2021年2月23日火曜日

生活保護費の引き下げ取り消しの画期的判決 大阪地裁

 201315年の生活保護費の基準額の引き下げは生存権を侵害し違憲だとして、大阪府に住む受給者ら約40人が、国と府内の自治体に1人1万円の慰謝料や引き下げ処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、大阪地裁(森鍵一裁判長)は22日、減額処分は生活保護法に違反し、違法として取り消す判決を言い渡しました。

 国に慰謝料を求めた訴えについては退けました。
 厚労省は138月から、3年間で基準額を平均65%、最大で10%に及ぶ前例のない引き下げを実施しました。29都道府県で約900人が起こした同種訴訟で判決は2件目で、初の司法判断となった206月の名古屋地裁判決は、厚労相の引き下げ判断は不合理ではないとして請求を退けており、減額を取り消す司法判断は今回が初めてで画期的なものです。

 因みに森鍵一(はじめ)裁判長は20年12月関西電力大飯原発3、4号機の耐震性を巡り、原子力規制委の基準地震動の判断は誤り 「審査すべき点を審査しておらず看過し難い過誤、欠落があ違法だとして国に設置許可の取り消しを命ずる画期的な判決を下しています
    ⇒ (20.12.6)大飯原発3・4号機 国の設置許可取り消す画期的判決 大阪地裁
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生活保護引き下げ取り消し 受給者側初の勝訴 大阪地裁判決
                             毎日新聞 2021/2/22
 2013年以降の生活保護費引き下げは生存権を保障した憲法に反するとして、大阪府内の受給者42人が自治体と国に減額取り消しや慰謝料を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は22日、自治体の減額決定を取り消した。森鍵一裁判長は「国が物価下落を理由に、生活保護基準を減額改定した判断過程や手続きに過誤や欠落がある」と述べ、違法と判断した。違憲とは判断しなかった。
 全国29地裁に起こされた訴訟で2例目の判決で、受給者側の勝訴は初めて。20年6月の名古屋地裁判決は、引き下げについて厚生労働相の「裁量の範囲内」と認め、受給者側の請求を棄却していた。
 国は物価下落などを理由に13~15年、生活保護費のうち食費や光熱水費などの日常生活に充てる「生活扶助」を平均65%、最大10%引き下げた。削減総額は約670億円に上った。各自治体も、国が改定した生活保護基準に基づき支給額を変更し、原告らは居住する大阪市など府内12市に減額決定の取り消し、国に1人1万円の慰謝料を求めていた。【伊藤遥】

大阪地裁判決 骨子
・自治体の減額決定を取り消す。
・厚生労働相による生活保護基準の減額改定は、客観的な数値や専門的知見との整合性を欠く。
・減額の判断過程や手続きに過誤・欠落があり、生活保護法に違反し、違法。


生活保護支給額引き下げの違憲訴訟 減額取り消す判決 大阪地裁
                  NHK 関西NEWS WEB 2021年2月22日
生活保護の支給額が平成25年から段階的に引き下げられたことについて、大阪の受給者が最低限度の生活を保障した憲法に違反すると訴えた裁判で、大阪地方裁判所は生活保護費の減額を取り消す判決を言い渡しました
生活保護の生活費部分の支給額について、国は物価の下落などを理由に平成25年から平成27年にかけて最大で10%引き下げました。
これについて全国各地で受給者が最低限度の生活を保障した憲法に違反すると主張して裁判を起こし、大阪でも42人が自治体が行った減額決定の取り消しを求めるとともに、国に対しても精神的苦痛を受けたとして1人1万円の慰謝料を求めていました。
この裁判の判決で大阪地方裁判所の森鍵一 裁判長は生活保護費の減額決定を取り消しました。国に慰謝料を求めた訴えについては退けました。
同様の裁判は全国30か所で起こされ、判決の言い渡しは2件目でしたが原告の主張を認めて減額を取り消す司法判断は今回が初めてです。