2016年12月9日金曜日

09- カジノの害悪 自殺者やホームレスが急増 ヤクザ・ヤミ金が暗躍

 カジノ法案は8日、参院内閣委で実質審議に入り、自民、民進両党は12(月)に参考人質疑を実施する日程で合意しました。自民党は遅くとも13日の参院内閣委で採決し、会期末14中には成立させたい考えです
 
 安倍首相は7日の蓮舫氏との党首討論で、カジノは統合型リゾート(IR)施設のうちのごく一部で、面積的に全体の3%ほどに過ぎないなどと語っていました。
 ホテルやプールなどのリゾート施設がメインであるというのであれば、いま問題になっているカジノを何故外すと言えないのでしょうか。それは例によって大ウソであって、カジノこそがメインでありその他は付けたりの関連施設に過ぎないからです。
 
 日刊ゲンダイがカジノ施設が設置された場合の害悪に関する2つの記事を出しました。
 自民党はこれらの深刻な問題に対して、何の解決策も持たないままで法案の成立を強行しようとしています。
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天下り組織急増も…参院審議入りカジノ法案に「3つの闇」
日刊ゲンダイ 2016年12月8日
「統合型リゾート(IR)推進法案」(カジノ法案)が6日の衆院本会議で、自民党などの賛成多数で可決された。自民党は7日の参院本会議で審議入りし、9日にも成立させたい考えだ。国民からカネを巻き上げるバクチを「成長戦略」と位置付け、マトモな審議もしない政府・与党の姿はまさしく「胴元」そのものだ。
 
 “バクチ法案”の闇は深い。恐ろしいのは「ギャンブル依存症」だ。厚労省の調査だと、国内のギャンブル依存症は536万人(2014年)。依存症の疑いがある人は成人全体の4・8%に達し、1%前後の欧米などと比べると極めて高い割合だ。「レジャー」と呼ばれるパチンコ・パチスロでもこの状況なのに、本格的な“バクチ”が合法化されたらどうなるのか。指摘されているのが次の3つの“闇”だ。
 
①依存症→自殺者が急増
 北海道立精神保健福祉センターがまとめたギャンブル依存症の報告書などによると、ギャンブル依存症は薬物依存症と同じカテゴリー。覚醒剤使用の疑いで再び逮捕された「ASKA」じゃないが、いったんギャンブル依存症になったら自力更生はかなり困難だ。そして依存症患者は〈アルコール・薬物依存症同様に、とらわれ、渇望、使用した際の量的制御困難〉に陥り、〈心理社会的状態の進行性の悪化〉で〈失踪、自殺傾向がみられる〉という。07~11年に同センターで診察した137人の依存症患者のうち、3割近い38人に〈自殺傾向〉がみられた。
 
 ギャンブル依存症が社会問題となっている韓国のカジノ「江原ランド」では、00年に開業して以来、場内で50人以上が自殺したと報じられている。
 
②ヤクザとヤミ金が堂々とマネロン
「(米ギャングの)アル・カポネではないが、禁止しているからこそ地下に潜る」
 5日の参院政審正副会議で、自民党議員からこんな声が漏れたらしいが、バクチ法案の成立をヨダレを垂らして待ち構えている連中がいる。ヤクザとヤミ金業者だ。
「アル・カポネは強盗や殺人などで奪ったカネを配下に配り、カジノでルーレットなどで使わせた。店員は“仲間”だから当然、バカ勝ち。これを繰り返して大金を元手に事業に乗り出し、ひと財産築いた。ヤクザやヤミ金業者も必ずカジノに“仲間”を送り込む。ヤミ金業者は『仲間がいるから絶対もうかる』と言ってカネを貸すでしょう。結果的に多重債務者、自己破産は増加するのです」(警察ジャーナリスト)
 
③利権奪い合う霞が関役人
 国がバクチの「開場」を容認するのだから、規制は不可欠だ。
「ギャンブル依存症対策」「広告啓発」「反社会的勢力の排除」……。既にカジノを設置している各国の対策を挙げればキリがないが、問題は、対策を主導する組織のあり方だ。
 
 東京都がまとめたIRの調査報告をみると、「ギャンブル依存症の予防及び治療のための補助金配分の決定」(米・ネバダ州保健福祉省)、「依存症対策」(韓国・社会家族振興省、保健省)、「マネロン対策」(英・国家犯罪対策庁)など、対策を講じる運営主体の多くは官公庁。
つまり、日本でもカジノ設置のために今後、厚労省や警察庁、経産省などが「対策」と称してバクチ利権に群がり、ベラボーな金額の予算を要求したり、天下り組織をつくったりする可能性が高い。ロクな審議もない法案がトントン拍子で進む原因はここにもある。
 
「依存症問題対策全国会議」事務局長の吉田哲也弁護士はこう言う。
「『何らかの対策をやる』と言いながら、その中身はまったく明らかになっていない。それなのに法案を通すのは大問題です。(官公庁利権についても)唐突に『カジノ管理委員会』が出てきて『都道府県警察と協力』などの文言が盛り込まれました。法案が現実味を帯びてきて(霞が関の)役人が表に出てきたということでしょう」
 この法案が国民を不幸にするのは間違いない。 
 
 
海外では社会問題 カジノ法案が招く“若年ホームレス”急増
日刊ゲンダイ 2016年12月6日
 自民党が“強行採決”を乱発してでも今国会での成立を目指す「カジノ解禁法案」。6日衆院を通過し、参院へ送られる見通しだが、ギャンブル依存症対策をなおざりにしたまま解禁すれば、“カジノホームレス”が急増しそうだ。
 
「海外でもカジノ依存症が社会問題となっています。外国人専用だったカジノを00年、国内向けに解禁した韓国の『江原ランドカジノ』の近くには質屋が乱立し、カジノで財産を失った何百もの人が途方に暮れたまま、周辺に住み込んでいます。マカオでも4年前に入場資格を18歳から21歳に引き上げるなど、対策強化に追われました」(カジノ事情通)
 日本で真っ先にカジノの餌食になりそうなのが、ギャンブルに免疫のない若者だ。厚労省研究班は、国内にギャンブル依存症の疑いがある患者が計536万人いると推計。そのうち20~30代の男性が188万人、女性は15万3000人に上る。若年層が成人全体の約4割を占める。
 
■非正規雇用も高止まり
 カジノ解禁は「若年ホームレス」の急増を招きかねない。若者の貧困に詳しいノンフィクションライターの中村淳彦氏が言う。
ホームレスとなる若者が増えているのは、非正規雇用の過酷な職場の実態が影響していると思います。派遣切りやパワハラなどでストレスをためた若者がギャンブルに走り、鬱憤を晴らす姿を私はたくさん見てきました。中には依存症になってしまった人もいます。カジノ法案が成立し、さらにギャンブルが身近となれば、若者の貧困にますます拍車が掛かる恐れがあると思います」
 
 安倍首相は雇用改善に胸を張るが、14年度の若者の非正規雇用の割合は15~24歳が308%、25~34歳が280%(内閣府調べ)と依然、高止まりしている。若者がバクチに向かう環境は変わっていない。
 リーマン・ショック以降、都内5カ所の自立支援センターの入所者は30代以下の割合が急増し、4分の1近くを若年層が占めるようになった。生活保護を受けている20~30代も15年間で3倍に増えた。カジノ法案は老後破産とともに、若年ホームレスの急増を招くことになる。