2017年3月14日火曜日

安倍首相 親友が経営する大学の獣医学部を 国家戦略特区で強引に新設

 別掲の世論調査結果で明らかなように、国民は、森友学園と深い関係にあった安倍首相の説明を全く信用していません。確かに安倍首相が直接何かを指示したという証拠はありませんが、森友学園問題が「安倍マター(安倍首相関連事案)」であったがために、近畿財務局・大阪航空局の官僚たちが特別扱いを重ねて、実質「タダ」で国有地を払い下げたのだと国民は思っています。
 
 小学校の認可自体は大阪府のマターですが、これも大阪府私学審が問題が多々あるとして2014年12月18日に認可を保留したのを、安倍首相と親しい松井大阪府知事が私学審に先んじて「認可適当」を明言したので、私学審もそれを追認する形で2015年1月27日臨時会合を開いて「認可」答申をしました。
 このように府知事が小学校の認可を主導した(と思われる)のもまた大いに異例なことです。
 
 この10日に森友学園の籠池理事長が突如認可申請を取り下げたのは、この問題を幕引きしたいと考えている官邸からの圧力と懐柔があったからと見られていますが、これだけ大きな疑惑を持たれているこの問題がそんなことで鎮静することはありません。
 
 ところで四国の愛媛県今治市で、安倍首相の30年来の親友の加計孝太郎氏が経営する岡山理科大学の獣医学部を開設する計画が進められています。
 今治市は、医学部の開設に向けて、岡山理科大学に対して367500万円の土地を無償で提供したうえ、校舎建設費の補助金として今後8年間で計64億円を支払うという、いたれりつくせりの協力をする予定だということです。こうした大サービスは森友学園のケースに良く似ています。
 
 この件についてはLITERAが3月2日に「“第二の森友学園”疑惑!」として取り上げました
※  3月4日  安倍首相に“第二の森友学園”疑惑!
 
 13日、しんぶん赤旗が新しい内容を盛り込んで取り上げましたので以下に紹介します。
 
 (お知らせ) 
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安倍首相主導・国家戦略特区で無理やり新設 52年ぶりの獣医学部
 「加計学園」が計画 愛媛 37億円の土地無償提供・補助金64億円
しんぶん赤旗 2017年3月13日
 「森友学園」疑惑の解明が国政の焦点となるなか、安倍晋三首相との親密な関係が注目されるもう一つの学校法人があります。岡山理科大学などを運営する「加計(かけ)学園」(加計孝太郎理事長、岡山市北区)。同学園が愛媛県今治市で開設をめざす、国内では52年ぶりとなる獣医学部をめぐり、総理主導の「国家戦略特区」で起こったことは―。(竹腰将弘)
 
 現在進行している獣医学部新設構想は、今治市内に岡山理科大学の獣医学部を開設するというものです。市は、学校用地として市内の16・8ヘクタール、約36億7500万円の土地を無償で提供したうえ、校舎建設費の補助金として今後8年間で計64億円を支払うという、いたれりつくせりの構想です。
 
 加計学園の獣医学部新設までには「前史」というべき長い経過があります。
 文部科学省や農林水産省は、大学獣医学部の新設を抑制する方針をとっています。獣医師への社会的な需要と獣医数のバランスを図るのがその目的。文科省告示「大学、大学院、短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準」は、歯科医師などとならんで獣医師養成の「大学等の設置若しくは収容定員増」を認めないとしています。
 
 これをすりぬけるために加計学園と今治市・愛媛県がねらったのは「構造改革特区」による獣医師養成系大学設置の規制緩和でした。
 しかし、日本獣医師会は「獣医学教育課程が『特区』に名を借りた『地域おこし』や特定の一学校法人による『大学ビジネス拡大の手段』と化すようなことがあってはならない」(2010年8月の声明)と批判。「獣医師養成機能をもつ大学全体の問題として全国的見地で対応すべきで、特区制度で実現することは困難」(文科省の回答)という理由で、07年から14年まで15回にわたって出された特区提案は、ことごとく採用されませんでした
 
 局面が変わったのは15年6月。第2次安倍政権がアベノミクスの「成長戦略」の柱とした「国家戦略特区」に、今治市と愛媛県が共同で「国際水準の獣医学教育特区」を提案しました。
 以後、52年ぶりの獣医学部新設へ急テンポの動きが始まったのです。
 
首相があけた風穴 腹心の友が “呼応”
 今治市・愛媛県が「国家戦略特区」に大学獣医学部新設を提案してからわずか3週間後の15年6月30日、安倍内閣は「日本再興戦略」改定2015を閣議決定。そこに「獣医師養成系大学・学部の新設の検討」を盛り込みました。獣医学部新設解禁は、政府の方針とされました
 さらに同12月の国家戦略特別区域諮問会議(安倍首相が議長)では、今治市を含む区域を全国で10番目の国家戦略特区と決定しました。
 
獣医師会が抗議
 そして、翌16年11月の同会議で「獣医学部の設置」についての制度改正を決定。これにより、従来の獣医学部新設抑制方針に風穴があけられます。
 この会議で麻生太郎財務相は「上手(うま)くいかなかった時の結果責任を誰がとるのか」と異例の発言をしています。日本獣医師会も「半世紀にもわたる獣医学教育の国際水準達成にむけた努力と教育改革に全く逆行するもの」(同11月28日付会長通知)と強く抗議しました。
 一連の手続きの仕上げとして17年1月、今治市の国家戦略特区に新設する獣医学部の認可申請を受け付ける特例措置を告示。わずか8日間の期日中に申請したのは、加計学園のみでした。
 
 結局、同20日の国家戦略特区諮問会議で、加計学園を実施主体とする獣医学部新設が、安倍首相によって認定されたのです。
 首相はこの会議で「1年前に国家戦略特区に指定した今治市で、画期的な事業が実現します」「獣医学部が、来年にも52年ぶりに新設され、新たな感染症対策や先端ライフサイエンス研究を行う獣医師を育成します」と成果を誇る発言をしました。
 国内の獣医師養成学部の新設は、普通の方法では実現困難でした。安倍首相が主導する「国家戦略特区」によって、強引に制度を変更。そして、実施主体は加計学園という、“予定調和” のような結果が生まれました。
 
30年来の友人と
 安倍首相は米国留学時代に加計理事長と親交を重ね、30年来の友人だといいます。
 同学園傘下の千葉科学大学が14年5月24日、銚子市内で開いた開学10周年記念式典では、「どんな時も心の奥でつながっている友人、私と加計さんもまさに腹心の友だ」と祝辞をのべたといいます。(「千葉日報」2014年5月26日付)
 このほかにも、加計学園創立50周年記念式典(11年11月19日)では「元首相」の肩書であいさつ(学園紙「KETHY」12年1月20日号)。岡山理科大の教育学部開設祝賀会(16年5月26日)にはビデオレターを寄せるなど、学園の行事にも参加を重ねています。
 
 新聞の「首相動静」欄で16年中に確認できたものだけでも
▽山梨県富士河口湖町の焼き肉店で会食(7月22日)
▽山梨県山中湖村のゴルフ場でゴルフをプレー(8月11日)
▽東京・宇田川町の焼き肉店で会食、昭恵夫人も同席(10月2日)
▽東京・丸の内のラウンジで会食、昭恵夫人も同席(12月24日)
―と、安倍首相夫妻と加計理事長の親密な交際がうかがわれます。
 
 加計学園が神戸市東灘区で運営している認可外保育施設「御影インターナショナルこども園」の名誉園長は安倍首相夫人の昭恵氏です。名誉園長就任を記念して同園を訪れた昭恵氏が保護者らを前に講演したのは15年9月25日。これは、昭恵氏が森友学園の新設する私立小学校の名誉校長として講演した日の、わずか20日後のことでした。
 
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 国家戦略特区 地域を限定して規制緩和や税制優遇を行う制度。「アベノミクス」を実行する“起爆剤”として第2次安倍政権が2013年に導入しました。地方自治体が計画を申請したそれまでの「特区」と違い、安倍首相が議長を務める「特区諮問会議」が強い権限を持ち、首相主導で上から決める仕組みになっています。
 
 加計学園 岡山市内に本部を置く学校法人(1961年認可)。岡山理科大学、倉敷芸術科学大学、千葉科学大学の3大学をはじめ、付属中・高校、専門学校、こども園など多くの教育機関を傘下に持ちます。現理事長の加計孝太郎氏は2代目で、2001年1月就任。安倍晋三首相が親友と認めています。