2016年12月2日金曜日

「立法府の長」と「新しい判断」こそ流行語大賞では? と

 今年の流行語大賞が決まりましたが、「日本がアブナイ!」氏は、「立法府の長」と「新しい判断」を選んで欲しかったと述べました。
 同ブログは後半では適菜 収氏のブログ:「・・・私は立法府の長」は流行語大賞レベルだった!」を紹介しています。
 それらを大賞にすればそれは痛烈な政権批判になるのでやはり無理なのでしょうか?
 いずれにしても秀逸なブログです。人間の思考は言語があって初めて成り立っています。その言語がメチャクチャデあるということは、取りも直さず思考が滅茶苦茶であるということに他なりません。
 抑えられた筆致になっていますが読むと溜飲が下がります。
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安倍の流行語大賞には、「立法府の長」と「新しい判断」を
 言葉を軽視する政治家、国政を懸念 
日本がアブナイ! 2016年12月1日
 今年のユーキャン新語・流行語大賞の年間大賞が、「神ってる」に決まった。(@@)
 これは、今年、プロ野球のセ・リーグで優勝した広島カープのた鈴木誠也選手が、2試合連続でサヨナラ本塁打を放った時に、緒方孝市監督が発した言葉。<「神がかっている」が変形されたっぽい?>
 最近は、主にネット界や若い人たちの間で、何かに秀でた人のことを「神」と呼んだり、優れた対応をすることを「神対応」と表現するなど、「神」という言葉がよく用いられるものの、中高年以上には普及していないし。しかも、プロ野球もかつてほど注目されておらず。
 おそらく、この言葉を知っている人は、下手すると国民の1~2割もいないのではないだろうか?(~_~;)
 
 mew的には、今年は「これぞ」という流行語、新語はなかったように感じる。<強いて言えば、言葉では、「びっくりぽん」かな~。あと「PPAP」?・・・個人的に印象に残った事象は、流行語の候補にも挙がっていた「SMAP解散」。(ノ_-。)>
 
 新語、流行語に限らず、今は、人々の関心がどんどん個別化、多様化、細分化されてしまっているので、国民の多くがor老若男女が共通して知っている人物、作品、言葉がかなり少なくなっているように思ったりもするです。_(。。)_
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【ちなみにトップ10には、このような言葉が選ばれていた。(・・)
 聖地巡礼、トランプ現象、ゲス不倫、マイナス金利、盛り土、保育園落ちた日本死ね、ポケモンGO、(僕の)アモーレ、PPAP
 
 で、ノミネートされた30の言葉のうち、トップ10にはいれなかったのは・・・
 アスリートファースト、新しい判断、歩きスマホ、EU離脱、AI、おそ松さん、君の名は。、くまモン頑張れ絵、斎藤さんだぞ、ジカ熱、シン・ゴジラ、SMAP解散/センテンススプリング、タカマツペア、都民ファースト、パナマ文書、びっくりぽん、文春砲、マイナス金利、民泊、レガシー 
 
 何か政治経済用語もイマイチかしらん?(>_<)
 個人的には「新しい判断」を選んで欲しかったな~。(・・) 
 安倍首相が6月に消費増税の再延期を発表した時に「これまでのお約束とは異なる、新しい判断だ」と説明したのだけど。要は、「判断を変えちゃって、公約とは異なる(反する)ことをしますよ」っていうことを示す言い訳、逃げの言葉なわけで。これを候補にしたのは、安倍首相へのイヤミのようにも感じられる。^^;
 あと、小池都知事の「都民ファースト」は、何か新鮮なイメージで受け止められているのだけど。都政を「都民第一」で行なうのは、ある意味で当たり前のこと!(**)
 
 そして、もちろん、国民主権の日本では本来、国政は「国民ファースト」で行なわれなければならないのだけど。自ら「立法府の長」とか言っている&「国民より国家」「国家が第一」の安倍首相に、誰か是非、「国民ファースト」という言葉を教えてあげて欲しいです。(@@)
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 でもって、 適菜収氏が、安倍首相の今年のXX発言について記事を書いていて。ちょっと興味深い内容だったので(&自国の総理のXX度を確認するためにも)かったので、ここにアップしておくです。(++)
<著者略歴は末尾に。最近、適菜氏と考えや感覚が合うって感じることが多いのよね。_(._.)_>
 
『安倍晋三首相のアホ発言が炸裂した今年…
「私は立法府の長」は流行語大賞レベルだった!
適菜 収  BEST TIMES  12/1(木)
 
「私は立法府の長」となんども発言をしている、わが国の総理大臣、安倍晋三。
 三権分立について 二〇一六年五月一六日 安倍晋三の国会答弁
「議会の運営について
 少し勉強していただいたほうがいい。
 議会については、私は『立法府の長』。」
 
 二〇一六年五月一六日、安倍は国会で民進党の山尾志桜里を「勉強不足」と決めつけた上で、自分は「立法府の長」と発言。
 翌一七日にも「立法府の私」と繰り返した。
 つまり安倍は、自分の役職も権限も知らずに、総理大臣をやっていたわけだ。
 念のため説明すれば、立法府の長は形式的には衆議院と参議院の議長であり、総理大臣は行政府の長である。
 この安倍の発言について、「言い間違い」だと自民党側は主張したが、過去(二〇〇七年五月一一日)にも同様の間違いをしており、行政(内閣)、立法(国会)、司法(裁判所)という三権分立を理解していないことは明らかだ。
 
 小中学校で習う政治の基礎の基礎でしょう。
 議会の運営について少し勉強していただいたほうがいい。
 なお、山尾は安倍と議論した印象について次のように述べている。
「自分の庇護の下にある女性には紳士だけれど、自分の範疇を超えてくると、ものすごく不安になるんだなということがよくわかりました」「いざ対等になってくると不安になる。その不安がニヤニヤしたり、言い訳をひたすら続けたり、批判してかぶせてきたり、尋常じゃない対応になって表れるんだなと思いました」
(『日刊ゲンダイDIGITAL』二〇一六年三月二二日)
 さらに、安倍は次のような発言をした。
 安倍晋三首相のアホ発言が炸裂した今年…「私は立法府の長」は流行語大賞レベルだった!
 議事録を書き直すというなんて姑息なことをしてしまうのか? 本物の右翼なら許しがたい行為だろう。
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 失言について 二〇一六年五月二三日 安倍晋三の国会答弁
もしかしたら言い間違えていたかもしれない
 基本的には行政府の長とお答えしている。」
 
 二〇一六年五月二三日、安倍は国会で「立法府の長」発言について「もしかしたら言い間違えていたかもしれない。基本的には行政府の長とお答えしている」と釈明。
「もしかしたら」ってなに? 
「基本的には」ってなに? 
 基本的ではないケースは存在するのか? 
 さらに安倍の発言は議事録で「行政府の長」に修正されていた。
 
 民進党の山尾志桜里は、「議事録を書き換えることは、歴史を改竄することだ」と批判。また、「学校に忍び込んでテストの答案を書き換えるようなもの」と喩えた。
 ホラ吹きがどれだけホラを吹いても記録自体が修正される。
 昔、そんな小説を読んだことがある。
 
 ジョージ・オーウェル(一九〇三~五〇年)の『一九八四年』の主人公である役人ウィンストンの仕事は、歴史の改竄である。「党」にとって都合が悪い過去の事実を抹消し、新たに歴史を捏造する。そこでは、言葉の破壊活動が継続的に行われている。
「ニュースピーク」は、「党」が英語をもとに作成した架空の言語であり、その目的は「党」に反する思想を考えられないようにすることだ。
 語彙の削減、意味の反転、略語の作成、イメージの置き換え……。たとえば強制収容所を「歓喜キャンプ」と言い換える。平和省は戦争を維持し、豊富省は国民から搾取し、真理省は歴史を改竄し、愛情省は尋問と拷問を行う。
 
 もちろんこれらは全体主義国家のパロディである。フランス革命後の政治状況においては、自由の名の下に自由の抑圧が、社会正義と人権の名の下に大量殺戮が行われた。ナチスやソ連の独裁体制下においても、戦略的に言葉の言い換えが行われている
 
 わが国でも、移民は「外国人材」、家族制度の破壊は「女性の活用」、惨禍を招くグローバリズムは「積極的平和主義」、秩序破壊のための実験は「国家戦略特区」、不平等条約TPPは「国家百年の計」、南スーダンの戦闘は「衝突」といった言葉で誤魔化されているが、事実そのものが抹消・捏造されるなら、やがて歴史の解釈すら不可能になる。近い将来、わが国から「失言」は消滅するのかもしれない。』(著者略歴は末尾
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 安倍政権下では、自分たちの都合のいいように言葉の使い方、解釈を変容してしまうとこがあるし。メディアが突っ込まないおかげで、首相や閣僚の失言や暴言、誤りも、ほとんど追及されず。
<あと、mewはいまやネトウヨがSNSで使うような言葉を、超保守系の政治家が平気で使うようになっていて、ぞっとしてしまうとこがあるのよね。^^;>
 
 このまま政治家や国民が(メディアも)言葉を軽んじて、言葉の使い方に鈍感になって行くと、国政も愚鈍になってしまうのではないかな~と案じているmewなのだった。(@@)
THANKS
 
著者略歴 適菜収(てきな・おさむ)
1975年山梨県生まれ。作家。哲学者。ニーチェの代表作『アンチ・クリスト』を現代語訳にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』(以上、講談社+α新書)、『日本をダメにしたB層の研究』(講談社+α文庫)、『日本を救うC層の研究』、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(以上、講談社)、『死ぬ前に後悔しない読書術』(KKベストセラーズ)、『なぜ世界は不幸に』