昭恵氏に相談したのが2015年10月。
安倍昭恵氏の秘書である公務員が籠池氏に暫定報告をFAXで送信したのが2015年11月。
行政当局が異例の便宜供与を行った背景に、安倍昭恵氏サイドからの働きかけがあったことは明白である。その結果として、国有地の激安払い下げが行われた。
 
安倍首相は本年2月17日の国会答弁で
「私や妻が関係していたということになれば、まさにこれは、もう私は総理大臣も、そりゃもう、間違いなく総理大臣も国会議員も辞めるということは、はっきりと申し上げておきたい」
と明言しており、上記の事情を踏まえれば、安倍首相は総理と国会議員を辞任するべきということになる。
疑惑を払拭するためには、安倍昭恵氏の国会での証人喚問が必要不可欠である。
野党は安倍政権の責任ある対応、すなわち安倍昭恵氏の国会での証人喚問応諾を得るまでは、すべての国会審議に応じないという断固たる姿勢を示すべきだ。
問われているのは野党の対応でもある。
後 略