2016年12月27日火曜日

真珠湾慰霊 レーン・宮沢 冤罪事件からも75年

 安倍首相が真珠湾攻撃の犠牲者となった米兵を慰霊することになった今年も、日米開戦の日にレーン夫妻(米人)と一緒に逮捕された元北大生宮沢弘幸さん の妹の秋間美江子さん(89は、12月を重い気持ちで過ごしています。
 
 レーン・宮沢事件と呼ばれる事件は、根室市などを旅行した北大生の宮沢さんが、私淑していた北大英語教師レーン夫妻に旅の報告をしたときに、海軍飛行場が見えたと語ったことが軍機保護法違反に当たるとされたものです。
 根室市の海軍飛行場の存在、事件よりも7年以上も前に土産物の絵はがき自治体要覧に記載されていたのですが、秘密の一審で懲役15年という異例な重刑が言い渡され、大審院(最高裁)で確定しました
 宮沢さんは敗戦により釈放されましたが、獄中で結核にかかっていたために1年半後に27歳で亡くなりました。
 
 この痛ましい事件は、安倍内閣が2013年12月に特定秘密保護法を強引に成立させようとしていた時に、当時の軍機保護法が如何に乱用されたかの例として取り上げられました。
 
 秋間美江子さんは2016年12月24日の毎日新聞の取材時、東京都新宿区に在住です。
 
       (関係記事)
        2014年2月22日 レーン・宮沢事件の宮沢氏の妹が来日 秘密保護法を危惧 + 
        2013年12月3日 宮沢・レーン事件
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<真珠湾慰霊> 一にも二にも平和…開戦当日、北大生の兄逮捕
毎日新聞 2016年12月26日
◇首相訪問に願う
 東京生まれで米国に暮らす秋間美江子さん(89)は日米開戦の12月を毎年、重い気持ちで過ごす。北海道帝大生だった兄は米国人のスパイ行為に加担したとして真珠湾攻撃があった日に軍機保護法違反容疑で逮捕され、5年後に亡くなった。戦後に渡米し、日米の懸け橋として生きてきた秋間さんは安倍晋三首相の真珠湾慰霊を前に、平和の願いを新たにしている。【青島顕、伊藤直孝】
 
 秋間さんはこの秋、自宅のあるコロラド州ボルダーから1人で飛行機に乗り、14時間かけて帰国した。5度のがん手術をした体で本当に行けるか自信がなく、事前に日本の友人に連絡しなかった。到着後には数日間入院した。そこまでしても戻ったのは「兄の逮捕の日に一度は兄の母校北大に」との思いからだ。開戦から75年を迎えた今月8日に雪の北大正門に立ち、気が少し晴れたという。
 
 1941年12月8日。スパイ一斉検挙の一環で兄宮沢弘幸さんは逮捕された。旅行先で聞いた海軍飛行場のことを北大の英語講師夫妻に話したことが当時の軍機保護法違反に問われた。飛行場の場所は絵はがきにも載っている周知の事実だったが、判決は懲役15年。戦後に釈放されたものの、刑務所でかかった結核がもとで47年に亡くなった。27歳の若さだった。
 
 戦中、一家は周囲から「スパイの家族」の汚名を着せられた。秋間さんは60年代に夫の仕事で米国に渡った。米国ならあの日々を忘れられると思ったが、渡米間もなく家に現れた見知らぬ年配の女性から「私は息子を日本に殺された」とののしられた。それでも留学生の世話をして日米友好に力を尽くした。
 
 2013年末、秘密の範囲があいまいな点が軍機保護法と類似するといわれる特定秘密保護法が日本で成立。いても立ってもいられず来日し「悲しい家族を作らないで」と法の廃止と反戦を訴えた。
 
 2年半ぶりに来日中の今、秘密保護法を成立させた安倍晋三首相の真珠湾訪問を心からは歓迎できず、「今さら遅い」とこぼす。それでも「一にも二にも三にも平和であってほしい。それだけです」。