2021年2月13日土曜日

13- 山口香JOC理事が森氏後継最適任者(植草一秀氏)

 女性蔑視と取れる森喜朗・東京五輪・パラ組織委員会長の発言などがあり、大会ボランティアの辞退者はおよそ740人に増えたということです。

 森氏の依頼を受け川淵三郎氏が会長に就任するという話は白紙に戻り、会長の後任候補を選定するため、現在の理事のメンバーで構成する「候補者検討委員会」を設置し人選に入ります。
 検討委員会のメンバーは男性と女性をほぼ同じ人数にしたうえで、アスリートを中心に現在の理事のメンバーで構成するということです。
 後任の会長候補については、理事の中から女性や世代交代を求める意見が出ていて、組織委員会は「できるだけ早く選考を進めたい」としています(以上NHK)

 植草一秀氏は11日、山口香JOC理事が森氏後継最適任者とする記事を出しましたが、同記事は有料記事のため「後半」が非公開でした。
 植草氏は12日に「後半」部を公開しましたので、二つの記事を紹介します。
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森氏コロナがどうなろうとやる撤回最重要
     ー 山口香JOC理事が森氏後継最適任者
                植草一秀の「知られざる真実」 2021年2月11日
問われているのは森喜朗氏の個人的な考え方でない。
森氏が女性蔑視、女性差別の発言を示したとき、JOC評議委員会に出席していたメンバーは笑っていた。誰も森氏の発言に異を唱えなかった。
翌日、森氏が逆ギレ会見を行ったあとも森氏に厳しく対峙する者は皆無に近かった。
萩生田文科相に至っては
「『反省していないのではないか』という識者の意見もあるが、森氏の性格というか、今までの振る舞いで、最も反省しているときに逆にあのような態度を取るのではないか」
とまで言ってのけた。茶坊主でももう少しまともな取り繕い方をする。
自浄能力をまったく持ち合わせていない。

森氏の会長辞任後、森氏に名誉職ポストが用意されるのかどうかも注目される。
名誉職ポストが用意されるなら引責辞任の意味は消滅する。批判が沸騰して、その場を取り繕うだけのものになる。
森氏は根拠のない偏見に基づいて女性を侮辱し、差別する発言を示した。それだけではない。
「私たちはコロナがどういう形であろうと必ずやる」と発言したが、その理由として「日本のアスリートのためだ」と述べた。
なぜ「全世界のアスリートのため」ではなく「日本のアスリートのため」なのか。
五輪にナショナリズムを持ち込んでいる。
JOC理事のなかで唯一、冷静な正論を提示しているのが山口香氏だ。
山口氏は次のように指摘する。
問題は日本国民であり、五輪を開催することでリスクを負うのは私たち日本国民だということです。」
この認識を踏まえて現状を「厳しい状況にはあると言わざるを得ません。」と述べた。
https://bit.ly/3733QBK
山口氏は五輪を開催することは可能だと判断する。
「多くの国が選手を派遣してくれると思います。つまり、選手を送り出す国にためらいはない」と判断する。
問題は、五輪開催でリスクを負うのは日本の国民であること。
選手だけで1万人以上が入国することになる。コロナ感染が拡大し、相次いで変異株が出現しているなかで、全世界から多数の人が日本を訪れる。そのことによって変異株が日本に持ち込まれるリスクはきわめて高い。
毒性の高い変異株が出現するリスクがある。感染力の高い変異株が出現するリスクがある。
ワクチンが有効でない変異株が出現するリスクがある。
現在、日本では1日当たり100人以上がコロナ死している。
年率換算で3万6000人を超える。
自殺者が最大に増加した2003年でも自殺者数は年間3万5000人に届かなかった。
コロナ感染が判明しても放置され、そのまま放置民死に至る事例が多数発生している。
政府の第一の責務は国民の命と暮らしを守ること。
この基本を踏まえて、いま五輪開催を強行することが正しいのかどうかが問われる。
五輪は巨大な営利事業と化している。この営利性=利権が五輪開催強行論の背景。
森氏が辞任しても営利優先=利権優先の五輪開催強行論が引き継がれるなら組織の問題は解消しない。
責任を持つべきは政府。政府が国民の命と暮らしを最優先に考えて五輪開催の是非を判断する必要がある。
森氏引責辞任を五輪開催強行の原動力に仕立て上げる愚を断じて許容してはならない。


山口香JOC理事が森氏後継最適任者
                植草一秀の『知られざる真実』 2021年2月12日
2月11日付メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」https://foomii.com/00050 「山口香JOC理事が森氏後継最適任者」の後半部分をブログ記事として公開する。

森氏が辞任しても営利優先=利権優先の五輪開催強行論が引き継がれるなら組織の問題は解消しない。
責任を持つべきは政府。政府が国民の命と暮らしを最優先に考えて五輪開催の是非を判断する必要がある。
森氏引責辞任を五輪開催強行の原動力に仕立て上げる愚を断じて許容してはならない。

後任五輪組織委会長の第一の仕事はこの点の明確化。
森氏が発した「コロナがどういう形であろうと必ずやる」の言葉を否定することが最優先責務だ。
体操選手の内村航平氏が昨年11月の体操国際大会閉会式で「『できない』ではなく、『どうやったらできるか』を皆さんで考えて、どうにかできるように、そういう方向に変えてほしい」と述べた。
この言葉が組織委員会で利用されてきた。内村氏発言の心情はよく理解できる。切実な心情であると思う。しかし、世の中は五輪を中心に回っているわけではない。

オリンピズムの根本原則にこう記されている。
オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである。

五輪のために世の中が存在するのではなく、世の中のためにスポーツを役立てることがオリンピズムの根本原則だ。
日本は国民主権の国である。その主権者である国民の代表者が集う国会が国権の最高機関とされている。
主権者である国民が現下の情勢を踏まえて、2021年五輪開催は見送るべきだと判断している。主権者である国民は、現下の最優先課題がコロナ感染収束だと判断している
多くの主権者は五輪そのものを否定していない。スポーツの価値も否定していない。
しかし、現下の情勢を踏まえて、最優先課題は五輪開催強行でなく、コロナ感染収束だと判断している。
五輪組織委が日本主権者の判断を無視して、ひたすら開催強行に突き進むなら、その姿勢はオリンピズムの根本原則を踏みにじるもの。
オリンピズムの目的は「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てること」
「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進」のために、五輪開催を「できない」と判断することはあり得る。
この点を無視して、ただひたすら「どうやればできるか」だけを追求するのはアスリートや関係者のエゴと言わざるを得ない。
JOC理事の山口香氏はこの点を踏まえている。山口氏は
「国民は疲弊し、医療現場はひっ迫…去年よりも状況が悪くなっているという実感です。
世論調査によると、国民の約8割が『五輪を開催すべきではない』と考えています。
このことは重要視すべきです。」と指摘する。https://bit.ly/3733QBK 
さらに、
「IOCのバッハ会長は『選手の安心・安全は担保します』と言っていますから、アスリートたちにはリスクが少ないかもしれない。でも、五輪後の日本は、どうなるのでしょうか。
変異種を含めたウイルスが一気に持ち込まれて、冬に向かって感染が再拡大する可能性も十分に考えられます
そうした事態をみんなが恐れていて、そのことが世論調査『反対8割』として表れているんだと思います。現時点で『開催国・日本の立場に寄り添う』という発想がIOCは希薄です。
だから日本も、そのことをしっかりと訴えていく必要があります。」
卓越した見識の持ち主である。
森喜朗氏の後任会長にもっともふさわしいのは山口香氏であると思う。