2016年12月23日金曜日

オスプレイ撤去要求 名護抗議集会に4200人、新基地反対闘争継続

 22日、沖縄県名護市で行われた「欠陥機オスプレイ撤去を求める緊急抗議集会」には、4200人の県民が参加しました。集会には翁長雄志知事安慶田光男副知事稲嶺進名護市長のほか、野党の県選出国会議員6氏参加しました。
 
 翁長知事はあいさつの中で最高裁判決にも言及し「前知事の埋め立て承認の判断を最大限尊重しているが、逆に言えば、私の今後のさまざまな知事権限の行使について幅広い裁量権限を認めたことを意味している。法令にのっとり厳正に審査し、承認変更等の要件を判断していく」と今後の闘いの展望を語りました
 
 それとは別に、日刊ゲンダイは「辺野古訴訟で敗訴確定 抵抗続ける翁長知事の“次の一手”」と題した記事で、やはり最高裁判決に関連して、「埋め立て工事について翁長知事と名護市の稲嶺市長は、かなり大きい権限を持っている」として、「岩礁破砕許可来年3月で期限が切れる」、「湾に流れ込む川の水路変更、新たに発見された土器や石器などの遺跡の保存の問題は、名護市との調整が必要」などの項目を挙げるとともに、「知事には承認撤回の手段もある。取り消しと違って、仲井真前知事の承認自体は適法とした上で、承認を引っ込め、将来にわたって失効させる方法で、環境の変化などの理由があればできる」、としています。
 
 琉球新報と日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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オスプレイ撤去を 名護抗議集会4200人、知事と決意
琉球新報 2016年12月23日
 【名護】名護市安部海岸への米軍垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ墜落事故を受けた「欠陥機オスプレイ撤去を求める緊急抗議集会」(オール沖縄会議主催)が22日、名護市の21世紀の森屋内運動場で開かれ、約4200人(主催者発表)の県民が駆け付けた。集会では「翁長雄志知事と共に、次代に禍根を残さないために島ぐるみ、県民総ぐるみでオスプレイの撤去、普天間基地の閉鎖・撤去、辺野古新基地建設断念を成し遂げるまで奮闘し闘い抜く」などとするアピールを採択した。
 
 集会で翁長知事は一部、しまくとぅばであいさつし「新辺野古基地を造らせなければオスプレイも配備撤回できる。必ず造らせないよう頑張ろう」と呼び掛けた。米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設についても触れ、「オスプレイが東村高江に近い着陸帯で運用されるのは極めて問題だ。政府の返還式典強行は県民に寄り添う姿勢が全く見えない」と強く批判した。
 
 稲嶺進名護市長もしまくとうばで「辺野古の新基地、高江のヘリパッド。駄目なものは駄目だ」と述べ、米軍北部訓練場のヘリパッド建設についても反対の声を上げた。さらに墜落事故に関して米軍の説明をそのまま繰り返す沖縄防衛局に対して「当事者能力ゼロだ。いない方がいい」と痛烈に批判した。
 
 主催したオール沖縄会議の高里鈴代共同代表は「日本政府は厳しい追及をせず、飛行再開を許した。この事故は日本政府によって起こされたと言ってもいい」と指摘した。
 その他の登壇者からは「保守も革新も一体となって辺野古新基地建設、オスプレイの飛行を止めよう」「県民の怒りは飽和状態で、我慢の限界だ。総ぐるみの力を結集して日米両政府に対峙(たいじ)していこう」「基地がある限り、闘い続ける」など、オスプレイの配備撤回や名護市辺野古の新基地建設阻止に向けた今後の闘いへの決意が示された。
 集会には国政野党の県選出国会議員6氏も参加した。
 集会は名護市の万国津梁館で開かれた「北部訓練場返還式典」の開催に合わせて企画された。
 
 
「寄り添う姿勢見えず」 翁長知事、式典開催の政府を批判
琉球新報 2016年12月23日
 沖縄県の翁長雄志知事は22日、米軍北部訓練場の過半返還を記念する式典開催に合わせて同県名護市で開かれた緊急県民集会「欠陥機オスプレイ撤去を求める緊急抗議集会」に参加した。13日のオスプレイ墜落事故を受けて「重大事故を起こしたオスプレイが東村高江に近い着陸帯で運用されるのは極めて問題」と述べ、オスプレイ配備撤回に向けた決意を改めて強調した。
 中止を求めていた北部訓練場過半返還の政府式典については「政府が式典を強行したのは県民に寄り添う姿勢が全く見えず、沖縄県は出席を取りやめた」と政府の姿勢を批判した。
 
 墜落事故に抗議した安慶田光男副知事に対しニコルソン在沖米四軍調整官が「操縦士に感謝すべき」と応じたことに言及し「これは良き隣人というわけにはいかない」と在沖米軍の在り方も厳しく非難した。
 北部訓練場の返還式で菅義偉官房長官が沖縄の負担軽減に資するとしたことについて、集会後の取材で「4千ヘクタール返ってくることで沖縄の基地問題が前に進んだと誤解を生じているのではないか。面積だけで物事を考えている。これはやはり機能強化とも考えられ、予定でなかったオスプレイが飛ぶことも考えられる」と反論した。
 
 今後の政府への取り組みについて集会後に「(政府と)話し合いは必要だろう」と述べ、政府との協議の場を早期に開きたい意向を示した。
 あいさつでは最高裁判決にも言及し「前知事の埋め立て承認の判断を最大限尊重しているが、逆に言えば、私の今後のさまざまな知事権限の行使について幅広い裁量権限を認めたことを意味している法令にのっとり厳正に審査し、承認変更等の要件を判断していく」と今後の知事権限の行使に改めて意欲を示した。
 
 
辺野古訴訟で敗訴確定 抵抗続ける翁長知事の“次の一手”
日刊ゲンダイ 2016年12月21日
 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡り、20日、最高裁は沖縄県の上告を棄却。埋め立て承認を取り消した翁長知事の敗訴が確定した。菅官房長官は「国の主張が全面的に受け入れられた」と満足げで、稲田防衛相も「速やかに埋め立て工事を再開する」と鼻息が荒いが、とんでもない。
 
 判決は、あくまで、2013年の仲井真前知事による「埋め立て承認」が違法でないことが確定したに過ぎないのだ。
埋め立て工事について翁長知事と名護市の稲嶺市長は、かなり大きい権限を持っている」(沖縄選出の伊波洋一参院議員)工事には設計変更が付きものだ。その際は必ず、知事の承認を得なくてはならない。加えて、岩礁破砕許可は来年3月で期限が切れるため、改めて知事の許可が必要だ。辺野古漁港の使用や湾に流れ込む川の水路変更、新たに発見された土器や石器などの遺跡の保存の問題もある。これらは名護市と調整が必要だ。
 
 たとえ、仲井真前知事の承認が適法でも、地元の首長の協力がないと、工事は進まない仕組みになっているのだ。さらに翁長知事には「承認撤回」の手段もある。「取り消し」と違って、仲井真前知事の承認自体は適法とした上で、承認を引っ込め、将来にわたって失効させるのだ。もちろん撤回するからには、環境の変化などの理由がいる。「仲井真さんの承認以降に沖縄で示された民意は、撤回できるくらいの大きな環境の変化のひとつだ」(沖縄1区選出の赤嶺政賢衆院議員)菅官房長官は徹底抗戦の姿勢を崩さない翁長知事を念頭に、「わが国は法治国家だ」と牽制したが、法に則った抵抗はいくらでもある