2016年12月13日火曜日

今上天皇の意向に沿うようにできるのは主権者の国民

 今上天皇「お気持ち表明」前に友人の明石元紹氏に摂政」ではなく「恒久的な退位制度」を希望していると電話で話されたということです。 
 ところが生前退位に反対の安倍政権は、現天皇一代限りの特例法で済まそうという意向なので、政府の「有識者会議」もそれに沿った結論を出すものと見られています。そもそも「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」という名称からして天皇のお気持ちから外れたものになっています。
 そういう雰囲気の中で、学友の明石元紹氏が止むにやまれぬ気持ちから、「有識者会議の推移は、陛下が考えていらっしゃるのとかなり違った形に・・・云々」と発言しました。
 安倍首相の父の晋太郎氏は、「晋三、おまえは政治家として最も大事な『情』がない」と言ったそうですが、その指摘の正しさが際立つ経過となっています。
 
 山崎雅弘氏はツイッターで、「今の政治状況下では孤立無援に近い今上天皇の意向に沿うよう情勢を変えられるのは、主権者の国民しかいない」、「もしこのまま一代限りの特法という形で譲位問題に幕引きがされるなら、今上天皇は深い葛藤に直面するだろう。・・・結果的に最後まで在位せざるを得なくなるかもしれない」と述べました
 同氏のツイッターを紹介します。
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今上天皇の意向に沿うよう情勢を変えられるのは主権者の国民しかいない
山崎 雅弘氏ツイッター 2016年12月11日 
 
山崎雅弘氏ツイッター 2016年12月11日
明石元紹「有識者会議の推移をみていますと、国民の気持ちとも違うし、ある意味では、陛下が考えていらっしゃるのとも、かなり違った形で意見をおっしゃる方が多いものですからね」(12月3日放送 TBS報道特集『天皇退位の是非』)
 「これではあまりに陛下が、両陛下がお気の毒じゃないか、という義憤もありましてね」
 「(陛下は)明治以前の何十代とある天皇のなかでは、途中で譲位されるとか、女性天皇がピンチヒッターでなさるとか、そういうことは数えられないくらい多いんだ、と。だから、ぼくの代になって元気なうちに譲位をするということを仮に言っても、それは珍しく驚くべきことではないんだよ、と言ってらっしゃいましたね」
 
 明石氏が「義憤の感情」でこうしたやりとりを「国民に向けて」公表したことも、国民の側は真摯に受け止める必要があるように思える。
 今の政治状況下では孤立無援に近い、今上天皇の意向に沿うよう情勢を変えられるのは、主権者の国民しかいない。
 
 もしこのまま安倍晋三氏や日本会議の思惑通り、一代限りの特別法という形で譲位問題に幕引きがされるなら、今上天皇は深い葛藤に直面するだろう
 肉体的・精神的には譲位したくても、それをすると「自分さえよければ」という形式になってしまう。
 結果的に最後まで在位せざるを得なくなるかもしれない
 
 つまり、安倍晋三氏や日本会議が望む「一代限りの特別法」という形式には、今上天皇がそれを選ぶことに抵抗を感じさせ、譲位の道に大きな心理的ハードルを立てる陰険な思惑が隠されているようにも見える。
 結果的に今上が最後まで在位を続けるなら、安倍晋三氏や日本会議にとっては大勝利の結末になる。
 
 「命令的な人間は、いかに彼らが自分たちの神に仕えていると信じているにしても、自分たちの神に対しても、また命令するであろう」
 このニーチェの言葉を、三木清は天皇機関説事件の最中の読売新聞への寄稿(1935年3月20日)に引用した。
 神を天皇に置き換えれば、そのまま今の日本にも通用する。
 
 
(参考資料)NHK世論調査 天皇生前退位問題 
NHK NEWS WEB 2016年12月12日
・・・ NHKは、今月9日から3日間、全国の18歳以上の男女を対象に、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行いました。
調査の対象は1530人で、63%の959人から回答を得ました。
     (中 略
政府の有識者会議が、専門家のヒアリングを3回にわたって行うなど、天皇陛下の退位などを検討していることに関連して、退位についてどのようにするのが望ましいと思うか聞いたところ、「特別法を作って、いまの天皇陛下に限って認める」が25%、「皇室典範を改正して、今後すべての天皇ができるようにする」が53%、「退位は認めず、現在の制度の範囲内で対応する」が11%でした。
     (後 略