2021年2月25日木曜日

菅首相「女性広報官として期待」 山田真貴子氏を続投の考え

 山田真貴子・内閣広報官の名前が我々に知られるようになったのは、菅首相が10月26日NHKの「NW9」に生出演した際に、有馬嘉男キャスターが日本学術会議の任命拒否問題について「もう少しわかりやすい言葉で、説明される必要があるんじゃないですか?」と突っ込んだことに対し、翌日、山田広報官からNHKの原聖樹政治部長に対し「総理、怒っていますよ」とのクレームの電話が入ったという事件からでした(有馬氏はそのために3月で降板になるようです)。
   ⇒20.11.13)菅首相生出演の「NW9」 質問に激怒してまたNHKに圧力
 山田氏は菅首相の会見を仕切る司会者として、記者たちに「質問は1人1問」「再質問は遠慮するようになどと指示し、厳しい質問が出ると「次の日程があるので」と直ぐに会見を終了させるなどしているため、国内外メディアから「前代未聞の出来レース会見を裏で操る女性官僚」と揶揄されているということです。

 その山田真貴子氏が19年11月に菅正剛氏「東北新社」4人と会食をしたことが明らかになり、これまで正剛氏と会食した総務省幹部12人のなかで1人当たり7万4千円と最も高額であったこともあって物議を醸しています。
 山田氏は既に総務省を退職し、現在は内閣広報官に就いています。総務相時代から菅首相に気に入られていた山田氏に対しては政界入りを勧める声もあったそうです。
 会食については「先方が利害関係者という認識の下に参加したものではなかった。深く反省している」と説明しているということです。
 首相は「広報官に任命する際には違反行為は承知をしていなかった」「山田広報官は真摯に反省をし、給与を一部返納していることも事実。女性広報官として期待をしているのでそのまま専念してほしい」と述べたということです。
 東京新聞が報じました。
 併せてAERA dot.の記事「政界入り話もあった山田内閣広報官 菅首相長男について国家公務員倫理法上の利害関係者と語る」を紹介します。
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菅首相「女性広報官として期待」 7万円接待の山田真貴子氏を続投の考え
                         東京新聞 2021年2月24日
 菅義偉首相は24日、首相の長男・正剛氏が勤める放送事業会社「東北新社」による接待問題で、正剛氏側から7万4千円の接待を受けていた山田真貴子・内閣広報官について「山田広報官は、真摯に反省をしている。今後とも職務に頑張ってほしい」と述べ、続投させる考えを明らかにした。記者団の取材に答えた。
 菅首相は「山田広報官が、かつて国家公務員倫理法違反の案件があったことは、極めて遺憾。私自身、任命する際には違反行為は承知をしていなかった」とした上で、「山田広報官は真摯に反省をし、給与を返納していることも事実。女性の広報官として期待をしておりますので、そのまま専念してほしい」と述べた。
 また長男の問題について、首相が説明責任を果たしているかを問われると「私の長男が関係して、結果的には、国家公務員法違反の行為をさせてしまった。このことについては大変申し訳なく、国民の皆さんにお詫びを申し上げたい」とする一方、「私は誠心誠意説明させていただいています」と強調した。
 さらに菅首相は「東北新社がなぜ、これだけ会食をしたのか」「東北新社だけが会食を重ねることができたことについて、疑問には思わないか」と問われると「私は全く承知しておりませんでした。そうしたことについては、しっか り襟を正していくべきと思っています」「総務省でしっかり調査をされる、こういうふうに思っています」と語った。


政界入り話もあった山田内閣広報官 菅首相長男について「国家公務員倫理法上の利害関係者」と語る
                           AERA dot. 2021/02/24
                             週刊朝日オンライン限定
 菅義偉首相の長男、菅正剛氏が勤める「東北新社」から総務省幹部12人が計38回、接待を受けていた問題の炎上が止まらない。
 総務省の審議官時代に74203円の接待を受けていた山田真貴子内閣広報官も2月25日、国会で参考人招致される。山田氏は総務相時代からの菅首相の懐刀。2019年11月6日午後6時半から東京・虎ノ門で受けた接待は高級ステーキと海鮮料理で、総務省の公表では1回の接待単価では最も高額だった。本誌が入手した資料によると、山田氏は調査に対し、こう弁明したという。
「会食時は東北新社との職務上の直接の関係はなかったが、職歴上、国家公務員倫理法上の利害関係者に該当していた可能性が高いと考えています」
「会食時の会話は放送業界全体の実情などの話はあったかもしれない。またグループ会社の話題は出たかもしれないが、行政をゆがめるような働きかけはなかった」

 総務省は24日、幹部11人は接待を受けた当時、東北新社と利害関係があり、国家公務員倫理規程に違反、減給や戒告などの処分を発表した。しかし、山田氏はすでに総務省を退職しており、処分の対象にはならなかった。山田氏は1カ月分給与の10分の6を自主返納し、7万4千円とされる飲食代を東北新社側に返金するという。
 山田氏は「絶対に飲み会を断らない女」として霞が関で有名だった。NPO法人「超教育協会」が2020年6月4日に公開した動画で山田氏は大学生に向けて独自の飲み会論を語っている。
「飲み会は断らない。断る人は二度と誘われません。幸運に巡り合う、そういう機会も減っていきます。私自身、仕事ももちろんですけど、飲み会を絶対に断らない女としてやってきました。まあ、勉強、人、プロジェクト、多くの人に出会うチャンス…」
 
 飲み会を断らないことで、出世してきた山田氏は成功体験をこうも訴えている。
「幸運を引き寄せる力について。実績を上げられるプロジェクトに巡りあったり、自分にチャンスをくれる人に出会ったり、そういう幸運を皆さん願うと思います。しかし、良いプロジェクトや人に巡り合う確率というのは、人によってそう違うはずはありません。違いはどれだけ多くの人に出会い、多くのチャレンジをしているか。イベントやプロジェクトに誘われたら絶対に断らない」
 この動画は2月23日まではYouTubeで誰でも見ることができたが、24日以降は非公開となった。総務省時代の同僚が山田氏についてこう話す。
「動画の通り、山田氏は確かに飲み会を断らない。自分が誘われると、後輩官僚にも『一緒においで』と声をかけていた。酒を通じて、うまく上司や政治家に取り入る、世渡り上手の山田氏らしい内容ですね」

 山田氏の夫、吉田博史総括審議官は更迭された秋本芳徳情報流通行政局長の後任となった。
「山田氏夫婦には子供がひとりいる。山田氏が飲み会に出ている間は、吉田氏が家で子供の面倒を見ていたといた言い、『酔っぱらって嫁さんが帰ってきた。夜は主夫のようなもんだ』と苦笑していた」(前出の同僚)
 総務相時代から菅首相に気に入られていた山田氏に対し、政界入りを勧める声もあったが、内閣広報官におさまった。山田氏の国会招致にまで発展した菅首相の長男、菅正剛氏の官僚接待問題を追及している大串博志衆院議員はこう話す。
「安倍晋三前首相の時は、森友学園と加計学園問題で財務省が忖度。今回は菅首相への忖度で総務省幹部が接待漬けにされた。東北新社は実際に放送業務の認可を総務省から得ているので、山田氏だけでなく、菅正剛氏はじめ、かかわった人は全員、証人喚問すべきではないか。長男とは別人格という答弁は信じがたい」
 山田氏の疑惑が出てからわずか3日目で国会招致に応じた自民党。党内では危機感が強いという。
「実は22日の国会で菅首相が長男のことで謝罪までするか、しないか、党内でもめた。謝る必要はないという強硬派の意見もあったが、菅首相は謝罪して早く収拾する方針を打ち出した。山田氏の国会招致も同様だ。森友、加計問題のように泥沼化はさけたい。支持率が低下するなか、この問題がこじれると政権が転覆しかねない」(自民党幹部)  (今西憲之 本誌取材班)