2021年2月7日日曜日

休業支援は昨春からに 1月以降では救えないと共産・藤野議員

 5日の衆院予算委員会の基本的質疑共産党の藤野保史議員はコロナ禍で困窮する人への支援強化や医療機関への減収補填を求めるとともに、東京五輪・パラリンピックは中止し、コロナ収束に集中するべきだと主張しました。

 政府は同日、大企業の非正規労働者休業支援金の対象にするとしたものの、対象期間を1月8日以降としたことに対して、「多くのシフト制の労働者は、昨年4月の緊急事態宣言時の営業自粛要請から、収入がほぼゼロに状況に追い込まれたのでそこまでさかのぼって適用するべきだ」と要求しました.
 しかし田村厚労相は、他に「さまざまな支援がある」としてさかのぼっての給付を拒否しました。様々な支援が受けられないから困窮している実態を知らないようです。
 しんぶん赤旗が「論戦ハイライト」を含めて報じました。
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衆院予算委
休業支援 昨春からに 1月以降では救えない 藤野氏 政府方針を批判
                        しんぶん赤旗 2021年2月6日
 日本共産党の藤野保史議員は5日の衆院予算委員会の基本的質疑で、コロナ禍で困窮する人への支援強化や医療機関への減収補填(ほてん)を求めるとともに、今夏の東京五輪・パラリンピックは中止し、コロナ収束に集中するべきだと主張しました。豪雪災害での支援拡充や保育士の待遇改善、参院議員を辞職した河井案里氏の選挙買収事件に関する集中審議も求めました。(論戦ハイライト下掲
 藤野氏は、大手飲食チェーンなどでシフト制で働く非正規労働者が、休業や時短営業によるシフトカットで大幅減収となっているのに、休業支援金を受けられないと指摘。政府が同日、大企業の労働者への対象拡大を発表したものの、対象は1月8日以降だと批判しました。
 藤野氏は、当事者の「昨年の春から困窮は始まっているのに、救われない」などの落胆の声を突きつけ、「多くのシフト制の労働者は、昨年4月の緊急事態宣言時の営業自粛要請から、収入がほぼゼロになるような状況に追い込まれた。昨年4月にさかのぼって適用するべきだ」と迫りました。
 田村憲久厚生労働相は、「悲痛な声を聞いた」としながら、さかのぼっての給付を拒否。他に「さまざまな支援がある」と冷たい姿勢に終始しました。
 藤野氏は、医療体制をめぐり、大阪府保険医協会の調査によれば、コロナ対応病床として府に登録していない民間病院も、クラスター発生時に診療・検査に携わるなど「7割がコロナ患者に対応している」と強調。コロナ病床の逼迫(ひっぱく)や医療崩壊を防ぐには、軽症者・無症状者や病状が回復した患者の転院・転床先の確保へ民間病院のさらなる協力を呼びかける必要があるとも述べ、「クラスターが発生して閉院した際や、受診抑制による損失分は支援すると、政府がはっきり打ち出すべきだ」と主張しました。
 藤野氏は、今夏の東京五輪・パラリンピックについて、組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言を厳しく批判し、菅首相に「会長辞職を求めるべきだ」と迫りました。そのうえで、コロナ対応でギリギリの体制である医療現場から、1万人のスタッフを五輪対応に振り向けるのが非現実的であること、全国517もの自治体が各国選手団のホストタウンとなり、コロナ対策とワクチン接種に加え、ホストタウン対策でさらに過重な負担がかかる問題を指摘。「五輪開催ありきでなく、ゼロベースで再検討するべきだ」と求めました。


論戦ハイライト
新型コロナ 病院減収補填 非正規支援を 衆院予算委 藤野議員の質問
                         しんぶん赤旗 2021年2月6日
 日本共産党の藤野保史議員は5日の衆院予算委員会で、新型コロナウイルスで苦しむ非正規労働者への支援の拡充や医療機関の減収補填(ほてん)を求めるとともに、東京五輪・パラリンピックの中止などについて菅義偉政権をただしました。

雇用
藤野 休業支援金の対象広く
首相、答弁避ける
 大企業で働くシフト制の非正規労働者が休業支援金を受け取れない問題で、政府がこの日、大企業のシフト制非正規労働者への対象拡大を発表したものの、対象休業期間が2回目の緊急事態宣言が出された1月8日以降だと批判しました。
 藤野氏は、大企業で働くシフト制労働者から「1月8日以前からずっと苦しんできた。やっと休業支援金の対象になったと安堵(あんど)したのに1月8日からでは意味がない」と悲痛な声が寄せられたことを紹介し、4月までにさかのぼって休業支援金を手当てするよう求めました。
 藤野 昨年4月から困窮しており、この制度では救われない。この声にどう答えるのか。
 田村憲久厚労相 (昨年4月は)以前の感染拡大期の話であり、念頭においていない
 菅首相は「厚労大臣に答弁させる」と答弁を避け、議場はどよめきました。
 藤野氏は「昨年の緊急事態宣言では自粛要請によって営業そのものができず、これで一番打撃を受けている」と強調。コロナ禍でシフトが5割以上減り、休業手当が支給されない「実質的失業」が女性だけで90万人に上るとの民間調査を紹介し、男性も含めれば100万人超の労働者が救われないとして「こんな血も涙もないことをやるのか」と重ねて迫りました。
 田村厚労相は「(昨年秋からの)第3波の影響もあり、各地で時短要請を自主的にやっている。それに関しても対応すべく検討している」と述べるも、昨年4月までさかのぼって支給することには言及しませんでした。藤野氏は切実な訴えに背を向ける政府を批判。「総理が言う『国民の命と暮らしを守る責任』を果たすよう強く求めたい」と語りました。

ケア労働者 待遇改善急務
コロナ禍 一層負担増
 藤野氏は「ケア労働者」全体の待遇改善も急務だと指摘。保育士から寄せられた声を元に「もともと待遇は厳しかったが、コロナ禍で一層負担が増えている」と実情を紹介。横浜保育問題協議会の調査で、半数以上の保育園が、おもちゃの消毒に「1時間以上2時間未満」かかり、「2時間以上」も3割に達したとして、政府の認識を問いました。
 藤野 保育現場の実態を大変だと思わないか。
 厚労相 日々、現場で大変な思いをしながら子どもを守っていただき感謝する。
 藤野氏は、「不安を抱えたまま仕事をしている」などの保育士の声を紹介。「医療従事者の子どもを預かるなど、保育は今の日本を支えている」と強調し、抜本的な待遇改善を求めました。
 また、看護師や介護福祉士、福祉など「ケア労働」全体の待遇改善が必要だと強調し、「野党は、ケアワーカーに給付金を出す法案を共同で提案している。与野党超えて実現すべきだ」と主張しました。

病院
藤野 医療連携へ財政支援を
首相 さらなる対応を検討
 新型コロナ患者用の病床確保はなぜ進まないのか―。藤野氏は、大阪保険医協会の調査では、多くの民間病院に▽施設の構造上、動線が分けられない▽医師・看護師などが足りない―などの理由があると示すとともに、それでも多くの病院が診療や検査などでコロナ対応に関わっていると述べました。
 調査に寄せられた「民間病院で病床確保が進んでいないという指摘はまったく見当違い。それぞれ病院の役割がある」という声を紹介したうえで、役割分担の問題では、症状回復後の転院・転床先の確保が大きな課題になっていると指摘。国の財政支援は、感染患者の診察でかかった直接経費を補填する形にしており、クラスター発生に伴う閉院時の損失や風評被害に伴う患者減少の損失は対象外だという実態を示し、「赤字に転落すれば倒産する。協力したくてもできない」という切実な声を突きつけました。
 藤野 転院・転床を進めるには医療連携が不可欠だ。現場のちゅうちょを乗り越えるには、損失分はきちんと支援すると政府が打ち出すことが必要だ。
 菅首相 仮にそうしたこと(=減収)があれば、さらなる対応を検討する。財政面でちゅうちょすることがなく専念できるように政府が対応する。
 藤野 「さらなる検討」を求めたい。それは減収補填しかないというのが圧倒的な声だ。頑張っている医療現場を支えるためにも、転院・転床、医療連携を進めるためにも、総理が「かつてない大事業」と言ったワクチン接種事業のためにも、これがカギになる。
 さらに藤野氏は、医療提供体制が逼迫(ひっぱく)する中で政府が病床削減を迫っている問題を指摘しました。
 厚労省は昨年11月26日に各都道府県知事に「地域医療構想を推進するための病床削減支援給付金の実施について」との通知を出しています。藤野氏は、通知の前日には、政府分科会が「医療が逼迫している」との提言を出し、政府は「勝負の3週間」と国民に呼びかけていると指摘。「なぜそんな時に“病床削減せよ”という通知を出すのか」とただしました。
 藤野 厚労省は医療提供体制に責任を持たないといけない。逆行しているじゃないか。
 厚労相 人口構成が変わってくるためベッドがいっぱいあると逆に採算が合わないという状況もある。合理的に削減している。
 藤野 この期に及んで病床削減の方針を変えようとしていない今でも大変な医療体制をさらに削ってコロナ対応ができるはずがない
 藤野氏は「医療に効率至上主義を持ち込んで、医師や看護師を増やしてこなかった医療政策の問題点がこの計画に象徴されている」と批判し、撤回を求めました。

豪雪
被害への補助を速やかに
 藤野氏は記録的な豪雪問題で、災害救助法が雪害で初めて適用されたことにふれた上で、すでに多くの自治体で今年の予算を使い切っていると指摘。幹線道路や生活道路を除雪できるように、国の交付金の追加配分や、除雪費補助の臨時特例措置の速やかな実施を求めました。
 農業用ハウスの倒壊被害では「再建に1棟250万円かかる」という農家の声を紹介。消費税増税やコロナ禍による米価・野菜価格の暴落での打撃のうえに今回の雪害だとして、制度の枠にとらわれず必要な支援をスピーディーに実施するよう求めました。

五輪
藤野 開催 ゼロから再検討を
首相 実現へ感染対策
 藤野氏は、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言を厳しく批判。森氏の会長就任にいたる決定に、当時の安倍政権がかかわった政府の責任があるとして辞職を求めるよう迫りました。菅首相は「あってはならない発言だと発信した」としか答えませんでした。
 大会開催について藤野氏は、菅首相が「ワクチンを前提としない」と答弁したことに言及し、「ワクチンを前提としないということは、防疫措置で膨大な人員を投入して抑え込むしかない」と指摘。橋本聖子五輪担当相が大会期間中、1万人の医師、看護師が必要とした答弁についてただしました。
 藤野 コロナ対応、ワクチン対応の現場から1万人もの医療従事者を引き離して五輪に振り向けるなど、現実的ではない
 担当相 医療機関、競技団体等の意見を聞いて、組織委員会で医療スタッフの確保について調整を行っていると聞いている。
 藤野氏は「(1万人も)どこにそんな人員がいるのか」(石川県の病院)との声を紹介。選手団の受け入れを担う自治体(ホストタウン)の過重な負担や、検査の困難さを指摘する専門家の意見、変異ウイルスの世界での拡大などを挙げた上で、五輪開催を中止し、コロナ収束に集中すべきだとする日本共産党の立場を語りました。
 藤野 五輪開催ありきではなく、ゼロベースで是非を再検討し、関係機関と協議を開始すべきだ。
 首相 安心安全な大会の実現へ感染対策の具体的内容を検討していきたい。
 藤野氏は「コロナが五輪発で世界に広がる最悪の展開になった場合、健康被害ははかり知れず、人類の健康、平和の増進のために行われる五輪の意義を根底から傷つけることになる」と述べました。

政治とカネ
藤野 「河井」集中審議求める
首相 監査を行う
 藤野氏は、選挙買収事件で有罪判決を受けた河井案里氏が参院議員を辞職したことについて、「民主主義を揺るがす重大問題だ」と述べ、「河井氏だけでは起こりえず、自民党本部の尋常でない肩入れがあったから起きた」と強調。当時の安倍晋三首相と菅義偉官房長官が応援に入り、河井陣営に渡った1億5千万円のうち1億2千万円は政党助成金だと指摘しました。
 藤野 党本部や政権中枢がどうかかわったか、国民の税金が買収資金になった可能性はないか。
 首相 資金の使途の詳細は関係書類が返還され次第、監査を行う。
 藤野氏は「これまでの答弁と同じ。これでは国民の疑念は晴れない」と批判し、集中審議を求めました。