米ファイザー社製のワクチンは、1瓶当たり6回分の1.8ml+αの量(1回分は0.3ml)が入っていますが、通常の注射器にはシリンジと針の接合部に約0.05mlのデッドスペースがあるため5回分しか利用できません。このことは12月中旬に公表されたのですが、日本は何の対応もしませんでした。
政府がデッドスペースのない注射器の製造を意図したのは1月末になってからで、その時点で月間 数百万本を製造する生産体制を作るには4~5ヵ月かかることが分かりました。
それに対して韓国は12月24日に特殊注射器の増産体制に入り、生産能力は月400万台から月1000万台にまで上げました。政府の支援で国外への輸出体制まで構築しています。
ここにきて日本もやっとワクチンの接種ができるようになりましたが、新型注射器の量産が出来るまで漫然と1瓶あたり1回分を無駄にするわけにはいかないので、政府は韓国製の特殊注射器を購入することにしました。これまで韓国を毛嫌いしてきた安倍・菅政権ですが、背に腹は代えられないという訳です。
面目を失したのは菅政権だけでなくネトウヨたちです。猛烈な批判の嵐が起きました。
曰く
〈韓国から買うぐらいなら俺は待つ〉
〈韓国の注射器はいやだ。〉
〈韓国に頼るなんて日本の大恥〉
という具合です。
ワクチンを打つか打たないかは本人の自由なのでどう考えようと勝手なのですが、こんな風に口にするとは何とも子供じみています。
LITERAが取り上げました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ワクチンでも後手の菅政権が「接種用特殊注射器8000万本を韓国に購入要請」のニュースに“命より嫌韓が大事”なネトウヨが激怒
LITERA 2021.02.19
案の定の展開と言っていいだろう。昨日18日、日本政府が新型コロナワクチン接種用の特殊な注射器約8千万本を韓国に購入要請していると、共同通信が報じたのだ。
このワクチン接種用注射器をめぐっては、先日、本サイトでも菅政権がまたぞろ後手対応の失態を演じていることをお伝えしたばかり。日本政府は12月末に、ファイザー社から6回分を採取するために特殊な注射器が必要なことを知らされていたにもかかわらず、なにも対策を打たずに放置。1月25日になってあわてて特殊注射器の量産をメーカーに依頼したが、量産体制はいまだ構築されておらず、生産数を数百万本規模に増やすためにはまだ4カ月以上かかる見通しなのだ。
一方、同じ記事で紹介したが、対照的だったのが韓国。韓国は特殊な注射器が必要との情報を掴むやすぐ、12月24日に特殊注射器の増産体制に入り、生産能力は月400万台から月1000万台にまで上げたという。政府の支援で国外への輸出体制まで構築していた。
そういう意味では、日本が韓国に頼らざるをえなくなることは予測されていた事態なのだが、これに激怒しているのが、嫌韓が命のネトウヨたちだ。ヤフーニュースに日本政府が特殊な注射器を韓国に購入要請というニュースが転載されるや、記事のコメント欄やまとめサイト、ツイッターなどネットには、共同通信の記事をフェイクニュースと決めつける投稿、さらにこんなヘイト投稿があふれた。
〈自分への接種がまわってこなくても良いので韓国からは購入しないでください。〉
〈韓国から買わなくて良い。韓国から買うぐらいなら俺は待つ。韓国なんぞ頼りたくない。〉
〈接種する時にワクチンメーカーと注射器メーカーを聞いてから接種するかどうかを決めた方がいいと思います〉
〈今の時期に何故韓国に注射器の購入要請をするのか、政府の頭は正常か?韓国に要請しなくても他の国で対応出来るはずである。〉
〈韓国の注射器はいやだ。〉
〈やめとけ何仕込まれるかわかったもんじゃない〉
〈ただでさえワクチン打ちたくないのに、これなら絶対打たんわ〉
〈韓国に頼るなんて日本の大恥〉
どうやらこの人たちは、命より嫌韓のほうが大事らしい。というか、普通なら、韓国に購入要請をしたことやそれを報じた共同通信に対して怒る前に、特殊注射器の必要性を知っていながら後手対応に終わった菅政権に対して、批判の声を上げるべきだろう。
ネトウヨの皆さんに問題の本質を理解してもらうためにも、この注射器をめぐる菅政権の失態をレポートした先日の記事を改めて再録するので、ぜひ読んでいただきたい。(編集部)
(原文には下記の記事が再掲されていますが、ここでは紙面を節約するため下記からアクセスしてください)
⇒(2月18日)ファイザー製ワクチン対応の注射器用意せず 1瓶6回分が5回分に