2021年2月20日土曜日

「君が代」不起立 最高裁が「停職処分6月取り消し」の高裁判決を維持

 都立特別支援学校の教員だった根津公子さんと河原井純子さん09年3月の卒業式で「君が代」斉唱時に起立しなかったため、都教委停職6カ月の懲戒処分にしました。

 二人が起こした処分取り消し請求に対する18年5月の1審の判決は、根津さんについては過去に複数回懲戒処分を受けていたので「相当」だとし、河原井さんについては処分を取り消しました。
 損害賠償根津さんの処分取り消しを求めた控訴審東京高裁は20年3月、根津さんの処分取り消しました
 それを不満とした都側が上告した最高裁判決が2月17日にあり、第2小法廷は裁判官全員一致「本件を上告審として受理しない」と決定しました。これにより高裁判決が維持されました。
 根津さんは停職期間中 毎朝「校門出勤」して生徒たちに挨拶し教え子たちとの交流を続けました。
 レイバーネット日本に根津さんの裁判勝利の緊急報告が載りました。
 文中に「大阪の職員基本条例  が完全に破綻した」とありますが、大阪府では橋下徹元知事が主導し、府職員に君が代の起立斉唱を義務付ける国旗国歌条例が11年に成立し、12年には同一の職務命令に3回違反すると免職になるという職員基本条例が制定されました。
 そうした超反動的な法律が否定された点も大きな成果でした。
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根津公子「君が代」不起立 : 最高裁が「停職処分6月取り消し」の高裁判決を維持
                                                レイバーネット日本 2021-02-19
根津公子です。
09年「君が代」不起立停職6月処分取り消し訴訟の控訴審勝訴判決が維持されました!
今日(2/18)、09年停職6月処分取り消し訴訟の件で、最高裁から書面が届きました(2月17日付)。
都が「処分の裁量権は都にあるから処分は適法」と受理申し立てをしたことに対して、最高裁第2小法廷は、「本件を上告審として受理しない」と決定したというものです。「最高裁第2小法廷の裁判官全員一致の意見で決定した」と明記しています。
09年処分取り消し訴訟は地裁では処分適法でした(2018年5月24日判決春名茂裁判長)が、昨年3月25日の控訴審判決(小川秀樹裁判長)は、次に示すア~ウを根拠に、処分を取り消してくれました。
 ア.停職6月処分の次の処分量定は免職のみであり、被処分者への心理的圧迫の程度が
   強い。
 イ.過去に懲戒処分や訓告処分の対象になった、根津のいくつかの行為は、平成18年
   3月の懲戒処分において考慮されている(から、同一の件で処分を加重してはなら
   ない)。
 ウ.根津不起立は河原井不起立と同じに消極的不起立行為。

最高裁に当方及び都の書面が届いたと最高裁から報告があったのが昨年10月1日でした。当方は控訴審で処分は取り消されているので、最高裁に上告及び上告受理申し立てができるのは、控訴審で敗訴とされた損害賠償請求ですから、それを求めました。都は、根津の処分適法を求めたわけです。
控訴審勝訴判決が出されたとき、私はうれしかったですが、それが最高裁で維持されるとは全く思っていませんでした。ますます政権に忖度した最高裁判決が出されていたからです。最高裁で覆されても、根津控訴審勝訴判決が出されたのは紛れもない事実。その事実を消すことはできない。裁判体の人物によって処分を適法とも違法ともすることができる「日の丸・君が代」処分の事実、でたらめさの事実。これを後世に残していこうと思っていました、つい、数時間前まで。
私の「君が代」不起立については、同じ行為であるにもかかわらず、07年停職6月処分が取り消された以外は、「減給を超える処分は違法」が適用されてきませんでした。しかし今回、09年事件も処分取り消しになったことで、大阪の職員基本条例(職務命令に違反する行為の内容が同じ場合にあっては、3回…で免職)が完全に破綻したことが、とっても嬉しいです。
本件は最高裁第2小法廷に係属されました。第1小法廷には安倍元首相が選んだ木澤克之裁判官、山口厚裁判官がいます。第1小法廷に係属されていたら、「裁判官全員一致の意見で決定」とはならなかった、処分適法とされたかもと思います。ラッキーでした。いやいや、私たちはもっともっと、「日の丸・君が代」を職務命令違反で処分する、公教育の非教育・反教育について議論を起こしていかねばならないですが、ひとまず、ご報告まで。