2021年2月13日土曜日

入管収容者の不当長期拘束に抗議のデモ行進

 法務省管轄する出入国在留管理庁(入管)の収容施設は全国に17ヵ所あります。

 20年10月13日、名古屋入管で収容5日目の40代のインドネシア男性が亡くなりました。どういういきさつで収容され亡くなったのか、共産党の藤野保史衆議員が入管と警察に質問したものの、プライバシーを理由に教えてもらえなかったということです
 19年6月には大村入管でナイジェリア人男性が餓死しました。彼は、3年7ヵ月もの長期収容に耐え兼ねて抗議のハンガーストライキをしていました。通常なら人道上の見地からある時期にドクターストップがかかるものですが、そうした措置はなく死に至りました。入管側は「本人が食べなかった結果なので、こちらには落ち度はなかった」としています。
 法務省の発表によれば1997年以降、冒頭に記載したインドネシア人が19人目の死亡者ります。
 被収容者に取って最も辛いのが無期限収容であり、いつ解放されるかわからないこと強いストレスを生みます。食事にはゴミや髪の毛が入っていたり、腐ってる時もあります。具合が悪く病院に連れて行ってほしいと訴えても2ヵ月以上放置されることが多いということです。手遅れで死に至るケースもあります。
 被収容者たちは必ずしも犯罪者ではなく多くは入管のシステムに翻弄された人たちです。それが日本側の事情で長期間無期限に収容され、生命に関わるほどの不当な扱いを受けている訳で、その非道さは世界に名高い「人質司法」をさらに上回るものです。
 当然、国連からは再三、是正勧告が出されており、20年8月には、国連の人権理事会「恣意的拘禁作業部会」が「期限を定めない収容は、国際人権規約に違反し恣意的である」との意見を採択しました。しかし「人質司法」への批判に対するのと同様に法務省は全く聞く耳を持ちません。

 以上は、2020.11.1付 現代ビジネスの記事謎の死…入管でまた「悲劇」が起きてしまった いったい何が起きているのか」https://gendai.ismedia.jp/articles/-/76804 から抜粋したものです。
 記事中には「ここには人権もなければ、人としての尊厳も保つことはできない。いくら死者を出そうが不思議ではない場所なのだ」という記述もあります。

「レイバーネット日本」に、家族と引き離され2年8月もの間、品川の東京入管収容されているネパール人女性バビタさんの解放を訴えるデモ行進に参加した女性の記事が載りました。
 併せて日刊ゲンダイの記事(1月25日付)「菅政権「外国人差別」の醜態…入管収容者を不当に長期拘束」を紹介します。
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入管いらない!今すぐビザ出せ!〜 入管での長期収容に抗議してデモ行進
                  松本浩美 レイバーネット日本 2021-02-12
 2月11日(木)入管に対する抗議デモに参加。主催は「収容ではなく安心安全な暮らしを」という入管問題に取り組む有志のグループ。面会活動等を行う傍ら、SNSで情報を発信、署名活動にも取り組んでいる。入管に長期収容されている外国人の解放と、人権侵害に抗議するため、今回の歩くデモを企画したという。
 長期間劣悪な環境に置かれたことが原因で心身ともにダメージを受けた彼女。何度も仮放免を申請したが認められず、1月も不許可となった。今回のデモは「#FREEBABITA」「#バビタさんを解放しろ」というハッシュタグがつけられた。
 この数年、大手メディアも入管問題を取り上げるようになり、興味関心を持つ人が増えている。今回もコロナ禍の中にもかかわらず、25人ほどが集まった。集合場所の品川駅を出発し、天王洲アイルを経て入管施設を目指す。施設の周りを2周した後、引き返して、駅近くの公園で解散というコースである。
 約5.5㎞の道のりをコールしながら歩く。Free!Free!・・! ・・を解放しろ!(・・は収容されている人たちの名前) Free Them All! 入管解体! 入管いらない! いますぐビザ出せ! 家族を返せ! 命を守れ! 差別をやめろ! Black Lives Matter! などなど、実に多彩。今国会に提出される改正(改悪)入管法に導入予定の罰則、「送還忌避罪反対!」も盛り込んであった
 入管施設の周りを2周する。施設に近づくと、私たちのコールを聞いた被収容者たちの「ワーッ」という声が聞こえてくる! 思わずこちらも「聞こえているかーい!」と大声をあげ、持っているプラカを振る。立ち止まって声をあげたいが、誘導した警官たちはすぐに終わらせたいのだろう、やたら急がせる。それでも、はっきりと声が聞こえてくる。この建物の中に、明らかに人が閉じ込められているのだ。それも、大勢の人が
 コロナ禍での3密を避けるため、今は積極的に仮放免を出しているのに、いまだ収容を解かれず、中には懲罰房に入れられている人もいる。仮放免を申請しても、誰もが認められるとは限らない。許可と不許可の基準ははっきりしないと言われている。さらに、入管職員に対して意見を言ったり、権利を主張したり、要は気に入らない人は仮放免にせず、ぶち込んでおくとも言われている
 劣悪な環境に耐えきれなくなって自殺未遂する人、病気なのに治療してもらえず、手遅れで亡くなる人多数。こんな人権侵害が行われている国でオリンピックなんてどうかしている。森の首をすげかえたって、オリンピックなんてやる資格はない。

 なお、前述した「送還忌避罪」とは、故国への帰国を拒否した人に刑事罰を与えるという内容。政府は昨年秋の臨時国会で、この人権無視ともいえる罰則を導入した改正(改悪)入管法を提出しようとしたが見送ったという経緯がある。しかし、政府はあきらめてはいない。改悪阻止に向けて、声をあげていきたい。

 長期収容反対! 家族がいる人を解放しなさい! 非正規滞在者に在留資格を! 差別するな!
 *「収容ではなく安心安全な暮らしを」ツイッターアカウントは @nodetention87
  NO DETENTION, YES LIFE.  (⇒ 拘禁ではなく安心安全な暮らしを
 昨年8月7日に、東京出入国在留管理局に収容されている男性が新型コロナウィルス陽性と判明したことに伴い、有志で署名活動を展開。下記リンクから署名やカンパ、各SNSに飛べます。ご協力お願いします! linkfly.to/nodetention87 


菅政権「外国人差別」の醜態…入管収容者を不当に長期拘束
                          日刊ゲンダイ 2021/01/25
「世界中に希望と勇気をお届けできる大会を実現する」――。五輪開催に向け、こう意気込んでいる菅首相。取って付けたような美辞麗句を並べているが、東京出入国在留管理局(港区)の被収容者の「希望」には見て見ぬふりだ。
 オンライン署名を集めるウェブサイト「change.org」に、東京入管に拘束されている30代のネパール人女性の早期解放を求めるページが立ち上げられている。集まった署名は24日時点で、1500筆以上だ。
 ネパール人女性はオーバーステイを理由に2年7カ月にもわたって拘束され続け、今月17日、洗剤を飲んで自殺未遂。命に別条はなかったが、入管側は女性を監視カメラ付きの懲罰房(独房)で5日間も隔離したという。女性と面会を続ける支援者がこう明かす。
「懲罰房はプライバシーもなければ、他の被収容者とコミュニケーションを取ることすらできない。そもそも、彼女は自殺未遂の前から心身の不調を訴えていたのに、入管と提携している医師は『嫌なら国に帰ればいい』などの暴言まで吐いたといいます。さらに、2年前にできた子宮筋腫が悪化しているにもかかわらず、入管は適切な医療を施そうとしていません
 支援者グループは22日、その時点までのウェブ署名1077筆を入管に提出。同日夜、入管前の抗議活動で「Free them all !(彼らを解放せよ!)」とシュプレヒコールを上げると、被収容者棟からは「ありがとう」と返答する声が響いた。
 入管にネパール人女性の今後の処遇や対応について問い合わせたが、広報担当は「確認して折り返す」(総務課)と言ったっきり、音沙汰ナシ。
 外国人への人権侵害という醜態をさらしながら、何が世界に「希望と勇気」を届ける、だ。