2016年12月7日水曜日

多国籍企業の税逃れ TPPで野放しに 首相は無恥な答弁

 TPP協定は、多国籍企業に対して海外での企業活動に最高度の自由を保障することで巨大な収益を上げさせるためのものです。だからこそTPP協定のための膨大な資料の作成要員として、多国籍企業は全要員の85%に当たる480人もの社員を数年間にわたり従事させました。それだけ莫大な経費を掛けても直ぐに取り戻せるからです。
 そんな風にして彼らは海外からの収益は極限まで追求するものの、法人税など自分たちが海外に払う方については逃げの一手で、支払いを拒否するか支払いを極限まで抑えようとします。
 
 日本に進出する外国企業でも、日本国内事務所などの恒久的な施設を持っていなければ法人税等を課すことができません。TPPはその税のがれを狙いにして、日本政府が外国企業に事務所設置を要求することを禁じています。
 代替的な事務施設などは如何ようにも設けることが可能なので、合法的に税金逃れができるという訳です。
 
 5日の参院TPP特別委で共産党の辰巳議員がそのことを明らかにして政府を追及しましたが、安倍首相は何の根拠も示さずに「指摘は当たらない」と答えました。
 勿論、別に安倍氏が徴税する秘策を持っている訳ではなくて、いつもの、その場しのぎのデタラメに過ぎません。安倍氏が、「無知」に対して「無恥」だと言われる所以です。
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多国籍企業の税逃れ TPPで野放しに 参院特別委で辰巳氏が追及
しんぶん赤旗 2016年12月6日
 日本共産党の辰巳孝太郎議員は5日の参院環太平洋連携協定(TPP)特別委員会で、日本に進出する外国企業に国内の事務所設置を要求することを禁じるTPPによって、多国籍企業の税逃れが野放しにされると追及しました。
 
 辰巳氏は、日本国内で事業を行う外国法人に対して、「恒久的施設」(以下「施設」)が国内になければ課税しないという租税の原則があると指摘。米国企業アマゾンの子会社アマゾンジャパンが国税庁からの「施設」認定と140億円の追徴課税を拒み、日米協議の結果、国税庁の主張が退けられたことを挙げました。
 
 その上で、税逃れ規制の動きが世界で高まっているとして、経済協力開発機構(OECD)が立ち上げた「BEPSプロジェクト」(2012年6月)を紹介。同プロジェクトが、多国籍企業による「施設」認定の人為的回避や租税回避の防止を掲げ、認定対象の拡大などを求めていると強調しました。
 
 辰巳氏は、インドネシア財務当局が同プロジェクトの趣旨にのっとって、米IT大手グーグルの現地拠点を「施設」認定し、適正な課税を進める姿勢を示していると紹介。多国籍企業への適正な課税は「施設」認定ができるかに左右されると指摘し、「TPPではそもそも『施設』設置を求めることが禁止されている。結果的に課税の機会を縮小させる」と追及したのに対し、安倍晋三首相はまともな根拠も示さずに、「指摘はあたらない」と強弁。辰巳氏は「租税の原則は “『施設』なくして課税なし” だ。TPPによって多国籍企業の税逃れが野放しになる」と批判しました。
 
論戦ハイライト) 
TPP 税逃れを助長 参院TPP特 辰巳議員が追及
しんぶん赤旗 2016年12月6日
 日本共産党の辰巳孝太郎議員は5日の参院TPP(環太平洋連携協定)特別委員会で、外国企業に国内拠点の設置を要求できないTPPの規定によって、外国企業の課税逃れが助長されかねないことを明らかにしました。
 
外国企業 日本で納税拒否
世界的規制の流れに逆行
 TPPは、第10章6条で「現地拠点設置要求の禁止」条項を定めています。辰巳氏は、住宅を使い宿泊サービスを提供する「民泊」では、違法営業が多発しているにもかかわらず、外国企業は同条項によって国内拠点の設置を求められず、立ち入り検査を含めた罰則を科すことができないことを指摘。さらに、課税・徴税すらできない危険を明らかにしました。
 外国企業は日本国内で事業を行っていても、日本国内に「恒久的施設」がなければ、日本では課税されません。辰巳氏は、米国企業のアマゾンは、日本に子会社(アマゾンジャパン)を持ち、莫大(ばくだい)な売り上げ利益を得ているにもかかわらず、この子会社は「恒久的施設」ではないとして、日本の法人税の納税を拒否しているとして、次のようにただしました。
 辰巳 国税庁は(アマゾンジャパンが日本国内に持つ倉庫を)「恒久的施設」と認定し、140億円の追徴課税を行ったが、日米協議の結果、国税庁の主張は退けられた。どのような協議をしたのか。
 麻生太郎財務相 個別の納税者の課税、協議の状況についての答弁は控える。
 
 麻生財務相は答弁を拒否しましたが、外国企業の税逃れがすでに日本で横行している実態が明らかになりました。
 
世界で大問題に
 さらに、辰巳氏は、アップル、グーグル、アマゾンなどIT企業の税逃れがとりわけ世界的な問題になっていることを指摘。TPPの規定が国際的な税逃れ対策(BEPSプロジェクト)の取り組みにも影響しかねないと強調しました。
 BEPSプロジェクトでは、多国籍企業が進出先国における「恒久的施設」認定を回避し、税逃れを行うことを防止するため、「恒久的施設」の定義を拡張。電子商取引により、他国から遠隔で販売、サービス提供等の経済活動ができるビジネスへの課税の在り方も検討課題としています。
 
 辰巳氏は「『グローバル企業は払うべき(価値が創造される)ところで税金を納めるべき』というのがBEPSプロジェクトの基本的な考え方の一つだ」として、次のようにただしました。
     TPPで、「恒久的施設」の設置を求められないとなれば結局、課税の機会の縮小になる。
 安倍晋三首相 TPPの規定は、現地拠点の設置要求によって、サービス貿易が制限されないよう設けられたものだ。
  正面から答えない安倍首相に対し、辰巳氏は、安全・衛生に必要な施設も置けず、課税の機会も縮小すると強調。TPPが多国籍企業の横暴を規制するどころか、その利益を最大化させるために使われると批判しました。