2021年2月5日金曜日

広島県議会 集中検査予算成立 全国初

 広島県議会は4日の臨時議会で、無症状の人に28万件のPCR検査を実施することを盛り込んだ20年度補正予算案を成立させました。これは全国初の取り組みで、検査費用103800万円は全額国の地方創生臨時交付金で賄うということです。
 広島県は、これにより23003900人の陽性者が出ると試算し、無症状の陽性者は、県が確保したホテルでの療養を想定しています。
 県は、感染の連鎖を断ち、社会的な損失を最小限にとどめるためには大規模集中検査が必要だとしています。

 これについて赤旗編集局政治部長の中祖寅一氏は署名記事を出し、「政府が19府県で緊急事態宣言の1ヶ月延長を決めたものの、これまでの対策の延長線上で危機的状況を本当に収束に導けるのか重大な疑念があるとして、メディアや一部「専門家」などから、感染者が減っているときに大規模検査をやるのは無駄という「批判」が出されていることについても、「感染者が減少した今こそ、無症状者を徹底的に拾いあげウイルスを封じ込めていくことが必要」と述べています。
 またワクチンが決定打になるという見方についても、ワクチンの有効性と安全性確認した、広く接種し社会的規模で効果が出るには年単位の時間が必要あるとして、検査拡充による抑え込みは引きき最重要の課題としています。
 しんぶん赤旗の二つの記事を紹介します。
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           6日の記事の更新は午後になります。
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広島県議会 集中検査予算成立 全国初 市内4区28万人対象に
                        しんぶん赤旗 2021年2月5日
 広島県議会(64人)は4日の臨時議会で、新型コロナウイルス感染防止のために無症状の人に28万件のPCR検査を実施することを盛り込んだ2020年度補正予算案を賛成多数で可決、成立しました。日本共産党などが賛成し、自民党系の一部会派が反対しました。同事業は全国初の取り組みで、10億3800万円の検査費用は全額国の地方創生臨時交付金で賄います
 広島県によると県内で特に感染者が多かった広島市内4区(中、東、南、西区)の住民と働く人を対象に、希望者に無料で唾液のPCR検査をします。住民は各区内5カ所程度の施設を訪れて受検し、働く人は区内の事業所に検査キットを配布します。期間は2月中旬~3月中旬までとし、2300~3900人の陽性者が出ると試算。無症状の陽性者は、県が確保したホテルでの療養を想定しています。事業終了後には専門家と効果を検証し結果を公表します。
 同県ではこれまで、医療・介護施設職員への定期検査や県内5カ所のPCRセンターで無症状感染者を発見してきましたが、昨年12月の県内の感染拡大を防げませんでした。県は議会での説明で、感染の連鎖を断ち、社会的な損失を最小限にとどめるためには大規模集中検査が必要だとしています。
 同事業の実現を求めてきた日本共産党の辻恒雄県議は、「新規感染者が減っている今こそ感染の根を断つことが大事だ」と語りました。


緊急事態宣言の延長 検査戦略の確立今こそ 無症状感染者の早期発見を
                        しんぶん赤旗 2021年2月4日
 栃を除く19府県で緊急事態宣言の延長を決めた2日、菅義偉首相は記者会見で「これまでの対策を徹底して続けていただき、感染の減少を確実としていく」とし、宣言解除の目安として「東京でれぱまず(新規感染者)500人以下、ベッド(占有率)が50以下、そうしたステージ3に行くことを考えている」と述べました。しかし、「これまでの対策」の延長線上で危機的状況を本当に収束に導けるのか-重大な疑念があります。(中祖寅一)
 端的に言って、新型コロナの最もやっかいな特徴である無症状感染者からの感染をどう抑えるかー無症状感染者の早期発見、保護の検査戦略が見えません。
 緊急事態宣言と飲食店への時短要請などで人と人との接触を制限した結果、新規感染をある程度抑えても、市中の無症状感染者は放置されたままです。

3度目の宣言も
 これでは500人、300人と新規感染者が減少しても、宣言が解除され人の接触が再開されれば、再び感染が急拡大し「3度目の緊急事態宣言』に至ると言って過言ではありません。そうなれば社会の経済的、精神的ダメージははかり知れません。
 新規の感染者数が一定減少しているいまこそ、市中の無症状感染者を徹底して拾い上げ保護する検査戦略の確立、実行が急務です。
 特に、当面する医療崩壊状況のもとで、医療・高齢者施設への社会的検査を徹底することは最優先課題です。
 厚生労働省が集約した全国のクラスター発生状況でも、1月後半にかけて飲食関係は減少に転じているものの、医療・福祉施設のクラスターは増加しています。1月前半に医療機関88、福祉施設178だったのに対し、1月後半には医療105、福祉248となっています。医療機関、高齢者施設でのクラスターは、医療崩壊と命の危険に直結する問題です。自治体が取り組む検査の全額国庫負担化も含め、対策は待ったなしです
 また感染集積地への大規模集中検査も、その戦略構築と体制整備が急がれます。
 注目されるのは、広島県が、県内で感染者が特に多かった広島市内の4区の住民と在勤者を対象に無症状者向けPCR検査を28万伴計画していることです。県は、徹底的に感染の連鎖を断ち切り、確実に感染拡大を抑え込むとしています

封じ込めが必要
 この動きに対しメディアや一部「専門家」などから、感染者が減っているときに大規模検査をやるのは無駄という「批判」も出されています。しかし、感染者が減少した今こそ、無症状者を徹底的に拾いあげウイルスを封じ込めていくことが必要です。
 専門家からは、予備的調査を行うなどして感染密度の高い場所を見定め集中検査を実施するなど、効果的にするための工夫も提案されています。
 検査拡充に伴い、感染者を保護する宿泊療養施設の確保、生活・所得の補償、健康観察の仕組みを充実させることも必要です。

 ワクチンヘの期待も高まっています。ワクチンで集団免疫を獲得していくとは重要な課題です。ただ有効性と安全性の確認の上、広く接種し社会的規模で効果が出るには年単位の時間が必要です。マスク、手洗い、社会的距離の確保に加え、検査拡充による抑え込みは引きき最重要の課題です。