2021年2月4日木曜日

04- “九条俳句問題”で市民の検証委が報告書

 2014年、さいたま市の女性が憲法九条を詠んだ俳句「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」が公民館だよりに掲載されなかった問題は、多くの人たちに衝撃を与えました。

 「『九条俳句』市民応援団」などがつくった検証委員会が、「専門性に欠ける公民館の職員が住民に対して不公正な取り扱いをしないという点で初期対応を誤り、市上層部も追認したことで問題が長期化したなどと指摘する報告書をまとめ近く市や市教育委員会に提出します。掲載を見送った市や公民館の対応を批判し再発防止を求めています
 この問題は、安倍政権下で自治体が護憲運動を行う団体などに公共施設の利用を拒否する動きが広がっている中で起きました。そういう点で単なる公民館職員の誤りと見做して良いのかについては一定の疑念は残ります。これは民主的手法による検証の限界かも知れません。
 最高裁判決が出されるまで市が態度を変えなかったのも気になるところですが、判決の確定を機に市から本人に謝罪があり俳句が掲載されたのは、軽視されがちだった公民館の役割を考え直す契機になったことと共に喜ばしいことです。
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【独自】
「今後の社会教育に生かして」 “九条俳句問題”で市民の検証委が報告書
                          東京新聞 2021年2月3日
 さいたま市の女性が憲法九条を詠んだ俳句が公民館だよりに掲載されなかった問題で、女性を支援してきた「『九条俳句』市民応援団」などがつくった検証委員会が報告書をまとめた。近く市や市教育委員会に提出する。掲載を見送った市や公民館の対応を批判し、再発防止を求めている
 この問題では、2014年に「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」という句が不掲載になったことを巡り、女性が市を提訴。18年12月、市に賠償を命じた最高裁判決が確定した。
 「応援団」などは市側に問題を検証する第三者委員会の設置を求めたが、実現しなかった。このため、市民や学識経験者、弁護士ら10人で構成する検証委を独自に発足させ、19年9月から調査していた。
 報告書は今年1月にまとまり、不掲載から裁判までの経緯を記すとともに、問題点を分析。専門性に欠ける公民館の職員が「住民に対して不公正な取り扱いをしない」という点で初期対応を誤り、市上層部も追認したことで問題が長期化したなどと指摘した。再発防止のため、公民館には「社会教育主事」の有資格者など、社会教育の重要性を理解する職員を配置した上、館長の権限を強めるなどして、各館の自治運営を尊重すべきだと提言した。
 検証委メンバーで「応援団」共同代表の武内暁さんは「市民が主役で声を上げた問題。軽視されがちだった公民館の役割を考え、行政も今後の社会教育に生かしてほしい」と話す。

 報告書は市内の公民館や図書館、市議会などに配布するほか、1部500円、10部以上で1部300円(いずれも税込み)で販売する予定。(前田朋子)


<回顧2019>
九条俳句問題 米軍所沢通信基地工事残土搬入問題
                         東京新聞 2019年12月27日
 平成から令和へと、時代の節目となった二〇一九年。県内でも、大型選挙ラッシュに、豚コレラの感染確認や台風19号被害など印象的な出来事が相次いだ。取材に奔走した各記者が、今年一年のニュースを振り返る。

◆さいたま市謝罪 9条俳句が掲載 応援団、独自の検証委
 「心よりおわび申し上げます」。一月三十一日、さいたま市の細田真由美教育長が市内の女性に謝罪したことで、「九条俳句問題」は一つの区切りを迎えた。女性は「ホッと、安心しています」と心境を説明。翌日発行された公民館だよりには「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」の句が、しっかりと掲載された
 二〇一四年六月に憲法九条を詠んだ俳句が市の公民館だよりへの掲載を拒否されてから四年半が過ぎていた。一五年六月に作者の女性が掲載などを求めて市を提訴した訴訟は一八年十二月、市の賠償を命じた判決が最高裁で確定。判決では掲載義務はないとされたが、市は直後に作者の気持ちに配慮するとして掲載する意向を示していた
 句が掲載された公民館だよりには、判決に対する市の見解も示され「今後はこのような事態が生じないよう努める」などと記された。だが、訴訟を支援してきた「『九条俳句』市民応援団」は、不掲載となった経緯の説明を市に求めるなど、今も責任を問い続ける。表現の自由を巡る論争は終わっていない印象だ。
 応援団は今年九月、改善策を市教育委員会に提案するため、独自の検証委員会を設立。応援団の武内暁(さとる)代表は、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の企画展が一時中止になった問題に触れ「表現の自由を巡る問題が全国で起きているからこそ、検証委では問題が起きた背景と行政の責任を、しっかりと明らかにしたい」としている。 (藤原哲也)

◆米軍所沢通信基地工事残土搬入問題 2メートル以下 果たされず

       (後 略)