2020年3月12日木曜日

コロナ対策費1桁足りない 小池書記局長が会見

 WHOのテドロス事務局長は11日の定例記者会見で、「過去の2週間で中国以外での感染者数は、13倍に増え、国の数は3倍になった。今後、数日、数週間後には感染者数と死者数、そして感染が確認された国の数は、さらに増えると予想する」として、「パンデミックと言える」との認識を示しました。

 安倍首相は10日、新型コロナウイルス感染症に対する緊急対応策「第2弾」として、「総額4300億円の財政措置を講ずる」と胸を張りましたが、その内訳は今年度予算の予備費2700億円から2295億円を充当し、残りは今年度予算の未執行分を回すというだけのお粗末極まるものでした。
 因みに米国を除く諸外国の対策の額は、韓国1兆円規模(2兆4600億円)、イタリア8950億円(1兆8800億円)、シンガポール5000億円(11兆3000億円)、台湾2200億円(1兆2000億円)で、日本の貧弱さは話になりません(カッコ内の金額は日本と同じ人口に換算し金額)。
 これでは国民、特に非正規労働者や自営業の人たちはいつまで続くかわからない非常事態の下で困窮するばかりで生きていけません。安倍政権がこれまで一貫して取ってきた弱者切り捨ての政策は一刻も早く改めるべきです。
 その一方で、1月以降日銀が株価の買い支えに使った金は1兆2032億円でした。役に立たない武器の購入や株の買い支えには国は金を湯水のように使っています。
 買い支えの資金はそのまま投資家・投資機関の儲けに繋がるものです。しかもこの巨額を投じても株は下がる一方で、EFTの損益分岐点の19500円を維持できない状況です。それはそれで大問題です。


                   この間の日銀のETF購入額


1日の購入額
購入した日数
購入額

1月
714億円
6日
4284億円

2月
715億円
8日
5720億円

3月
1014億円
2日
2028億円



合 計
1兆2032億円
     (4日付しんぶん赤旗記事より 3月9日購入分を追加して作成)

 また資金繰り対策費の16000億円についても、2008年のリーマン・ショックでは緊急保証制度20兆円、1998年の金融危機では金融安定化特別保証制度に30兆円であったのと比べ話になりません。

 共産党の小池晃書記局長は10日記者会見し、政府の緊急対応策「第2弾」について「これでは新型コロナウイルス感染症の広がりに対する国民の不安に応えるものにならない」と批判しました。
 日刊ゲンダイの記事を併せて紹介します。
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新型コロナ 対策費1桁足りない 小池書記局長が会見
しんぶん赤旗 2020年3月11日
 日本共産党の小池晃書記局長は10日、国会内で記者会見し、政府の「新型コロナウイルス感染症対策本部」が決定した緊急対応策「第2弾」について「目新しいものがほとんどない。これまで国会で答弁してきたこと、各省庁が通知などで示している政策から一歩も出ていない」と指摘し、「これでは新型コロナウイルス感染症の広がりに対する国民の不安に応えるものにならない」と批判しました。

 フリーランス支援の問題では、小池氏が予算委員会で「サラリーマンの保護者には給付金を出し、フリーランスは貸し付けというのはおかしい」と追及したことに触れて、「この問題は、与党からも対応を求める声があがっていた。しかし、今回の提案は、フリーランスへの給付が一応盛り込まれたが、対象となるのは、休校になるお子さんのいる方だけだ。政府が要請したイベント自粛で仕事が失われ、収入が断たれた業者、劇団員、音楽家などに対する対応がまったくない」と指摘しました。

 また、子どもが休校で休んだ場合でも、フリーランスへの給付は1日4100円であり、雇用者への給付金は8330円だとして、「フリーランスはなぜ半額か、あまりに理不尽だ」と指摘。またイベント自粛などの政府の政策によって収入の道が断たれた場合、対応は緊急小口融資の10万円しかないと告発。「収入が断たれても“10万円貸しますから、安心してください”というのか。お話にならない」と述べました。

 そして、「第2弾」の財源は予備費2715億円だとして、「予備費から一歩も出ない対応であり、年度内のわずかな20日間の『対応』でしかない」と指摘しました。
 また、資金繰り対策の規模が5000億円から1兆6000億円になったことについても、2008年のリーマン・ショックでは緊急保証制度が20兆円、1998年の金融危機では、金融安定化特別保証制度に30兆円が、貸し渋り対策として組まれたことに言及し、「今回は、1桁足りないと言わざるを得ない」と述べました。
 小池氏は、米国や韓国はすでに1兆円規模の予算を組んでいるとして、「予備費の範囲だけの対策ではなく、現在審議されている来年度予算案の修正を行い、来年度までみすえた抜本的な対策を打ち出す責任が政府にある。引き続きそのことを求めていきたい」と述べるとともに、「いまやるべきは政治の責任として国民の不安に応える財政措置と、きめ細やかな支援策をとることだ」と強調しました。


安倍政権コロナ対策第2弾は“ケチノロ” 経済クラッシュ寸前
日刊ゲンダイ 2020/03/11
 こんなチンケな対策で「歴史的緊急事態」をしのげるのか。安倍首相が10日、新型コロナ緊急対策第2弾を発表した。目玉は臨時休校に伴う給食費の返還程度。それも国の費用負担は一部だけで、残りは各自治体に要請とはセコすぎる。子どもの世話で休んだ際の休業補償だって失政の損失補填でしかない。
 安倍首相は「総額4300億円の財政措置を講ずる」と胸を張るが、その内訳にはア然だ。財務省主計局によると、今年度予算の予備費2700億円から2295億円を充当。残りは検疫対策など今年度予算の未執行分をコロナ対策に回したという。金額を大きく見せようとして予算をカキ集めた“水増し”対策だ。

各国は軒並み1兆円近い大規模支出
 それでも世界各国に比べ、安倍政権のケチケチ度は目に余る。過去最大2000ドル強のNYダウ暴落を受け、トランプ米大統領は「給与税(社会保障税)の大幅減税」を表明。5日に約8900億円の追加予算案を成立させたばかりにもかかわらずだ。
 韓国政府は感染爆発を受け、1兆円規模の経済対策を実施すると発表。同じく感染爆発により全土で個人の移動制限を実施したイタリア政府も、約8950億円の景気刺激策を打ち出す。
 シンガポールは5000億円規模で、香港は住民1人あたり一律約14万円の現金を支給。台湾は2200億円を上限とする特別予算を組んだ。台湾の人口は日本の5分の1、税収は同7分の1。逆に日本の感染者数はクルーズ船などを除いても、台湾の10倍以上だ。
 世界各国・地域が赤字予算覚悟で大規模支出を決める中、予備費の枠にこだわり、チマチマした対策しか打たないのは日本だけ。しかも昨年10~12月期のGDP改定値は年率7・1%減と、ちょうど9年前の3・11当時を上回るマイナス幅を記録。各国と違い、日本経済には無謀な消費税増税の悪影響という特殊要因もあるのに、コロナショックも重なれば目も当てられない。
「政府は新年度の補正予算編成も視野に入れているようですが、編成は予算執行後の4月まで待つ必要がある。参院で新年度予算の審議中なのですから、赤字国債を発行してでも予算案を組み直した方が手っ取り早い。モタモタ対応は政権の危機感の欠如の表れ。多くの人が検査を受けられる体制整備に予算をつぎ込み、サッサと国民の不安解消に努め、消費税率を5%に戻すなど大胆な対策を打つべきです」(経済評論家・斎藤満氏)
 安倍政権のケチケチ、ノロノロ対策で日本経済はクラッシュ寸前だ。