2016年12月2日金曜日

02- カジノ解禁推進法案 トランプにゴマすりは言語道断

 臨時国会が1214日まで延長されるなかで、政府は30、突然カジノ法案=カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法案」衆院内閣委員会に出しました。
 通常、委員会への付託は与野党合意が原則なのに、民進と共産の反対を振り切っての“強行付託”でした。そのうえスピード審議して今国会で成立させることを狙っていると言われます。
 
 IRと言いカジノと呼んでも要するに刑法違反の賭博用施設のことです。カジノ法案はこれまでも出されましたが廃案になるなどして成立しませんでした。政府は提案の理由に「観光振興」・「観光立国」を盛んに強調しますが、アメリカをはじめ韓国、マカオ、イタリア、フィリピン、エジプトなど世界にカジノは沢山あるものの決して良いことづくめではありません。そんな法律をなぜそそくさと特急で通そうとするのでしょうか。
 
 共産党の穀田恵二国対委員長は30日、国会内で記者会見し、カジノ法案の審議入りが強引に決められたことについて「言語道断というべき暴挙だ」と批判し、ギャンブルを拡大する同法案「国民の圧倒的多数が反対する悪法であり、徹底審議の上廃案を求めて奮闘すると表明しました。
 日刊ゲンダイは、「トランプ氏の大スポンサーが、世界一のカジノ王である米ラスベガス・サンズのアデルソン会長でトランプ氏の政治資金団体に約27億円を寄付してい。そのアデルソン会長が日本進出を熱望しているので、日本でカジノがやれるようになれば、トランプ氏にとって大きなメリットになる」・・・そうした関係を見越してのトランプ氏へのゴマすりだとしています。そんなことで有害なカジノを日本に開くのであればまさに言語道断です。
 LITERAは、日本は実は有数のギャンブル依存大国であり、「病的ギャンブラー」と判断される人全国に536万人もいることから、もしもカジノが開かれればそれの及ぼす悪影響は計り知れないとする記事を掲げました。この記事は長文のため一部を省略して紹介していますので、記事の原文には記載のURLでアクセスしてください。
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カジノ解禁推進法案 国民多数が反対の悪法
穀田国対委員長会見 廃案を求める
しんぶん赤旗 2016年12月1日
 日本共産党の穀田恵二国対委員長は30日、国会内で記者会見し、衆院内閣委員会でカジノ解禁推進法案の審議入りが強引に決められたことについて「言語道断というべき暴挙だ」と批判し、地域振興を名目にギャンブルを拡大する同法案について、「国民の圧倒的多数が反対する悪法であり、徹底審議の上、廃案を求めて奮闘する」と表明しました。
 
 穀田氏は、同法案の三つの重大な問題点を指摘しました。
 第1に、「読売」が大阪府民を対象に行った世論調査(16日付)でカジノ誘致に52%が反対(賛成33%)するなど、国民の多数がカジノ解禁に反対していることを挙げました。
 第2に、同法案を推進する議員連盟の報告書でさえ、賭博依存症や暴力団との関係、地域風俗環境の悪化に触れているとして、「刑法で禁じられたカジノを合法化しようというものであり、多数の懸念があるのは明らかだ」と指摘しました。
 第3に重大な問題は、同法案が、議員立法にとどまらず、政府に重大な責任がある点です。穀田氏は、政府が「『国家再興戦略』改定2014」でカジノを成長戦略の一つとして位置づけ、官房長官を責任者に検討体制を設けて推進していると指摘。「国民の反対・懸念の声を聞き、政府の責任を徹底的に審議することが必要だ。わずか数時間の質疑での採決など到底許されない」と強調しました。
 
 その上で、今後の質疑で「法案に関連する官房長官、国交相、法相、厚労相、国家公安委員長を呼び、ただす必要がある」と指摘。「日本共産党は、法案に反対し廃案を求める日弁連などの多くの団体と共同し、徹底審議と廃案を求めて奮闘する」と表明しました。
 
 
法案審議入り 安倍政権“カジノ解禁”でトランプにゴマすり
日刊ゲンダイ 2016年12月1日
 臨時国会が12月14日まで延長されるのに伴い、「カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法案(カジノ法案)」が30日の衆院内閣委員会で審議入りした。
 
 通常、委員会への付託は与野党合意が原則なのに、民進と共産の反対を振り切っての“強行付託”である。採決だけでは飽き足りず審議入りまで強行とは、政府与党も「そこまでやるか」なのだが、スピード審議して今国会での成立まで視野に入れているというからびっくりだ。
 
「カジノ法案の早期成立は、トランプ大統領就任後の良好な日米関係に“有効”なのですよ」(カジノ議連事情通)
 一体、どういうことなのか。
「米大統領選挙でトランプ氏の大スポンサーだったのが、世界一のカジノ王である米ラスベガス・サンズのアデルソン会長です。トランプ氏の政治資金団体に約27億円を寄付しています。そのアデルソン会長が日本進出を熱望している。日本でカジノがやれるようになれば、アデルソン会長が喜び、トランプ氏にとって大きなメリットになる。トランプ氏も、もともとカジノを経営していたビジネスマンですからね。カジノ第1号は大阪が有力です。大阪府の松井知事が前のめりで、自民党の二階幹事長も、2025年万博とカジノをセットでやるつもりです」(前出の事情通)
 確かにアデルソン会長は、「日本でカジノ解禁となれば1兆円規模を投資する」と何度もメディアのインタビューに答えていて、鼻息が荒い。そして、トランプの大統領選勝利後は、50億ドルもの巨額の経費がかかるとされる「大統領就任式典」の運営委員にも名を連ねている。つまりトランプが足を向けて寝られない存在だ。ちなみにこの運営委員には、他に2人のカジノ経営者も加わっている。
 
 安倍首相はトランプと真っ先に会談したのに、TPP離脱表明でハシゴを外され、赤っ恥をかかされた。しかし、早期にカジノ法案が成立すれば、トランプに恩を売ることができ、挽回できるというわけだ。
「多額の献金を受けた借りがあるとすれば、カジノ業界に精通しているトランプ氏ですから、アデルソン氏に対し、何らかの橋渡しをする可能性は十分あるでしょう。ただ、カジノに素人の日本は、いいカモにされるのがオチでしょうが……」(米国事情に詳しいジャーナリストの堀田佳男氏)
 対米追従の安倍政権、カジノ献上で売国まっしぐらだ。 
 
 
自民党が今度はカジノ法案を強行採決の動き! 
他国よりひどい日本人のギャンブル依存症がさらにエスカレート
 LITERA 2016.12.01.
 昨日、統合型リゾート(IR)整備推進法案(カジノ法案)が衆院内閣委員会で審議入りした。民進、共産は反対の姿勢を見せているが、自民党は経済効果を強調。今月中にはまたもや強行採決に踏み切るのではないかと見られている。
 
 周知の通り、この「カジノ法案」はこれまで何度も出てきては成立が見送られてきた。というのも、このカジノ法案は危険な問題が山ほどあるからだ。
 その筆頭がギャンブル依存症の問題である。実は日本はギャンブル依存大国であり、「病的ギャンブラー」と判断される人は全国に536万人もいる。その数はアルコール依存症の5倍にあたるという。
 ギャンブル依存は単なる「怠惰な生活による自業自得の産物」として切って捨てていいものではなく、ドーパミンの過活動など脳内神経回路の不調による立派な病気であり、専門医による治療を必要とするものである。しかし、日本にはアルコール依存症と比べても治療機関や専門医の数が圧倒的に少なく、カジノ新設によりギャンブル依存の患者が激増した場合、対応できなくなる可能性がある。
 
 また、与党はこの法案の成立目的として「観光立国を図る」と説明しているが、カジノが地域経済に良い効果をもたらすとは限らない。たとえば、アメリカのアトランティックシティはカジノをつくったものの観光客は大して増えなかった。そのうえ、人々は食事などをカジノ内で済ますようになってしまったため地域のコミュニティは崩壊。ゴーストタウン化してしまい犯罪率も急増。「最も住みにくい街」「最悪のリゾート地」の汚名を着せられることになった例もある。
 
 ところが、自民党はこうした問題をほとんどまともに議論しようとせず、強行採決をやろうとしているのだ。
 当サイトでは以前、カジノ法案とギャンブル依存症についての記事を配信したことがある。再編集のうえここに再録するので、このまま拙速にカジノ法案を進めることの危険性を再認識していただければ幸いだ。 (編集部)
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 (中 略しかし、本当にこのまま我が国にカジノをつくってしまって大丈夫なのだろうか? 十分な議論も進んでいない状況下でIR整備推進法案が成立しようとしているが、実はこの国における「ギャンブル依存症」に関する問題は他の国に比べて暗澹たるものなのだ。
 14年8月に厚生労働省研究班が出した調査結果によれば、現在「病的ギャンブラー」と判断される人は全国に536万人いると推計されている。これは成人全体に換算すると、国民の4.8%となる。およそ20人に1人がギャンブル依存症なのが我が国の現状なのである。同時に行われた調査では、アルコール依存症の患者は109万人との数字が出ており、このことと照らし合わせて見ても、ギャンブル依存症対策がいかに逼迫した課題であるかがよく分かるだろう。
 
 ちなみに、ギャンブル依存患者の数字は、アメリカでの調査では1.6%、フランスでは1.24%、韓国では0.8%となっており、4.8%を叩き出した日本のギャンブル依存症罹患率は飛び抜けて高いと言わざるを得ない。アメリカ、フランス、韓国、どの地域にもカジノがあるのにも関わらずこの数値である。もしも我が国にカジノが出来たらどうなってしまうか、火を見るより明らかであろう。
 
 さて、ギャンブル依存症になってしまった患者はいったいどんな人生を送ることになるのか。精神科医としてギャンブル依存の患者を見続けてきた帚木蓬生氏は『ギャンブル依存国家・日本 パチンコからはじまる精神疾患』(光文社)のなかで実際に出会った症例を紹介しているので、いくつか引用してみたい。ギャンブルによって人生が“破壊”されてしまう恐ろしさがよく分かるはずだ。
 
〈Aさんは高校1年のとき。ギャンブル好きの父親に連れられて競馬場に初めて行った。やがてひとりでパチンコ店にも行くようになり、週1回はパチンコをして、費用はアルバイトで得た金から出していた。短大にはいってから、パチンコの回数は週に4、5回に増え(中略)ほとんど講義には出なかった。(中略)
 20代前半になって借金開始、50万から100万円に増えたため、弁護士に相談して任意整理をした。月に3万円ずつ5年で返済が決まった。しかし弁護士費用の8万円をパチンコで使ってしまい、立替えてもらった親からこっぴどく叱られた。(中略)
 これまで1年やめてはいるものの、パチンコ店の横や液晶の宣伝を眼にすると、ハッとする〉
 これが典型的なギャンブル依存症患者だ。しかし、事態が重くなれば、事はこの程度ではすまない。他の精神病を併発し、取り返しのつかない傷を負うケースもある。
 
〈Bさんは高校卒業して会社にはいり、20歳からパチンコを週1回始めた。20代終わりに見合い結婚したあと、パチンコの回数が週に4、5回に増えた。
(中 略うつ病も併発、仕事ができなくなり依願退職し、そのまま失踪した。妻が捜索願いを出して発見され、精神科病院に入院した〉
 
 (中 略本当のギャンブル依存症患者は、「ぐうたらな性格」などではなく「ドーパミンの過活動」など脳内神経経路の不調が大きな要因となっている、立派な「病気」の人だ。本人の気合いや努力では、どうにも解決できない。専門医の力が必要なのである。しかし、日本ではアルコール依存症と比べても治療機関や専門医の数が圧倒的に少ない。なので、周囲の家族もどうサポートすれば分からないというケースが往々にして起こりやすい。結果として、周囲の人の精神的な健康まで損なわれてしまう事例も少なくないのだという。
 
〈Vさんは高校を卒業して就職、20歳を過ぎてパチンコとスロットを始めた。20代半ばにはカードローンで借金して、パチンコ店に通い、給料が出ると返済していた。(中 略20代の終わりに私の診療所を初診した。これまでギャンブルに使った総額は2000万円になっていた〉
 
 そして、欲望を抑えきれなくなった者のなかには、犯罪行為にまで手を伸ばしてしまう者も珍しくない。
〈Zさんは大学生になってすぐ、パチンコとスロットを始めた。授業には全く出ず、毎日パチンコ店にいた。消費者金融から借金をし、ついに限度額を超えてブラックリストにあげられ借りられなくなった。(中 略 30代半ば、会社の金300万円を使い込んだことが発覚し、両親が完済した。しかしひと月後、2回目の使い込み160万円が発覚、今度は給料とボーナスで完済することで、会社は許してくれた、しかし、数日後に蒸発、両親が警察に捜索願いを出し、4日後、車の中で生活しているのが見つかった。会社は、借金を両親が返済したので依願退職にしてくれた。しかし妻から離婚の申し出があり、離婚となり、その他の借金については自己破産申請中である〉
 
 (中 略さらに、ギャンブル依存がもとで起きた凶行は、人の生き死にに関わる事件に発展することもある。
 01年、青森県弘前市の消費者金融・武富士に強盗に入った男が放火にいたり従業員5名が死亡した事件は、犯人が競輪などで積み重ねた借金を苦に犯行におよんだことで起きている。
 また、08年に大阪は難波駅前の個室ビデオが放火され16名が死亡した事件も、「死にたかった」と動機を語る犯人のトラブルの元凶には、パチンコや競馬で重ねた借金があった。
 
 政権がなんとしてもカジノを合法化させたい理由として「経済効果」と「雇用創出」があると考えられているが、40年前カジノを建設したアメリカのある街では、期待されたその二つの効果も得られぬまま街が荒廃してしまったケースがある。本稿の結びとして最後にそれを引いてみたい。これまであげてきたような、ギャンブル依存と、それにまつわる悲劇が起きる可能性を高めてまで、本当にこの国にカジノが必要なのだろうか?
 
 (中 略ギャンブル依存症対策として、日本人のカジノ利用を制限すればよいのではないかという議論も出ているが、アトランティックシティのケースを見ても分かる通り、カジノができれば、周辺の状況も激変に晒される。政権は20年の東京オリンピックまでのカジノ建設を急ぎたいようだが、慎重な議論をすべきだろう。(井川健二)